さわかみ投信は10月3日、「上場企業・投資家・投資未経験者の『株式投資』のホンネ調査」の結果を発表した。調査は9月6日〜19日、20歳以上の男女650名(役員含む経営者50名、個人投資家・機関投資家・投資未経験者各200名)を対象にインターネットで行われた。

  • 投資未経験者にとっての「投資」

    投資未経験者にとっての「投資」

まず、投資未経験者に対して「投資と投機の違いを理解しているか?」と尋ねたところ、81.0%が「理解していない」と回答。また、投資に対するイメージを聞くと、投資におけるリターンを「ギャンブルに近い」と捉えている人が78.5%もいることが明らかに。ギャンブルのイメージを持ってしまう理由としては、「ニュースなどで”投資トラブル”として扱われるから」(45.9%)、「周囲で失敗した人が多いから」(21.7%)などがあがった。

  • 投資家にとっての「投資」

    投資家にとっての「投資」

続いて、投資家に対しても「投資と投機の違いを理解しているか?」と同様の質問をしたところ、「自信を持って理解している」人は24.3%と3割以下。大きなお金を運用する機関投資家でさえ理解が乏しいよう。また、日本で行われている投資に対するイメージを聞くと、「会社の存在意義よりも、株価の上下によるリターンを得ることを重視している」と感じている投資家が52.8%と半数を超えた。

さらに、2022年4月4日に東証の市場区分が再編されてから約半年が経った今、「自身の投資スタイルに変化がありましたか?」と尋ねたところ、85.8%が「変化がない」と回答。「企業の分類が変わったのみで、根本的には変わっていないという理解」「企業の姿勢や業績は変わらない」など、再編によるポジティブな影響は感じていないという、リアルなホンネが明らかとなった。

  • 上上場企業経営層の『株式投資』のホンネと実態

    上上場企業経営層の『株式投資』のホンネと実態

次に、投資をされている側である上場企業経営層のホンネについて調査した。その結果、上場企業経営層の60.0%が、「会社経営の意思決定をする上で、長期的に企業価値を高めることよりも、目の前の株価を優先することへの、株主からのプレッシャーを感じたことがある」と回答。そのうち、70.0%が「株主からのプレッシャーにより、中長期的な意思決定がしにくい」と答えており、投機的な経営を迫られていることが明らかに。

また、東証再編から半年、「自社の中長期的な意思決定に変化がない」という上場企業経営層は68.0%。「1部もプライムも変わりない」という声も上がった。

  • 上場企業経営層のホンネ

    上場企業経営層のホンネ

上場企業経営層に対し、会社を経営する上で「将来的な企業価値向上」について聞くと、実に90.0%が「最も大切である」と回答。しかしながら、「その視点で意思決定を実現できている」と回答したのは55.6%にとどまった。

その理由を紐解いてみると、「短期的利益を目標にする投機的株主の存在」「減益を避けるために、将来的に必要な特定分野の研究開発を断念する」などのホンネが寄せられ、投機的な株主の存在やプレッシャーが企業の意思決定に影響を及ぼしていることがうかがえた。

また、報道機関に対するリアルなホンネも聞いたところ、88.0%が「その日の株価のみではなく、未来の企業の成長可能性まで報じてほしい」と考えており、加えて、メディアは「その日の株価のみを報じていると感じる」と回答した人が46.0%に及んだ。