有機JAS(日本農林規格)認証を取得した農産物で、パルシステムのトップブランドである「コア・フード」。そんな「コア・フード」産地が集結するパルシステム生活協同組合連合会(以下、パルシステム)初のイベント「コア・フード フェスタ2022」が千葉県の農園リゾート「THE FARM」の特設会場にて12月10日に二部制で開催された。

■化学合成農薬、化学肥料を使わないパルシステムのトップブランド「コア・フード」

首都圏を中心とした地域生協とパルシステム共済生活協同組合連合会が加盟する連合会組織のパルシステム。食を中心とした商品の供給事業や共済・保険事業、福祉・電力事業などを展開しており、全国に先駆け個人宅配をスタートした生協でもある。

そんなパルシステムが1988年に策定した「農薬削減プログラム」の一環で生まれたのがコア・フード。化学合成農薬、化学肥料を使わない、有機JAS認証を取得した「有機農産物」、またはそれに準ずると判断された農産物だけが名乗ることができる(※有機JAS認証での使用可能資材を除く)。

■来場者は抽選を勝ち抜いた300人! 北海道から九州まで20以上の生産者と交流

  • イベントはグランピングでも有名な、和郷園の農園型交流施設「THE FARM」で開催

これまで毎年の商品展示会に加え、産直への工場ツアーや、オーガニックのイベントは開催してきたパルシステム。コロナ禍前より計画していた「コア・フード フェスタ2022」が今回念願の開催となった。

  • 環境保全型農業を推進し産直米を生産する千葉県「ちば緑耕舎」と有機米を栽培する千葉県「JAいすみ」

12月10日に開催された「コア・フード フェスタ2022」では、生産者による取り組みの紹介やこだわりの農産物の試食・販売が行われ、消費者である組合員と生産者が直接交流。

  • 左からみかんを栽培している熊本県「さかもとふるーつ」と愛媛県「無茶々園」

北は北海道から南は九州まで20以上の生産者、そして組合員は首都圏を中心に抽選を勝ち抜いた300人が参加した。

  • 左から地域循環型農業の確立を掲げる茨城県「エコーたまつくり」、オカヒジキの栽培を行う「寺島農場」

参加したのは野菜や果物、米、畜産物や牛乳の生産者などさまざま。

  • 左から若手生産者も多く活躍する千葉県「和郷園」、少量多品目の野菜を栽培する茨城県「有機農法ギルド」、「ちば風土の会」

有機栽培20年以上のベテラン集団「ちば風土の会」や、親子3代でオカヒジキを育て、現在は兄弟で栽培を実践している寺島農場などさまざまな産直産地の方が集結した。

  • 地元千葉県の飼料用水を使う地域循環型農業に取り組む千葉県「アグリイノベーションズカンパニー」と平飼いでたまごを作る茨城県「JAやさと」のブース

参加した組合員たちは各ブースで実際に農産物を見て、試食をして味を確かめながら生産者の話を聞いていた。

  • コア・フード牛肉を生産する北海道「宮北牧場」

各ブースでは農産物をそのまま提供するだけでなく、「地鶏しゃものスープ」や「コア・フード牛肉の焼肉」など、素材の良さが生きるよう調理を施した試食も提供された。

  • フィリピンネグロス島支援のためにマスコバルド糖の民衆交易を開始し、現在はバナナの栽培やペルーコーヒーなどの輸入も行う「オルター・トレード・ジャパン」

このほかバナナやみかんなどの果物の試食に加え、有機栽培されたペルー産コーヒー豆を使ったコーヒーの試飲を行うブースも。

  • 全て非遺伝子組み換えの飼料を用い、牧草など粗飼料の約70%を自給し牛乳を生産している「いわて奥中山高原」

牛乳を生産する「いわて奥中山高原」のブースでは、日本で一般的な超高温殺菌法の牛乳と、欧米で主流のパスチャライズド製法(高温短時間殺菌法と低温長時間殺菌法)の牛乳を飲み比べで提供。日本ではまだ知られていない、加熱臭がほとんどなく生乳に近い風味のパスチャライズド製法の牛乳の魅力を参加者にアピールした。

■ここだけでしか食べられないコア・フード特製弁当や、収穫体験も!

  • 産直事業本部の田本本部長、宮北牧場の宮北さん、有機農法ギルドの磯野さん、JAいすみの鮫田さん、産直委員委員長の佐々木理事長

イベントでは「産地の取り組みと戦略について」をテーマに、3産地が参加した産地ディスカッションも開催され、生産者が熱量高く語り合った。

「有機農業は大量生産が難しいが、生物の豊かさを実感しながら農産物を作ることができます。消費者の方にも田畑に出て感じてもらいたいからこのようなイベントで今後もアピールしていきたい」(磯野さん)

「産直をますます発展させていくことが、日本の農業が生き残る最善の道。産直で培った豊かな関係を自治体に持ち込んで受け継いでいきたい」(鮫田さん)

「まずはこういう場を実現できたことを喜びたい。ただ日本の畜産業は牛肉の輸入自由化からずっと苦境に立たされていて、生産者が疲弊すれば、生協、ゆくゆくは消費者も疲弊してしまいます。今後もこういう機会を設けていき消費者の方にも見守っていただきたいです」(宮北さん)

イベントでは試食以外に、コア・フードを使ってこの日のためだけに作られた「コア・フード特製弁当」が参加者に振舞われた。

中にはコア・フードの焼肉やコア・フード地鶏しゃも入り筑前煮、コア・フード平飼いたまごの卵焼き、有機ほうれん草のごまあえや有機若芽ひじき、有機米のあったかごはんが入っていた。ちなみに味付けもパルシステムのこだわり調味料を使っているという徹底ぶりだ。

イベント後半では希望者が参加できる収穫体験タイムが、敷地内の田畑で行われた。白菜、ネギ、青パパイヤの畑で子供たちも楽しみつつ、農業の大切さを学びながら収穫を体験していた。

「作る人と食べる人が直接交流し、五感でコア・フードの魅力を感じていただける貴重な機会となりました。今回が初開催でしたが、今後もこういったイベントを開催し、産直の魅力、コア・フードの魅力を発信していきたい」と話すパルシステム代表理事・専務理事の渋澤温之さん。

  • パルシステム代表理事 専務理事の渋澤温之さん

持続可能な生産を行う作り手の方を知り、その方々の想いを直に受け取り、食材のおいしさを享受できるのは、食体験として価値が高いと言えるだろう。今後の開催にも期待したい。