東京商工リサーチは10月26日、上場企業の「従業員の配置転換・再配置」調査の結果を発表した。それによると、2022年に従業員の配置転換・再配置の実施を公表した上場企業は9月末時点で64社となった。新型コロナ感染拡大前の2019年(通年31社)と比べて2倍超となり、2019年以降の4年間で年間最多を記録した。

大企業で従業員の配転・再配置が増加

  • 配置転換・再配置転換の実施を公表した企業数(出典:東京商工リサーチWebサイト)

従業員の配置転換・再配置を実施した上場企業の市場区分をみると、コロナ前の2019年は東証1部が18社(構成比58.0%)だったが、コロナ禍以降の2020年は32社(同60.3%)、2021年は43社(同69.3%)と増加している。

上場区分が変更された2022年は、東証1部と同様に大企業で構成されるプライム市場が、9月末までに44社(同68.7%)と高水準で推移している。

業種別では、店舗の撤退や統廃合が続いている「銀行」が最も多く15社(同23.44%)。次いで「サービス」が8社(同12.50%)、「卸売」・「外食」が各5社(同7.81%)と続いた。コロナ禍前の2019年に5社で最多だった「電気機器」、同3社の「機械」は2020年以降は小康状態となっている。一方、「外食」「サービス」「アパレル」「輸送用機器」「陸運」はコロナ禍で実施企業が増加している。

東京商工リサーチは、「コロナ禍に加え、加速する円安、エネルギー価格の上昇、物価上昇など、依然として経営環境は厳しい状況が続くが、アフターコロナへ向けた従業員の定着は事業計画の安定に欠かせない。もともと重要な経営資源である労働力の維持は、賃金水準や福利厚生などが優位な大手企業ほど有利な状況にある。今後、大手企業と中小企業間による雇用のさらなる"二極化"が拡大する可能性が高まっている」と分析している。

同調査は、従業員の配置転換や再配置の実施を「会社情報に関する適時開示資料」(2022年9月30日公表分まで)などで情報開示し、具体的な内容を確認できた全上場企業を対象に、分析したもの。