第一生命経済研究所は11月10日、「2022年・冬のボーナス予測」を発表した。それによると、民間企業の冬のボーナス支給額は前年と比べて2.6%増加すると予想し、2022年夏ボーナス(前年比2.4%増)に続いて、「比較的高い伸びが実現するだろう」と分析している。
個人消費、物価化上昇が懸念材料
同調査では、増加要因として企業業績の改善を挙げており、「コロナ禍で大幅に落ち込んだ20 年度の大幅な落ち込みからの反動によって21年度の企業収益は大幅増となっていたが、22年度に入ってからも原材料価格の高騰という逆風が吹く中でも底堅い推移が続いている。こうした業績の改善が、ボーナス増の後押しとなるだろう」と分析している。
また、中小企業を中心とした人手不足感の高まりも、「人材確保の観点からボーナスの引き上げに繋がる可能性がある」としている。
ただし、同調査は、今回のボーナス増加はコロナ禍による落ち込み(2020年冬:2.6%減、2021年冬:0.1%増)からの戻りという面が大きいと指摘。水準では、コロナ禍前の2019年冬並みの金額にとどまると見込んでいる。また、ボーナスの支給がない労働者も含めた平均でみると、2020年冬(6.1%減)に大きく落ち込んだ分を取り戻すことはできないと見ている。
さらに、物価上昇も懸念材料であると指摘。2022年10~12月期の消費者物価数の上昇率は、前年比プラス3%台半ば~後半となる見通しで、「今冬のボーナスが比較的高い伸びになるとみられることは好材料ではあるが、それでも賃金の増加ペースが物価上昇に追い付かない状況には変わりがない。今冬のボーナス増加が個人消費の活性化に繋がる可能性は低いだろう」と予想している。