デジタル化が進み、オンでもオフでも「文字を書く」機会が減った現代。たまに手書きをすると、「漢字が出てこない……」や「なんだか上手く書けない……」と感じることも少なくないのではないでしょうか。

筆者も、そんな「文字を書かなくなった現代人」のひとり。このまま紙とペンとの距離は広がっていくばかりなのか……。と思っていたところ、気になるワークショップを見つけたので参加してみました。

参加したのは、先日開催された「コクヨのくふうフェス2022」のワークショップのひとつ、「ジャーナリング」。いったいどんな内容なのでしょうか。

  • 「コクヨのくふうフェス2022」の様子

ジャーナリングとは?

「ジャーナリング」という言葉をご存知ですか? 「書く瞑想」とも言われ、頭に浮かんだことや思いを紙に書いていく行為です。

と言われてもイマイチどんなことをするのかよく分からない……というわけで、さっそくワークショップの内容をご紹介していきましょう!

  • ジャーナリングとは? (「コクヨのくふうフェス2022」HPより)

講師はインド中央政府公認SVYASA認定ヨガ講師でもある瞑想ガイドのaoさん。

aoさんによると、ジャーナリングのステップは3つ。

・今この瞬間に意識を向ける
・頭(思考)を整理しスッキリさせる
・自分の本当の声を聴く

入門編となる今回は、この3つのステップを順に行っていきます。

今この瞬間に意識を向ける

まずは呼吸を整えて、意識を「今」に向ける作業。大きく伸びをしながら鼻から息を吸い、口から吐いていきます。

  • 呼吸を整え、意識を集中させる

可能ならあぐらをかいてもいいということで、イスの上ですがあぐらをかいてやってみました。普通に座っているよりも背筋がピンと伸びた気がします。

頭(思考)を整理しスッキリさせる

次に、今この瞬間にだけ意識を向けるというステップへ。過去や未来の悩みから解放され、幸せを感じることができるのだそう。

基本的にテーマは自由ですが、今回は「8月の振り返り」ということで、8月にあった出来事を10分間箇条書きで書いていきます。日常的に行う場合には、今日やることや今日の出来事などでもいいのだそう。

ポイントは、「とにかく手を止めないこと」。もし何も出てこなくなっても、「何も出てこない」と書くのです。

はじめはいろいろと8月の出来事が思い浮かんだものの、だんだんと出てこなくなってきます。10分は意外と長い。時々「出てこない」と書きながらも、考えているうちにどんどん集中が深まって、些細な出来事も浮かんでくるようになってきました。

8月の出来事をひたすら書いていっただけなのにすごく深く集中できた気がします。aoさんによると、毎日、週1回、月1回、年1回など、定期的に出来事を振り返ると頭が整理されていいそうです。

自分の本当の声を聴く

最後のステップは、自分の内なる声を聴いて、本当に大切にしたいものを知るワーク。

配られた紙には、「平和」「お金」「家庭」などさまざまなジャンルの80ワードが並んでいます。この中から自分の人生に欠かせない5つのワードを選んでいくという内容です。

ポイントは、頭で考えず直感で選ぶこと。それぞれのワードを見て、胸の中にいる自分がどのように反応するか、ただそれだけで取捨選択していきます。いきなり5つに絞るのが難しい場合は、まず10個のワードに絞り、そこから5つを決めます。

80のワードの中には、自分自身にとって大切なもの、他者とのかかわる上で大切なもの、社会で生きていく上で大切なものなど、どれも必要なものばかり。しかし5つを選ばなければいけません。

ひとつひとつ深く考えていると、「いや、でもやっぱりこれも常識的には……」となってしまうので、やはり直感で「自分にとって大切かどうか」のみで判断していくしかありません。そうして選ばれた5つが、“自分の本当の声”なのでしょう。

5つのワードが浮かび上がったら、それぞれを選んだ理由も書いていきます。直感で選んだ5つですが、理由をしっかり考えると自分の中で納得できるような気がしました。

最後に、参加者それぞれが選んだ5つのワードと感想を発表していきます。筆者は「お金」が入っていたので、少し恥ずかしかったのですが、aoさんが「そういう正直な人は好きです」と言ってくださったのがこの日一番うれしかったです。

  • ワークショップを終えて

ワークショップを終えて、「思考を整理すること」がなんとなく分かった気がしました。こんなに一つのことに深く集中する機会はあまりないこと、書くという作業を通して思考を落とし込んでいることを実感できることで、頭がスッキリとするのだと思います。

日常に追われ、雑多な日々に疲れてしまった人は、一度ジャーナリングに挑戦してみてはいかがでしょうか?