映画やドラマなど、自宅でテレビをゆったりと視聴するのが好きな人は、BSやCSを契約しているかもしれません。しかし、BS・CSを視聴したことがあるという人でも、BSとCSは衛星放送ということはなんとなく理解できていても、なぜ区別されているのか、細かな違いについて知らない人は多いものです。

そこで今回は、BSとCSの違いについてわかりやすく解説します。さらに地上デジタル放送(地デジ)との違いやケーブルテレビについても紹介しますので、知識を深めるための参考にしてください。

  • BSとCSの違いとは?

    BSとCSの違いについてわかりやすく解説します

BSとCSの違いとは?

  • BSとCSの違いとは?

    BSとCSはどちらも衛星放送のことです

BS(Broadcasting Satellites)放送、CS(Communication Satellites)放送ともに、人工衛星の意味がある「Satellite」が入っています。このことから、BS・CSのいずれも衛星放送だということがわかります。

しかし、なぜBS・CSと区別して表現をされているのでしょうか。それぞれの意味について詳しくみていきましょう。

BSとCSは衛星の種類が違う

すでに紹介したように、BSとCSは衛星放送です。赤道上空36,000kmにある人工衛星を使って電波を送り、それを各家庭で設置したパラボラアンテナで受信することで放送を視聴できる仕組みです。

BSとCSは人工衛星を使った衛星放送であるという点では同じですが、使用している人工衛星の種類が違います。

BS(Broadcasting Satellite)は日本語に直訳すると「放送衛星」。家庭でのテレビ放送を目的としてつくられた人工衛星です。対してCS(Communications Satellite)は、日本語に置き換えると「通信衛星」の意味があります。こちらは放送ではなく、通信を目的としてつくられた人工衛星です。

元々は放送目的が違っていた

BSは一般の家庭で視聴するための衛星放送なので、ニュース番組やドラマ、映画など日常的なテレビ視聴を想定してつくられています。

一方、CSは通信衛星というもので、事業者や企業といった特定の受信者向けにつくられたものでした。一般家庭向けではなかったのですが、1989年に放送法が改正されてから、各家庭でも気軽に視聴できるようになり今に至っています。

有料と無料の違いがある

BSとCSの大きな違いは料金設定です。BSには無料で視聴可能なチャンネルが多いですが、CSはすべての番組が有料です。

BSは、WOWOWやスターチャンネル、NHKなどの一部のチャンネルを視聴する場合は別途視聴契約をする必要があり有料となりますが、無料で視聴できるチャンネルが多いです。民放各局がBSチャンネルを持っていて、ほとんどのチャンネルは契約の必要なく無料で視聴することができます。

一方、CS放送を視聴するためには、スカパーとの契約が必要で、すべてのチャンネルが有料放送になります。CSはBSと比べてチャンネル数がとても多く、スポーツや映画、アニメ、ドキュメンタリーの専門チャンネルなど、高い専門性を持った魅力的なチャンネルがそろっています。

BSとCSのアンテナは違うの?

  • BSとCSのアンテナは違うの?

    パラボラアンテナは正しく設置しないと視聴できません

BSとCSは衛星放送なので、視聴するためには電波を受信しなければいけません。そのために必要となるのが白いお皿のような形をした「パラボラアンテナ」です。家の前やベランダなどに設置されているのをみかけたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

ここからは、BS・CSを視聴するために必要なアンテナについて紹介していきます。

かつては別だったが今は同じアンテナで視聴できる

BSの人工衛星がある角度は「110度」。CSの人工衛星は「110度・124度・128度」にあります。

かつては、BSとCSの人工衛星は違う角度にあり、BSとCSの両方を視聴するためには2つのアンテナが必要でした。しかし現在では、どちらの人工衛星も同じ110度の角度にあります。そのため、110度から電波を受信できるアンテナが1つあれば、どちらの放送も視聴できるようになっています。

ちなみに、CSの110度は「スカパー! 」ですが、124度・128度は「スカパー! プレミアム」を視聴する際に使用します。「スカパー! プレミアム」を視聴する場合は110度対応アンテナではなく、124度・128度に対応したアンテナを用意する必要があります。

アンテナの設置場所

BS・CSを視聴するためには、パラボラアンテナを設置します。アンテナは人工衛星がある南西方向に向けて設置しますが、南西方向に電波を妨げる障害物があると受信できません。受信のしやすさを考えると、アンテナは屋外に設置するのが基本でしょう。

マンションやアパートなど集合住宅には、共同アンテナが設置されている場合もあります。共同アンテナが設置されている集合住宅では、自分でアンテナを設置しなくても、視聴契約をするだけでBS・CS放送を楽しむことができます。

安定した放送を楽しむならアンテナは屋外に設置すると安心ですが、「景観を損なうのが嫌だ」「設置する場所が屋外にはない・禁止されている」などのケースもあります。屋外設置が難しい場合は、電波が受信できる環境であれば屋内に設置することもできます。

屋内にアンテナを設置する場合、電波を受信しやすいよう南西方向に窓がある場所を選ぶ必要があります。また、​​複層ガラスのような特殊ガラスを使用している窓はうまく受信できない可能性が高くなってしまうでしょう。さらに、アンテナを設置するためにはスペースを十分に確保しなければいけないため、広さに余裕がある部屋が理想です。

視聴するためにはアンテナの他に何が必要?

  • 視聴するためにはアンテナの他に何が必要?

    衛星放送を視聴するためにはチューナーやケーブルが必要です

衛星放送はアンテナを設置するだけでは視聴することができません。アンテナ以外にもいくつか必要となるアイテムがありますので、こちらも事前にチェックしておいてください。

視聴するためには専用チューナーも必要

BS・CSの放送を楽しむためには、チューナーが必要になります。しかし最近では市販されているテレビの多くがチューナーを内蔵しているため、わざわざ買い足さなくても視聴できることがほとんどです。チューナーが内蔵されていないテレビで視聴する場合は、専用チューナーを用意するようにしましょう。

自宅のテレビにチューナーが内蔵されているのかがわからない場合は、
・「BS」と書かれたロゴがテレビに書かれていないか
・リモコンに「BS・CSボタン」があるかどうか
以上で判断してみてください。

アンテナとテレビをつなぐケーブル

BS・CS放送を視聴するためには、テレビとアンテナをつなぐためのケーブルが必要です。注意したいのは接続するアンテナ端子は住まいによって違うという点です。

例えば、地上波とBSの端子が別になっている場合、地上波とBSの両方を視聴するためには2本のケーブルが必要になります。端子が1つでしたら、分波器を用意しなければBS・CSの視聴ができません。

間違ったケーブルを購入しないように、視聴したい部屋にどんな端子がついているのかを事前に確認してからケーブルを購入するようにしましょう。

B-CASカード

BS・CS放送を視聴するためには、B-CASカードが必要になります。

B-CASカードとは、地上デジタル放送(地デジ)を受信できる受信機に同梱されているカードのことです。一般的に市販のテレビを購入するとついてきますので、自分で別に用意する必要はありません。

地デジ専用の場合は青色のB-CASカードが付属していて、BS・CS・地デジが受信できるテレビには赤色のB-CASカードが付属しています。

地デジとBS・CSの違いは?

  • 地デジとBS・CSの違いは?

    地デジと衛星放送はどこから電波が送られてくるかの違いがあります

同じテレビで視聴できることもあり、BS・CSと地デジの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか。

BS・CSは人工衛星を使った衛星放送ですが、地デジは放送局から送った電波を中継所のような施設を経由し各家庭まで届けています。BS・CSは空の上から電波を送信しているのに対し、地デジは親局も中継所のどちらも地上にあると理解しておきましょう。

ケーブルテレビとの違いは?

ケーブルテレビはアンテナがなくてもたくさんのチャンネルを楽しめる点で、BS・CS・地デジと大きな違いがあります。

ケーブルテレビでは、光ケーブルや同軸ケーブルを使って映像や音声を届けています。たくさんの事業者がケーブルテレビの運営を行っており、運営会社により視聴できるテレビ番組が違いますが、BSやCS放送のアンテナがない状態で視聴することが可能です。

BSとCSは使用している衛星が違う

BSとCSは、どちらも人工衛星から電波を送信しているという点は同じですが、使用している人工衛星が違うのが大きな相違点です。また、地デジは放送局から電波を届けているため、BS・CSとは違ったシステムの放送を家庭でみているということになります。

BSには無料で視聴できるチャンネルがありますが、CSは基本的にスカパーと契約をして使用するという点も大きな違いです。

BS・CSのどちらも視聴できる環境を整えれば、とても多くのチャンネルを視聴できるようになり、何をみようかとワクワクする日々が送れます。BS・CSで家時間を充実させてみてくださいね。