俳優の高杉真宙主演の映画『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』が現在公開中だ。脚本家の矢沢由美氏によるオリジナル企画を長崎俊一監督が映画化した同作は、海辺の小さな町で医師として働く主人公・俊英(高杉)のもとに、彼の憧れていた女性とソックリな亜子(関水渚)が現れることから物語が始まる。胸ときめくも束の間、彼女の“こじらせ女子”っぷりに俊英の理想像はあっけなく砕けるが、図らずも亜子は俊英一家のもとで暮らすことになり、2人は心を通わせていく。

高杉はちょっとぶっきらぼうでありながら亜子を気にかけていく主人公・俊英を好演。現在は日本テレビ系バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』レギュラー出演、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』出演なども続く。インタビューでは、今回の作品で感じたことや、仕事に対する意識の変化などについて話を聞いた。

高杉真宙 撮影:友野雄

高杉真宙 撮影:友野雄

■“人見知り克服キャンペーン”

――まず今回の作品についてはどのように感じられましたか?

家族のあたたかいお話であると同時に、恋愛が強く絡んでいる作品でもあったので、今まであまりこのような作品に自分が触れ合ってこなかったという印象はありました。そういう作品ができる年齢になったんだ、ということを感じたりもしました。

――たしかに作品を見ながらも、かなり大人っぽくなられているように感じました。役柄的にも“Sっ気男子”などと言われていたりもしますが…

なかなか恥ずかしいです(笑)。ぶっきらぼうな印象ではあったので、自分としてはあんまり同じような言い回しはしないなと思いながら演じていて、慣れていくのに少々時間がかかった覚えがあります。どう見えたらきれいなのかなど、わからない中でも意識しながら演じました。

――意外と生っぽいというか、年齢としての等身大の恋愛観も感じました。

それならよかったです。関水さんとも気兼ねなくお話しながら進められたので、ありがたかったです。僕は現場でそんなに多く話さないですけど、今回はできるだけ話せるようにしたい、相談できるようにしたいと思いながらやっていました。

――今回は独立後初主演映画ということで、気合いなども入っていましたか?

そこまで意識はしなかったですね。単純に僕にお話をいただけるという部分でより一層気合いは入りましたけど「主演だからその場を引っ張っていこう」といった気持ちはなかったです。もう周りは先輩方ばかりですし、胸を借りて頑張っていこうという気持ちしかなく…引っ張っていこうなんておこがましいです。だから皆さんと一緒に作品を良き方向に持っていけたらいいなと思いながらやってました。

――大先輩が多い中、親友役でDJ松永さんが出演をされていました。

僕、ちょうど外出自粛期間にDJ松永さんが大会でDJをしている動画を見て「DJってこういうものだったんだ」と驚くくらい感動したことがあって、お会いできてうれしかったです。まさかお会いできるなんて思ってなかったですし、今の話はまだお伝えできてないんですけど、今度お会いできたら話したいと思います(笑)。本当にかっこよかったです。

――高杉さんは舞台挨拶などでも「人見知り」と言われることが多かったりしますが、今回はいかがでしたか?

ここ2年ぐらい、できるだけ 人見知りをなくしていかなきゃという気持ちが強くて。自分で自分のことを“人見知りと言わないようにしようキャンペーン”をやってるんです(笑)

――現在はバラエティにも出られてますが…

バラエティも、またベクトルが違っていて難しいんです。毎回色々な方とお会いしますし、そういう意味でも一歩進んでいければと思いながら、演技の現場でもいろいろ周囲の方と話していければと思っています。

――すごく精力的に活動されているように思います。改めて仕事に対する気持ちに変化などはありましたか?

そこまで何かが大きく変わった感覚はないですけど、自分自身の責任を持つという感覚は強くなった気がします。そういう意味では、自分で自分にプレッシャーをかけているというか……でもそれが良かったというか、楽しい気持ちは大きいです。

――そういう変化もあっての、“人見知り克服キャンペーン”だったりされるんですか?

キャンペーン自体はもっと前からだったんですけど、タイミングとしてちょうどよかったのかもしれません。自分から「人見知り」と言って保険をかけていくのは、もうそろそろ恥ずかしい年齢なんじゃないかなと思い始めて。それから自分で「人見知りなんです」と言うのをやめていこうと。そう思うようになったきかっけなどはもう覚えてないんですけど、そこからある程度……まだまだですけど、気持ち、しゃべれるようにはなりました(笑)。もともと無口なタイプではないのですが。

――お仕事について自分で決めることが多くなったりもしましたか?

そういうことも多くなりましたし、一つの仕事がそれだけで終わらない感覚と言ったらいいのかな? 実務的なことに携わることもありますし、大きな仕事の流れが知りたかったところでもあったので、よりリアルな実感を伴って仕事に臨めている気がします。

■高杉真宙
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年に舞台『エブリリトルシング‘09』で俳優活動をスタートさせる。映画『カルテット!』(11年)にて初主演。13年、『仮面ライダー鎧武/ガイム』に出演し注目される。映画『ぼんとリンちゃん』(14年)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。『散歩する侵略者』(17年)では毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞受賞。その後の主な映画出演作に、『笑顔の向こうに』(18年)、『十二人の死にたい子どもたち』(19年)、『前田建設ファンタジー営業部』(20年)、『糸』(20:瀬々敬久監督)、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』(21年)、今夏公開の『異動辞令は音楽隊!』(22年)など。また『賭ケグルイ』シリーズ(ドラマ18年・19年、映画19年・21年)、ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』(21年)、舞台『てにあまる』(20年)や『ライフ・イン・ザ・シアター』(22年)などジャンルに縛られず数多くの話題作に出演。さらにはバラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)にレギュラー出演など演技以外にも活動の場を広げている。現在放送中のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、ドラマ『PICU 小児集中治療室』にも出演中。