みなさんは転職先の会社を選ぶ際に、どんなことを基準にしていますか?

「なんとなく印象が良かった」「働きやすそうだった」というような曖昧な基準で決めると、後で後悔することもあるので見極めが大切です。今回は、企業を見極めるには、どのような部分に注意すれば良いのかをご紹介します。

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自分が何を一番大切にしたいかで企業選びの目線が異なる

マイナビ転職が実施している転職動向調査(※1)によると、入社を決めた理由の上位は下記となっています。

1位「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる」、「給与が良い」(10.9%)
2位「希望の勤務地である」(10.2%)
3位「会社に将来性、安定性がある」(6.1%)
4位「新しいキャリア・スキルを身につけることができる」(5.8%)
5位「一緒に働く上司・同僚が魅力的」(5.3%)

上記以外では「リモートワーク・在宅勤務が可能」などがあり、特にここ数年は働き方を変えることを目的にした会社選びという面で大きく変化があります。

会社選びで何を優先するのかは、その方が今置かれている状況などにもよると思います。『働き方を変えたい』、『キャリアアップを目指したい』、『給与を上げたい』、『人間関係の良い環境で働きたい』など、自分が絶対に譲れない“転職の軸”は何なのかを考えてみましょう。それにより、注力して見るポイントは異なります。

会社選びの条件としてはハード面とソフト面があります。ハード面でいうと条件面や制度、ソフト面でいうと一緒に働く人や働き方、会社の雰囲気などがあります。ハード面に該当する、条件面や制度は求人情報に記載されていますが、項目によっては分かりにくい表現もあるので、しっかり確認しておいたほうが安心です。

「良さそうな企業」という感覚だけで選ぶと失敗する可能性も

経済が不安定な中、大前提として安定した企業に入りたいと思う方も多いと思います。

必ずしも会社選びの指標になる訳ではありませんが、たとえば株式を公開している企業であれば過去3年分の「営業利益」を確認しておきましょう。併せて、企業に投下された総資本(総資産)が、利益獲得のためにどれだけ効率的に利用されているかを表す「ROA(総資本利益率)」も確認しておくと安心です。

規模の拡大を追求するため借入金が膨れあがっている企業もありますが、先行投資がしっかりできる企業は良い企業も多いため、その辺りの見極めも大事です。上場していない会社の場合は応募前の確認が難しいので、求人情報やHPに業績の記載がない場合は、面接でここ数年の業績推移について聞いてみるのも1つの手段です。

休日・休暇・各種手当などの福利厚生は、従業員数などの会社規模で見ると基本的なものが網羅されてる企業が多いというのは傾向としてありますが、一概には言いきれません。規模が小さな会社やベンチャー企業のほうが社員に寄り添った制度を揃えている企業もあります。

見極めとして重要なのは、その制度があるだけではなく、実際に運用されているものかどうかという事。たとえば「子育て支援制度」「リフレッシュ休暇」「ジョブローテーション制度」など、福利厚生や制度として存在していても、実際にあまり利用されていないケースもあります。育休復帰率など公表している企業もあるので、実際にどのくらい利用されているかどうかを見ておくとよいでしょう。

特に注意が必要なのが給与表記。残業代を定額で支払う制度である、「みなし残業代」「固定残業代」「裁量労働制」などが適用されているケースもあるので、よく確認しておきましょう。

離職率も企業によってはHPに記載している企業もあります。厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」のデータ(※2)を見ると離職率の全国平均が8.1%なので、目安にすると良いと思います。離職の原因が企業にある場合もありますが、コロナ禍でここ数年で急激に業績不振になった業界・企業もあるので、異業種転職する方は業界動向なども調べると出てくるのでぜひ参考にしてみてください。

雰囲気などのソフト面は情報収集が大事、面接で確認しておきましょう

人間関係や雰囲気という部分は、入社前に把握しにくいこともあり、離職の原因になりやすい傾向があります。会社の雰囲気や一緒に働く社員がどんな方なのか知りたい場合、社員インタビューが公開されている場合は必ず確認しておきましょう。マイナビ転職では求人情報以外に「+Stories.」という企業ブログも見れるようになっているので、どんな社員が活躍しているのか、雰囲気などを含めて確認することが出来ます。企業の採用サイトやSNSなどで紹介しているケースもあるので、応募や面接の前に一度確認してみましょう。

最近は、半数以上の面接がオンラインで実施されているため、最終面接や入社のタイミングで初めて企業を訪問するというケースも多いと思います。あまり情報のない企業の場合は、選考の段階で会社見学をお願いしてみるというのもアリです。難しそうであれば、面接の段階で「一緒に仕事をする方とお話させていただけないですか?」と伝えて、面接とは別に社員の方と面談の時間をいただくといった方法もあります。企業側もあなたの人となりや配属予定部署の社員との相性を意識している部分もあるので、快く受けてくれるはずです。

「企業規模が小さな会社はワンマン経営が多いのではないか」という不安をお持ちの方もいると思いますが、面接で「社長はどのような方でしょうか」とさりげなく聞いてみると「意思が強い」「社員想い」など、お人柄が見えてきます。

仮にワンマン経営であっても、社長がOKであればすぐに動けるスピード感があるなど、良い面もあるので一概にそれがダメというわけではありません。社員の方がイキイキと働けているかどうか、経営層と社員の関係性について聞いてみるとヒントが得られるかもしれません。

働き方という面で気になるのが労働時間だと思います。残業については求人情報に記載していることが多いのですが、担当業務や部署によって労働時間が異なるケースもあります。残業が多いことが理由で転職を検討しているなど、働き方を見直すことに重点を置いている場合は面接で確認を。それを確認することで企業からの印象が悪くなることはありません。

ただし、残業時間や休日休暇の質問だけを深堀りすると、その会社や仕事内容に魅力を感じているのではなく、働き方の部分だけに注目していると思われる場合もあるのであくまで質問の一つとして聞くようにすると良いでしょう。

古い体質の会社で勤務している場合、年功序列の会社ではなく若手にもチャンスがある環境でチャレンジしたいという方も多いと思います。マイナビ転職のケースを例にあげると求人情報に「20代の管理職登用実績あり」などの会社の特徴コードで絞り込みが出来る機能があるので、活用してみてください。


自分が何を大切にしたいかという企業選びの軸を持つことは、会社選びを成功させるためには重要です。ただし、企業側に求めるだけではなく、自分の適性や経験値が採用基準と合うかなどのバランスも大事。その軸とその方の経験の有無やキャリアプランとの掛け合わせによって、自分に合った企業を見つけることができるはずです。ぜひ転職活動に生かしてみていただければと思います。

※参照1:マイナビ転職「転職動向調査 2022年版(2021年実績)」(2022年3月)

※参照2:厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」