ふとした瞬間に、なんだか自分の居場所がないと感じることはありませんか? この記事では居場所がないと感じるシーンとは主にどんなときなのかや、居場所がないと感じる心理、改善のための考え方、具体的な対処法などを解説します。もし居場所がないと悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

  • 居場所がないとは

    居場所がないと感じるのはなぜなのかや、対処法を紹介します

居場所がないと感じる4つの場面

まずは、居場所がないと感じる主なシーンを紹介します。

仕事がうまくいっていないとき

特に社会人になると、仕事がうまくいっていないときに居場所がないと感じることが多いでしょう。

仕事がうまくいっていないと、迷惑をかけているという負い目から、周りの人と仲良くしにくいと感じることもあります。実際に周囲から怒られたり露骨に迷惑がられたりすることもあるかもしれません。

そのような環境にあると、緊張からさらにミスを繰り返して悪循環に陥ってしまうこともあります。

集団でいる場で話題に入れないとき

学生であれば休み時間や部活動の最中、クラスで協力する行事、社会人であれば飲み会などで、所属する集団において話題に入れていないと、居場所がないと感じる人は多いでしょう。

周りの話題やノリについていけない、話題に入っていないと、自分がそこにいても意味がないと感じてしまいます。

家族とケンカしてしまったとき

家族とケンカしたときや関係が良好でないときも、居場所がないと感じやすいでしょう。

家族とは多くの人にとって、素の自分を受け入れてもらえる、落ち着ける場所なので、その家族とケンカして一緒にいるのが気まずくなるなどすると、居場所がないと感じるかも知れません。

親戚の集まりで会話に入れないとき

お盆やお正月など、親戚が一堂に会する場で会話に入れないときも、居場所がないと感じることがあるでしょう。

例えば子どものころだと、普段一緒に生活している両親が親戚と仲良く話しているときに、大人の会話に入れず疎外感を抱くことがあるかもしれません。

大人になってからも、嫁入りや婿入りした先の親戚の人と距離を感じてしまう場面などがあります。自分が知らないような昔の話や内輪の話題などに加われず、居場所がないと感じてしまうことがあるでしょう。

また血縁関係のある親戚だとしても、長い間会っていなくてお互いの近況を知らなかったり、価値観が異なる人が多かったりする場合は、居心地が悪く居場所がないと感じてしまうかもしれません。

居場所がないと感じてしまうときの理由や心理

  • 居場所がないと感じる理由や思考のクセ

    居場所がないと感じるのは理由があります

居場所がないと感じるときの理由や、居場所がないと感じている人の心理、思考のクセは、主に下記の4つと考えられます。実際のところ、居場所がないと感じるのは、物理的な要因ではなく心理的な要因によるものが大きいようです。

思い込みが激しくネガティブで、自己肯定感が低い

居場所がないと感じている人は、思い込みが激しくネガティブな状態に陥っている可能性があります。

例えば自分がうまく会話の輪に入れないときに、実際には周りの人にそのつもりはないのに「自分の話を聞いてもらえない」「自分には話しかけてもらえない」などととらえてしまいます。そうやって自己否定を繰り返していると、結果として物理的に居場所はあるにもかかわらず「居場所がない」と感じてしまうのです。

自分の素を出せていない

ありのままの自分でいられず本音を言えないでいる人も、「居場所がない」と感じやすいでしょう。

自分の素を出せずにうわべだけの受け答えをしていると、そこには仮面をかぶった自分はいても、本来の自分はいないように感じてしまいます。

一度自分の素を出せなくなると本音で接するべきタイミングを逃し、結局居場所がない状態が続いてしまうことになるでしょう。

トラウマを抱えている

居場所がないと感じる理由には、トラウマを抱えている場合があります。

過去に仲間外れにされた、周囲と意見が合わず孤立したなど、居場所を失ってつらい経験をした人は、居場所を強く求めるあまり相手の反応に敏感になりすぎていることがあります。

そのためちょっとしたことでトラウマになった体験を思い出すと、不安にかられ居場所がないと感じてしまいます。

他人の考えを認められない

生まれも育ちも異なる他人と同じ空間にいるとき、互いの異なる価値観や意見を認めることはとても重要です。しかし居場所がないと感じる人は、他人とは価値観や意見が異なって当たり前、という考えがない人もいます。

他人の考えを認められない人は、「なぜみんな、私の意見と違うんだ」と、疎外感を抱いてしまうかもしれません。また自分の意見ばかりを主張すると、話が通じない人、協調性のない人と思われ、実際に居場所をなくしてしまうこともあるでしょう。

居場所がないと感じたときはこう考えよう

  • 居場所がないと感じたときに試したい考え方

    居場所がないと感じたときは考え方を変えることが大切です

居場所がないと感じたときに役立つ考え方を3つご紹介します。ネガティブな考えになっているときは、これらを思い出してみてください。

自分の居場所は他にもある

居場所がないと感じたら「自分の居場所は他にもある」という認識を持つことです。

人は社会的な生き物で、多くの場合、何かしらのコミュニティーに属して生きています。例えば家庭、そして職場や学校の、2つの物理的な居場所が主に考えられるでしょう。

たとえ職場や学校で周囲と打ち解けられず、居場所がないと感じたとしても、そこにこだわる必要はありません。もちろん自分の努力次第で居場所に変えることもできますが、場合によっては無理に合わせようとして結局自分の素を出せずにさらなる疎外感を抱いてしまうことになるかもしれないからです。職場や学校はあくまで仕事や勉強の場と割り切り、家族との時間を大切に過ごす、趣味の仲間を他で見つけるなど、一つの居場所にこだわり過ぎずに他にも自分の居場所はきちんとあるという認識を持つようにしましょう。

また職場や学校であれば、転職や独立、転校などの選択肢もあります。できるだけ視野を広く持つようにしましょう。

「居場所がない」はセルフイメージ

居場所がないというのは、あくまでも自分のセルフイメージかもしれないと認識しましょう。実際に、物理的に居場所がないということはほとんどなく、居場所がないと感じるのは心理的な要因である可能性が高いのです。

話に入れないのを「自分の話を聞いてもらえない」「話しかけてもらえない」ととらえてしまうかもしれませんが、それはあくまでも自分の想像でしかありません。相手に直接言われたわけではないのであれば「居場所がない」という感覚は自分で作り出してしまっているのです。

「居場所がない」と感じるのが自分のセルフイメージであることに気付ければ、あとは「居場所はちゃんとある」とセルフイメージを置き換えることが大切です。

自分を認めてあげる

居場所がないと感じる人の多くは、自分が話の中に入れない状況をネガティブにとらえて自己否定してしまいがち。本当は居場所があるのにもかかわらず居場所がないと感じてしまう傾向があります。また、「受け入れてもらえないのは自分のここがダメだからだ」などと、必要以上に自分を責めていませんか?

人間は誰しも完璧ではありません。仮にあなたに本当にダメな点があったとしても、それは当然のことで、ダメな点があっても周囲の人はあなたを認めてくれるはずです。まずは自分が自分を認める努力、自己肯定感を高める努力をしましょう。

きちんと他人に受け入れられている、認められている自分であると自分自身が前向きに思うことで、周りの見え方も変わってくるはずです。

居場所がない人が居場所を作るための具体的な対処法

  • 居場所を作るための対処法

    居場所を作るための対処法を紹介します

居場所がないと感じている人が居場所を作るための、具体的な対処法をご紹介します。

物の見方を変える

居場所がないと感じることがセルフイメージのせいならば、物の見方を変えるだけで居場所を作ることができます。

例えば自己否定しがちな人は、自分を認めるだけでそこが居場所になるでしょう。また他人の意見を受け入れられず居場所を失いがちな人は、他人の意見を受け入れる努力をすることで居場所を作れるかもしれません。

没頭できる趣味を見つける、勉強や地域活動に取り組むなど

今あるコミュニティーで居場所がないと感じるのであれば、新しく居場所を作るのも一つの手です。

もっとも手軽なのは、趣味や勉強に取り組むなどして自分の世界に没頭することです。他人が介在しない場所であれば、自分の居場所がないと落ち込む必要もありません。またもしかすると、その趣味や勉強を通じて、話の合う仲間を見つけることもできるかもしれません。

仕事のスキルに関連する勉強であれば、勉強を極めて仕事で役立つ人材に成長しながら、居場所を取り戻せる可能性もあります。

近年では、職場や家庭以外のサードプレイスの必要性も注目されています。地域のつながりを作ったり勉強で視野を広げたりすることで、職場と家庭以外の新しい居場所を作ることができるでしょう。

プロに相談してみる

居場所を作るための対処法として、プロに相談するという方法もあります。

居場所がない、と感じるのはセルフイメージが原因かもしれないと理解はできても、これまでの思考のクセをすぐに変えることはできないと思う人もいるでしょう。その場合は、一緒に考えてくれる、カウンセリングのプロの力を借りるのがおすすめです。

ここでは、心の悩み相談にのってくれる公的機関を2つご紹介します。

  • まもろうよ こころ

「まもろうよ こころ」は厚生労働省がとりまとめているサイトです。ここから、電話での相談はもちろん、LINEなどのSNSやウェブチャットでの相談もできます。

電話で話して気持ちを楽にしたいというときも、電話では一歩踏み出せないというときも、安心して相談できる環境を整えています。電話もSNSも24時間365日対応している窓口もあるので、人に話せるくらい気持ちが落ち着いたタイミングや、逆にどうしようもなくつらくなったとき、すぐに相談できます。

サイト内には、法的分野や金融分野にかかわる相談窓口もあり、幅広い悩みに対する相談が可能です。

  • 東京都こころといのちのほっとナビ(ここナビ)

「東京都こころといのちのほっとナビ」とは、東京都福祉保健局がとりまとめているサイトです。心の悩みや周囲の人間関係の悩みなどちょっとしたことでも、ここから電話やLINEで相談ができます。

「電話やLINEも少しハードルが高い」「こんなに小さな悩みを相談してもいいのか」と迷ったときも、まずはサイトを見てみることをおすすめします。紹介されている悩みのカテゴリをクリックすると、より細かい問い合わせ先を紹介してくれます。

また今後は、AIチャットボットを用いて、より気軽に話せるシステムも検討されています。

居場所はどのような人にも必要! 自分の考え方も振り返って対応策を見つけよう

居場所がないと感じやすい場面や心理、解決方法などについてまとめました。

居場所がないと感じる理由の多くは、セルフイメージによるものです。他者と共存するためには、お互いに価値観や意見が違うことを受け入れ、自分も人も認めることが大切です。

思考のクセはすぐに変えるのは難しいかもしれませんが、考え方を少し変えるだけでも居場所を作ることにつながるので、ぜひトライしてみてください。