ブライダル事業を幅広く展開するノバレーゼは10月19日、廃棄予定のウエディングドレスを女児向けパーティードレスにアップサイクルし、レンタルする事業を発表した。

同社の100%子会社であるアンドユーが運営するECショップ「AND YOU DRESSING ROOM(アンドユードレッシングルーム)」にて、10月20日よりレンタルを開始。プレス発表会ではドレスを着用したキッズモデルも登場し、可愛らしい姿で会場を魅了した。

  • キッズモデルが着用している2着を含めた6着のドレスがレンタル開始

子どもに豊かな時間を提供し、SDGsに貢献する

廃棄される物に新たな価値をつけて生まれ変わらせる「アップサイクル」は、SDGsの実現に向けた新たな取り組みとして注目されている。ノバレーゼではこれまでレンタルの上限回数に達したウエディングドレスを裁断して廃棄してきたが、廃棄量の削減を目指してキッズドレスへのアップサイクルプロジェクトに着手した。

コロナ禍において結婚式や習い事の発表会などのイベントが減少し、子どもが素敵なドレスを身につける機会も減っている。ノバレーゼの財務経理部マネージャー岩井雄紀氏は「家族の誕生に関わるブライダル企業として、子どもたちの笑顔を守り、豊かな時間を提供したいと考えました」と本プロジェクト発足の背景を説明した。

女児のフォーマルドレスは、着用する機会が少ないままサイズアウトしてしまう場合も多い。しかし、ドレスアップをして過ごす時間は子どもにとって特別な体験になり、家族の大切な思い出にもなる。

そこで気軽に着る機会を増やすため、レンタル料金は3泊4日で3,300円(送料・クリーニング代込)という低価格にこだわったという。誕生日パーティーやクリスマスなどの身近なイベントでも着用しやすい価格設定だ。

東京モード学園の学生がデザイン

本プロジェクトの価値を社会全体に共有したいとの考えから、東京モード学園と産学連携をおこない、デザインからパターン制作までを協業で実施している。学生たちが考案した190案から採用された10案のデザインを、子どもの動きや特徴を考慮してブラッシュアップし、ノバレーゼのドレスケア部門のスタッフが制作した。

ダメージの大きい箇所は再利用できず、一枚の布として切り出せる部分が限られるため、1着のキッズドレスに対して1〜3着のウエディングドレスを使用。複数のドレスの生地やレース、リボンなどを組み合わせ、唯一無二のオリジナルデザインのドレスが完成する。

20代をメインターゲットするノバレーゼのドレスは、デザインやカラーが華やかなものが多く、女児向けのドレスに使用してもシックになりすぎない。今回お披露目されたドレスも、子どもらしい可愛らしさを残しつつ上品な仕上がりになっていた。

キッズモデルが着用しているドレスをデザインしたのは、東京モード学園ファッションデザイン学科4年の松井華さんと大嶋彩世さん。キッズ向けのデザインは初挑戦だったという2人は、階段などで引っ掛けて転ばないようにとドレス丈に気を配ったり、動きやすいようにアームホールを大きめにしたりと、大人向けドレスとは違う視点でのデザインについて語ってくれた。

  • (左から)アンドユー代表取締役社長 松田愛里氏、大嶋彩世さん、松井華さん、ノバレーゼ財務経理部マネージャー 岩井雄紀氏

ウエディングドレスの廃棄ゼロを目指す

岩井氏は「廃棄されるウエディングドレスを、最終的には限りなくゼロに近づけたい」とし、小物や雑貨などへのアップサイクルも考案していると今後の展望を語った。

今回レンタルが開始されているドレスは6型6着で、2023年春には10型10着に拡充を予定している。現状は110〜120cmのワンサイズ(対象年齢5〜6歳)のみだが、今後は小学生を対象にサイズ展開していくとのこと。