「高い買い物をしているつもりはないのに、気づいたらお金がない」と感じることはないだろうか。お店やECサイトをのぞいたら、「つい欲しくなって買ってしまう」という人も少なくないだろう。
多くの人にとって、わかっちゃいるけどなかなかやめられない「なんとなく買い」や「衝動買いの習慣」、なくすためにはどうすればいいのだろうか。
前回に続き、『HSPだけど500万円貯めた! 手取り16万円OLのゆる貯金ライフ』の著者で、3年間で500万円の貯金に成功した「もけけ」さんに、自分にとって本当に価値あるお金の使い方をするためのポイントを聞いた。
■衝動買い防止には「時給換算」
――無駄遣いや衝動買いをしないために意識していること、実践していることを教えてください。
衝動買いを防ぐのに有効なのは、それが自分の時給何時間分にあたるのか、時給換算してみることです。そうすると冷静になれて本当に欲しいのか、必要なのかをちゃんと考えることができます。
また、何か欲しいものがあるときは、まず月の予算を確認します。月末であれば余ったお金で自分へのご褒美として買っちゃったりもします。
今はミニマリストになったこともあり、新しく買うものは値段よりも「本当に気に入っているかどうか」を基準に選ぶようになっていますね。
■節約の第一歩は、家計簿アプリで支出を可視化
――なんとなくお金を遣ってしまっている人が、節約のためにまず見直すポイントは?
まずは、家計簿をつけることが節約の第一歩になります。なんとなくお金を使っていると、「何に使ったのかわからないのにお金が貯まらない」という事態に陥ってしまいます。
家計簿をつけると自分が何にいくらお金を使っているのかが可視化されるので、その「なんとなく」に気づくことができます。私は「Zaim」というアプリで家計管理をしています。レシートをスキャンするだけで支出を読み取ってくれて、シンプルで使いやすいところが気に入っています。
そして、次に始めるのが「ノーマネーデー」です。「ノーマネーデー」を意識すると、なんとなく仕事帰りにおやつやコーヒーを買ってしまうという数百円の出費が抑えられます。ちょっとした出費でも毎日だと結構かさんでしまうので、これを意識するのは結構重要だと思います。
――毎月金額が変わる「変動費」を抑えるのが節約のポイントのひとつになると思いますが、変動費を抑えるために、どのようなことを心がけたり実践したりしていますか?
予算を決めること、あとはメリハリをつけることです。貯金が500万円を越えるまでは貯金が最優先だったので、とにかくできるだけ抑えました。また、ちょうどコロナが流行して引きこもりがちになったので、変動費も抑えられていました。
今は変動費の目安を月5万円にしていますが、やっぱり事前に予算を決めておくと、都度家計簿を見て、その範囲内に収まるように考えて使うようになります。
平日は職場と家の往復で寄り道はせず「ノーマネーデー」にし、そのぶん休日はお金を気にせず好きに使うというふうに、使うときと使わないときのメリハリをつけることで満足度の高いお金の使い方ができています。
■節約しても「生活の質」は重視
――節約はメリハリが大切ですよね。「こんな節約はおすすめしない」という例があれば教えてください。
水道光熱費の節約です。水道光熱費は暮らしの根本を担う重要な支出です。冬になると金額がかさんでしまうし、暖房を我慢したりする人も多いと思いますが、私は水道光熱費の節約は一切しません。
水道光熱費はQOL (Quality of life:生活の質)に直結するし、暑い・寒いを我慢することのストレスや時間の無駄使いを考えると、そこを節約することで生まれるメリットよりデメリットの方が上回ると思うからです。
――節約においても自分の「軸」を持つことが大事なんですね。自分にとって価値ある出費なのかどうか判断する際に、どんなことを基準にされていますか?
フィーリングになってしまうのですが、「自分がときめくかどうか」が大事だと思っています。これは私の気質なのかもしれませんが、人の目を意識して見栄を張るためにモノを買うということがなく、単純に「今、自分が欲しいものかどうか」が基準になっています。
HSPという性質上、ネガティブなニュースにふれると影響を受けすぎてしまうので、テレビのニュースなども見ないようにしています。情報をシャットアウトすると、結果的に物欲を刺激するCMを目にすることもなくなるので、「欲しい!」という気持ちになることもなくなってきます。
余計な情報を入れないようにして、純粋に自分の好きなものを見て、自分の好きなようにしていれば、あまりストレスも溜まらないし、節約しながらでも楽しく暮らせるのではないかと思います。
――ストレスから、ついお金を遣ってしまう人も多いはず。もけけさんのストレス発散法を教えてください。
比較的お金のかからないストレス発散方法を用意しておくと、散財しすぎずに済みます。私は入浴剤を入れてお風呂に入る、推しの動画を観る、あるいは高価ではないけど好きなものを食べるなどして、ストレスを発散しています。
一番おすすめなのは散歩です。外を歩くだけで心がすっきりするし、良い運動にもなります。季節を感じられて心も豊かになるし、良いことづくしです。
■限られたお金を「いかに自分にとって価値あるものに使えるか」
――500万円の貯金に成功したことで、人生にどんな変化がありましたか?
心に大きな余裕ができました。「いつ仕事を辞めてもしばらく暮らしていける」と思うと、逆に「辞めたい」という気持ちが薄まって、仕事=苦痛だと感じなくなりました。
生きるために仕方なく嫌々働くというより、「いつでも辞められるけど今はまだいいか」という心持ちになったのが大きいです。
また、未来に対して明るい眼差しを向けることができるようになりました。それまでは未来に対して絶望していたというか、あまり良いイメージを持ってなかったのですが、貯金が増えていくにつれて、そこまで悲観しなくても楽しく生きていける気がしてきて、心が楽になりました。
――最後に、収入が平均的、あるいは平均以下だけど貯金したい、という人に向けてメッセージをお願いします。
「節約生活=ひもじい・わびしい・苦行」だと捉えている人もいるかもしれませんが、抑えるところと我慢しないところのメリハリをつければ、無理せず楽しく貯金をすることができます。
限られたお金をいかに有意義なものに、自分にとって価値あるものに使えるかが重要です。無駄だと思うことには財布のひもをしっかりとじて、でも好きなものは我慢しないで。自分の中にある価値基準を大切にすれば、ガチガチに意識せずとも、気づいたら貯金ができていると思います。