ビオフェルミン製薬は2月8日、「腸内環境への関心度」に関する調査結果を発表した。あわせて、最近注目を集めている「長寿菌」について、辨野腸内フローラ研究所理事長・辨野義己先生が解説した。

  • 健康長寿の達成には、「長寿菌」が腸内細菌の40%~60%を占めることが理想的

同調査は2023年1月、20~60代の男女300人を対象に、インターネットで実施した。腸内フローラや腸内環境が気になるか尋ねたところ、48.3%が「気になる」と回答した。

腸内フローラや腸内環境が気になる理由は、「便秘が気になるから」(49.0%)が最も多く、次いで「腸に関心があるから」(33.8%)、「免疫力低下が気になるから」(33.1%)となった。25.5%は「大腸がんなど腸に関わる疾患が気になるから」と答えている。

  • ご自身の腸内フローラや腸内環境が気になる、と回答いただいた方にお伺いいたします。その理由を教えてください

腸内細菌の分類と生態に関する研究を続けている辨野義己先生は、おなかと腸のスペシャリストと呼ばれている。

辨野先生によると、善玉菌の中でも特に注目を集めている「長寿菌」は、健康寿命が長い人の腸内に多い菌で、善玉菌として知られているビフィズス菌、大便桿菌(フィーカリバクテリウム)、ラクノスピラなどの菌の総称。ビフィズス菌などの長寿菌は、他の常在菌と複合的に働くことで腸内環境を良くしていると考えられるという。

辨野先生は研究によって、奄美大島に住む100歳の健康長寿の女性の便に、60~80歳の平均値の30倍以上のビフィズス菌が存在していることを発見した。他の健康長寿地域の分析結果も踏まえ、辨野先生は「健康長寿の達成には、「長寿菌」が腸内細菌の40%~60%を占めることが理想的」と結論づけている。

健康長寿の人たちの腸内細菌を調べてみると、圧倒的にこのビフィズス菌などの「長寿菌」が多いことから、「長寿菌」を増やすには、善玉菌を含むもの(発酵食品、サプリなど)を摂ることが大切だという。意識的に善玉菌を取り入れるとともに、食事や睡眠、運動などのいわゆる「腸活」を習慣にすることをすすめている。

食事では、山芋、オクラ、きのこ、豆類など善玉菌を増やす水溶性食物繊維の多い野菜や、海藻、発酵食品などを積極的に摂るとよいという。逆に動物性脂肪は、摂りすぎを控えた方がよいとのこと。

生活では、寝不足あるいは運動不足は腸内環境を悪くする要因になる。自分の健康を知る上で「お通じ」は一番大事なポイント。ストレスの少ない生活は腸内細菌を活性化するため、笑うことも大事だという。

「毎日トイレに行っているのになんだかすっきりしない」という場合は、弛緩性便秘の可能性があるとのこと。大きな要因は運動不足で、特にインナーマッスルといわれる腸腰筋はお通じに影響する。3階ぐらいはエレベーターを使わないで上り下りするなど、運動の習慣をつけておくことが大切だという。

自分の腸の状態を知るために目安となるのは「便」。便通の調子が良い場合には、食べたものが16~24時間後に便として出ます。「長寿菌」が多い便は「黄褐色」「あまり匂わない」「力まず気持ちよく出ること」「毎日しっかりと出る(バナナ2~3本程度)」という特徴があるとのこと。

腸内環境が乱れていると「便やおならのにおいがキツい」「便秘または下痢になりやすい」などの不調が出やすくなる。「長寿菌」を増やすため、バランスのよい食生活に気を配り、よく寝て運動し、ストレスをためない健康生活を心がけることをすすめている。

  • 腸内環境が乱れていると、さまざまな不調を感じやすい