国税庁は11月24日、2022年6月までの1年間(2021事務年度)に実施した所得税及び消費税調査の結果を発表した。それによると、いわゆる富裕層の申告漏れは839億円となり、富裕層の統計を開始した2009年以降で最高額を記録した。

富裕層の申告漏れ、1件当たり3,767万円

  • 富裕層に対する調査の状況(出典:国税庁Webサイト)

全体の調査件数は前年度比19.4%増の59万9,747件。このうち申告漏れ等の非違があった件数は同13.6%増の31万7,189件だった。

実施調査による申告漏れ所得金額は4,198億円で、うち特別調査・一般調査によるものは3,882億円、着眼調査によるものは316億円。また、簡易な接触による申告漏れ所得額は3,004億円で、申告漏れ所得の総額は同29.1%増の7,202億円となった。

実地調査による追徴税額は804億円で、うち特別調査・一般調査によるものは777億円、着眼調査によるものは26億円。また、簡易な接触による追徴税額は254億円で、追徴税額の総額は同44.5%増の1,058億円となった。

富裕層に対する調査件数は同3.2%増の2,227件。1件当たりの申告漏れ所得金額は同66.8%増の3,767万円と過去最高を更新し、所得税の実地調査(特別・一般)全体(1,613万円)の2.3倍となった。また、申告漏れ所得金額の総額も同72.3%増の839億円と過去最高を更新した。

1件当たりの追徴税額は同96.5%増の1,067万円と過去最高を記録し、追徴税額の総額は同103.4%増の238億円に上った。特に海外投資を行っている富裕層に対しては、1件当たりの追徴税額は同235.9%増の2,953万円と、所得税の実地調査全体(323万円)の9.1倍と高額となった。