前作『ブラックパンサー』の公開から約4年半。アイドルの活動に加え、女優としても存在感を高めているが、自身はこの4年半での変化をどう感じているのだろうか。

「いろんなお仕事を並行してやらせていただくことがすごく多くて、グループの活動と個人の活動もそうですし、グループをやっていても1日にいろんなお仕事をさせていただくことがあって、そういうことが昔はあまり器用にできず、こんがらがるときがたくさんありましたが、今は抑えるポイントを学び、これとこれをやっておいたら大丈夫とか、解決策が前よりわかってきていると思います」

続けて、「例えば、ドラマとツアーを並行してやっているときの体調管理もそうですし、今日は曲のことだけを考える、今日は台本のことだけ考えて全部終わらせようとか、そういう風に自分の中で整理できるようになりました」と説明。「以前は焦ってどれもこれもやって全部中途半端になってしまうことがたくさんありましたが、最近は前より上手になったかなと思います」と語った。

経験を重ねて女優業への思いに変化はあるか尋ねると、「自分以外の人を演じるというのはすごく特殊な職業だなと、その楽しさや面白さを前よりたくさん知りました」とにっこり。やりがいが増す一方、「知れば知るほど落ち込む部分も増えてきて、難しい世界だなと感じています」とも話した。

乗り越えるのが大変だった大きな壁を尋ねると、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のように「自分の感情で出したことがないものを表現しなければいけないこと」と回答。また、「役をずっと演じていると、自分がどこにいるのかわからなくなるときがあって、役を演じているからなのか、ただ単に自分がこんがらがっているのか、ごちゃごちゃになってどうしようと思うことがあります」と明かした。

最近だと『僕の大好きな妻!』の撮影のときに、役が抜けず、役と自分が混じってしまったという。

「ツアーを並行していたのですが、リハーサルの時、自分で踊っていない気がして、すごくかっこいい曲なのにテンション高く踊っていたり、声の出し方も変わってきて、今誰が歌っているんだろうって。ボイストレーニングの先生に『普段そんな歌い方しないよね』と指摘され、『今までのように歌えばいいんだよ』と言われて、私は今までのようにやっているつもりでもうまくできなくて、役のキャラクターがステージに立って歌っているのかなと思うときがありました」

その逆もあり、「ライブのあとにドラマの撮影に行くと、ステージに立って帰ってきましたみたいな、役が非現実的になってしまい、監督から指摘を受けたことがありました」と告白。「切り替えがうまくなったと話しましたが、自分でも気づかないところでそんな風に影響が出ているんだなと思ったので、もう少しうまく向き合えるようになれたら」と語った。

アイドルと女優の相乗効果も実感している。「表現力を褒めていただくことが増えました。ステージでの表現力はお芝居の現場で学んだものが役に立っているものもありますし、逆に普段のステージでやっていることがお芝居に生きることもあります」

最後に、今後どのようになっていきたいか尋ねると、「どんなジャンルのお仕事でも、見ていただいた方が笑顔になってくださったり、今日も頑張ろうと思えたり、そういう気持ちを届けられたらいいなと。それは昔から変わっていません」と回答。

アイドルと女優の仕事のバランスは「全く考えていません」と言い、「いろんなタイミングとか、そういうものを大事にしていますが、本当に全部大切なんです。だからどれをどれくらいというのは考えていませんが、どのお仕事もしっかりとやりたいので、女優さんとしてもアイドルとしてもレベルアップしてもっと楽しんでいただけるように頑張りたいです」とまぶしい笑顔で語った。

■百田夏菜子
1994年7月12日生まれ。静岡県出身。ももいろクローバーZのリーダー。女優としては、映画『幕が上がる』(15)、『すくってごらん』(21)、連続テレビ小説『べっぴんさん』(16~17)、ドラマ『プラスティック・スマイル』(18)、『コタローは1人暮らし』(21)などに出演。『僕の大好きな妻!』(22)で連ドラ初主演。また、映画『かいけつゾロリ ZZ のひみつ』(17)、『ブラックパンサー』(18)、『魔女見習いをさがして』(20)などで声優も務めた。