※編集部注:本記事はネタバレも一部含んでいます。知らない状態で映画をご覧になりたい方はご注意下さい。

人気バトルアクションシリーズ『HiGH&LOW』の最新作である、映画『HiGH&LOW THE WORST X(クロス)』が9日に公開される。『ハイロー』シリーズと高橋ヒロシ氏(※高は、はしごだか)による不良漫画『クローズ』『WORST』のクロスオーバー映画となり、前作の『HiGH&LOW THE WORST』は興行収入10億円超えのヒットで、新たなファンを開拓した。

今作で鬼邪高校の前に立ち塞がる三校連合、中でもエンジ色の学ランで通称”血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の一員として、中本悠太(NCT 127・YUTA)、三山凌輝(BE:FIRST・RYOKI)が参戦することも大きな話題に。さらにTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEの川村壱馬(花岡楓士雄役)、吉野北人(高城司役)と4人で劇中曲「Wings」を歌い、グループの垣根を越えたコラボも行われる。

今回は、瀬ノ門の頭である天下井公平役の三山凌輝にインタビュー。三山が演じる瀬ノ門の天下井と、中本が演じる須嵜が実は幼なじみだったということで、2人の関係性や、三山が感じる天下井というキャラクターについて話を聞いた。

■天下井がどうしてこういう人間になったのか

三山凌輝 撮影:友野雄

三山凌輝 撮影:友野雄

――公開後ということで踏み込んだ話も聞いていきたいんですけど、物語が進むにつれて天下井と須嵜が実は幼なじみだったということが明らかになっていきます。どのように感じて演じられていましたか?

子供時代のバックボーンが明らかになることによって、天下井の人間性の描きが一気に深くなるなと思いました。また、子供時代から現在までの中間地点が描かれていないからこそ、観ている方も「天下井にどんなことがあったのかな」と考えられるところがたくさんあると思いますので、そういう部分も面白いんじゃないかと思います。須嵜も、葛藤しながらも天下井に忠実に従っているのはなぜなのか、観ていくうちに理解できたり掘り下げられたりするのは、見どころだと思います。

――その間を埋める作業、背景を膨らませたりといったことはされていたんですか?

天下井がどうしてこういう人間になったんだろうということは、すごく考えました。家族の問題だったり、コンプレックスだったり、徐々に歪んできた人格が学校でも出てしまって、他人が信用できなくなるような経験だったりもあったはずで、もがいて抗って自分を作ろうとした結果、ああいった天下井が出来上がってしまったんじゃないかと。

そうやって自分で考えたバックボーンがあるからこそ、作中では須嵜に対する時に、いつもの天下井じゃないしゃべり方をしていたりして、観ている方にも「そういうことだったのか」とわかっていただけるんじゃないかなと思います。

――実際、天下井は須嵜に対してどういう感情を持っていたと思っていましたか?

すがる思いはあったんじゃないかなと思います。天下井としてもどういう風に接すればいいかわからないという気持ちもあっただろうし、自分も天下井の役に入った時に須嵜とどう接すればいいんだろうと迷っていたけど、それが正解だった気がして。心を閉じているんだけど、須嵜に対してはどうしても出てしまうものがある。昔の自分を知られているからこそ出てしまうような、ふとした表情だったり、しゃべりかけた時の一言が他の人に対するのとトーンが違ったりとか、そういうところですね。

■須嵜を受け入れた瞬間に、世界が変わる

――一方で、暴君としてのふるまいがあって、すごいこともされていましたが…。

やばいですよね……(笑)。でも、行動としてはすごいことしているけど、天下井はサイコパスだとかいうわけではなく、どこまでも人間として本気になっているからこそ、やってしまった。究極、もはやある意味1番人間味を感じるキャラクターかもしれません。振り切りすぎているという意味では、人間の真骨頂と同時に、強力な自尊心を見ているような……。

だから逆に、理解しやすいなと思いました。そういう人で、とにかくもがいているから、熱が生まれているんだな、と。間違えた方向に行ってしまって……やってることはひどいですけど、演じることによって理解はできるようになりました。だから、ただの悪じゃないというのか、悪いことをしても抜けきれない部分、人を殴っても決して快楽を得たりするわけじゃないと思いながら演じていました。

――このあと天下井はどうなるのかなとか、想像してみたことはありますか?

あります! でも、やっぱり変わりますよね。逆に仲間思いで男らしい人になっていく気もしますし。愛される人間になったら、またすごく変わるような気がします。熱の方向性が良い方に軌道修正されていくんじゃないかなとは感じました。須嵜という人物を受け入れた瞬間に、天下井にとっては世界が180度変わるので、天下井も変わると思います。

――いい頭になっていくんじゃないかと。

そうであってほしいです、僕も。

――ちなみに、もう1回観る時に注目してほしい、細かいこだわりの部分などはありますか?

いっぱいあるんですけど、最初のシーンは僕の声だけから始まるので、ぜひ注目してほしいです。作品を1度通して観れば、天下井がどういう人物だったのかわかってくるだろうし、天下井の最初の登場シーンは、作品的にも大事なシーンになるのではと思っていました。人を馬鹿にするような最初のテンション感だったり、世界観を表現できるように大事にして、何回かトーンを変えたり、役の雰囲気を変えて撮影したりしたんです。監督とも「何が正解だろうね」という話をすごくたくさんさせていただきました。本番でどれが使われたのか、見るまでは僕もわからなかったですし、最初のシーンとしてプレッシャーがあった部分として、見ていただけたら嬉しいです。

あとはやっぱり須嵜との関係性ですね。会話の中でリアルに関係が出ちゃうような言葉の紡ぎ方は意識し大切にしていたところですので、そのあたりも注目していただけたら嬉しいです。

■三山凌輝
1999年4月26日生まれ、愛知県出身。人気舞台やドラマ、映画などで俳優活動の傍ら2021年よりボーイズグループ・BE:FIRSTのメンバーとしてアーティスト活動も開始する。今作『HiGH&LOW THE WORST X』では、作品のキーマンとなる天下井公平役を熱演している。