「分かる」「解る」「判る」はそれぞれさまざまなシーンで使われている言葉ですが正しい使い方、使い分け方法を聞かれると困ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
日本語には読みが同じであっても、文字にしたときの漢字によって意味や使い方が変化する言葉がいくつもあります。「分かる」「解る」「判る」も読みはすべて同じく「わかる」ですが、それぞれ意味や使い方が異なっています。
ここでは混同されてしまいがちな「分かる」「解る」「判る」の違いについてくわしくご紹介します。
「分かる」「解る」「判る」それぞれの意味や違いは?
「分かる」「解る」「判る」は読みが同じこともあり、同じ意味を持つと考えてしまいがちです。実際にそれぞれの漢字の意味は似ている部分もあるため、使い分けが難しくなってしまいます。しかし、使い方を誤ると正しく言葉のニュアンスが伝わらず、誤解を生んでしまう可能性もあります。
ここではまず「分かる」「解る」「判る」それぞれの意味や違いについてくわしくご紹介します。
分かるの意味
「分かる」はあらゆる物事に関する事情、道理などを理解することを意味します。相手の心情などを理解できることも「分かる」と表現されます。
「分かる」の意味は広く、以下でご紹介する「解る」「判る」の意味も含まれることがあります。そのため、どれを使えばいいのかわからない場合は「分かる」と表現するのが無難です。
解るの意味
「解る」は物事の持つ意味やくわしい内容、または価値を理解するという意味を持ちます。「理解」の「解」という字が使われていることからも、これらの意味はとてもわかりやすく、使いやすい表現です。
その他にも問題、問いに対する回答が「解る」といった形で使われることもあります。こちらも解答の「解」という意味であると解釈すると覚えやすくなります。
判るの意味
「判る」は何かが「判明」するという意味があります。「解る」が理解することであるのに対して「判る」はこれまで明らかになっていなかったこと、知らなかったことが「判る」という形で使われます。
物事の内容などを理解するのではなく、新しい事実などが発覚、判明した場合に使います。
「分かる」「解る」「判る」の違いとは?
それでは「分かる」「解る」「判る」の違いを改めて整理します。「分かる」の意味はとても広く、物事の意味や内容などを理解した際や新しい知識を得た場合、これまで明らかになっていなかったことが判明した場合にも使われます。つまり、3つの「わかる」の中でもっとも意味が広く、あらゆるシーンで使われます。
それに対して、「解る」と「判る」は意味がやや限定的であり、「分かる」に別のニュアンスを付与する際に使われます。前述の通り、いくつかの意味がありますが「解る」は理解する、「判る」は判明するというニュアンスで捉えると使い分けやすくなります。
「分かる」「解る」「判る」の使い分け方
すでにご紹介した通り「分かる」「解る」「判る」にはそれぞれ違った意味やニュアンスがあります。しかし、ただ意味がわかってもどのように使い分ければいいのかわからないという方も多いようです。
ここからは3つの言葉の使い分けについてよりくわしくご紹介します。
何が「わかる」のかを考える
使い分ける際のポイントのひとつとなるのが、何が「わかる」のかという点です。物事の内容などであれば理解するという意味のある「解る」、未定だった予定であれば判明するという意味のある「判る」を使います。
「わかる」対象を理解するものなのか、判明するものなのかを考えるとよりわかりやすくなります。
どちらを使えばいいのかわからないのであれば、より幅広い意味を持つ「分かる」を使うと安心です。
「解る」と「判る」の両方が使えるケース
「解る」と「判る」にはそれぞれ異なった意味がありますが、両方が使えるシーンがあります。例えば、問題などに対する答えが「わかる」場合、考えた結果問題の内容などを理解して「わかる」のであれば「解る」が適切です。一方、答えが判明したという意味であれば「判る」が使われます。
同じ文脈であっても「解る」と「判る」の両方が使えるシーンは多いものの、それぞれニュアンスが微妙に変わるので、どのように「わかる」のかを考えた上で使い分けることが大切です。
常用漢字は「分かる」でほとんどのシーンで使える
「わかる」には「分かる」「解る」「判る」の3種類の漢字があてられます。しかし、常用漢字として一般的に使われるのは「分かる」です。新聞や公文書のみでは基本的に「解る」「判る」は使わず、すべて「分かる」に統一されています。そのため「分かる」はほとんどの状況、シーンで使えます。
「分かる」「解る」「判る」の英語表現
「わかる」には英語表現がいくつかあります。ここでは代表的なものを2種類ピックアップしてご紹介します。
Know
Knowは「分かる」「理解する」という意味を持つ単語です。物事について自分の知識や経験などによって理解する、知っているといったニュアンスで使われます。
Understand
Understandも同様に「分かる」「理解する」という意味があります。Knowとの違いとしては物事の意味や仕組みなどを「理解する」というニュアンスがより強くなります。
「分かる」「解る」「判る」を使った例文
意味や基本的な使い方はわかっても、具体的にどのように使えば適切なのかわからないという方も多いかもしれません。最後に例文を挙げながら具体的な使い方をご紹介します。
「分かる」を使った例文
「分かる」は基本的にほとんどのシーンで使うことができる表現です。それでは「分かる」を使った例文をピックアップしてご紹介します。
・私には彼の気持ちがよく分かる
・彼は足音が大きいからすぐに来たのが分かる
・君であれば大切なものをなくした気持ちが分かるはずだ
・ようやくこのトラブルの原因が分かった
・時間をかけることで事の重大さが分かった
「解る」を使った例文
「解る」にはさまざまな物事などを「理解する」というニュアンスが大きい言葉です。例文を挙げながら使い方をご紹介します。
・ようやく政治について解るようになってきた
・君の考えていたことが今であれば解る
・基礎を学びなおすことによってようやくこの問題が解るようになった
・よく考えなければこの作品の本当の面白さは解らないだろう
・何度も読み返すことによって問題文の意味が解った
「判る」を使った例文
「判る」は何かが判明するといったニュアンスで使われる言葉です。例文を挙げながらご紹介します。
・来週の予定は明日になれば判る
・今日中には先日の検査の結果が判るはずだ
・試験の結果が判るまでは何ともいえない状況だ
・ずっと行方不明だった知人の居場所が判った
・映像を確認すれば当時の状況がはっきりと判るだろう
「分かる」「解る」「判る」の意味を知って使い分けよう
同じ「わかる」という言葉にも「分かる」「解る」「判る」といった3つの漢字が使われることがあります。それぞれニュアンスが異なっているため、それぞれの意味を理解した上で使い分けることが重要です。
正しく使い分けるには「何」が「どのように」「わかる」のかを考えることが重要となります。また、常用漢字として公文書や新聞に使われるのは「分かる」であるため、ほとんどの場面で使えるという点も頭に入れておくと表現の幅が広がります。さらに、今回ご紹介した例文と一緒に使い分け方を身につけてみてください。