「マイホームはマンション」と決めてはいるけど、新築か中古のどちらが自分に合っているか迷っている人も少なくないでしょう。必ずしも、新築に強いこだわりがなければ、値段や将来の売却、立地などを踏まえて中古も視野に入れ自分に合うものを選択することをおすすめします。

今回はマンション購入で中古と新築どちらが合っているかの判断ポイントをファイナンシャルプランナーが徹底解説しますので、参考にして下さい。

マンション購入の選択は2つある

マイホーム購入は、人生の一大イベントです。そのため、購入前に選択肢を把握しておいた方が良いでしょう。マンション購入には大まかに分けて、次の選択肢があります。

  • 新築:購入価格は高いが、誰も住んだことがなく設備等全て新品
  • 中古:購入価格は安いが、前住居者がいて設備等が中古品であることが多い

マンション購入で新築と中古、どちらが自分自身に合っているかの判断は簡単ではありません。購入時の価格だけを見れば、当然中古マンションの方がお得です。しかし、ライフスタイルや今後の人生設計、マイホームに求める理想など、様々な要素を考えると、一概に新築・中古のどちらが良いかは判断できません。

一概に判断できないからこそ、自分や家族にとってどちらが合っているかを、考えて選択する必要があります。

判断基準のポイントは?

新築マンションと中古マンションのどちらを購入するか考える際は、4つのポイントを確認してください。

  • 値段
  • 売却の有無
  • 立地
  • 維持費

この4つは全て、今後のライフスタイルに大きく関わってくるので事前に把握した上でマンション購入の検討材料にした方が良いでしょう。

ここからは、それぞれのポイントについて新築マンションと中古マンションでの違いについて紹介していきます。

値段

まずは、新築マンションと中古マンションの平均物件価格を紹介します。

一例として調査データをあげると、首都圏の新築分譲マンションの平均物件価格は6,379万円(株式会社不動産経済研究所『首都圏 新築分譲マンション市場動向 2022年7月』より)、中古マンションの平均物件価格は4,348万円(公益財団法人 東日本不動産流通機構『Market Watch サマリーレポート 2022年7月度』)となっています。

次に購入時に必要な、諸費用を紹介します。

一般的に、諸費用は新築マンションの場合物件価格の3%~5%、中古マンションの場合6%~8%掛かると言われているので、それを踏まえてみていきましょう。

【諸費用】
➤新築・中古どちらも
①印紙税:売買契約書に印紙を張って納める国税
②融資手数料:住宅ローンを借りる金融機関に支払う手数料
③保証料:住宅ローンの支払が困難になった場合に代わりに残債を支払ってくれる保障会社に支払う保険料
④火災保険料:住宅ローンを借りる際に契約する保険料
⑤登録免許税:物件を登記するときに支払う税金
⑥不動産取得税:土地や建物を取得した際に掛かる税金
⑦固定資産税・都市計画税:土地や建物の所有に掛かる税金。中古の場合は売主と買主の所有期間を1月1日から算出して分割して支払う

➤新築のみ(一部中古マンションでも必要になるケース有)
①修繕積立金:将来の大規模修繕に備えての費用で、毎月分割か入居時一括で支払う
②管理組合準備金:管理組合設立時の費用で一括で支払う

➤中古のみ
①仲介手数料:売買を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料

マンション購入時は、これらの費用が希望の物件に対してどれくらい必要になってくるかを確認しましょう。物件価格に対する諸費用の総額も含めて、考えてみるとよりお得に購入できるかもしれません。

将来、売却する予定があるか

新築マンションと中古マンションの購入を考える際は、将来売却する可能性があるかどうかも重要な判断基準のポイントになります。ここでは、物件価値の下落という点をポイントに見ておきましょう。

購入時からの物件価値の下落を考えると、新築マンションは1秒でも住むと10%~15%ほど価値が下落します。一方で中古マンションの下落率は緩やかです。

特に、築10年以上の中古マンションであれば、新築マンションよりも大幅に安く買うことも可能です。このように、何年後に物件を売却するかを念頭に置き、住宅ローンの残債額と比較しながら、購入前に検討するようにして下さい。

もちろん、売却価格は立地なども大きく関わってきますので、その点も確認するようにしましょう。

立地

次に立地という観点から確認していきます。立地選びのポイントとしてあげられるのは、多くの人が望む、駅近や商業施設や学校などが近くにあるなどの利便性です。古くから良い場所を押さえて建築しているケースもあり新築より中古の方が立地の良いケースもあります。立地に求める条件は購入者によって異なるので、中古マンションでも十分条件を満たす立地の物件もあります。

自分にとって欠かせない立地条件を明確にした上で、検討するようにしましょう。

維持費

購入したマンションの維持費がどれくらい必要になってくるかも大切なポイントです。マンションは建物ですので、当然経年劣化などに対して修繕が必要になってきます。この費用は管理費や修繕積立金として、各入居者から決まった額を毎月徴収することで賄われていることがほとんどです。

そのため、大規模な修繕を行う可能性の高い中古物件の方が維持費が大きくなる可能性が高くなります。

そのため、新築・中古どちらを購入するにしても何年後にどれくらいの修繕費用が必要になってくるかを、事前に不動産屋に質問したり自分で確認したりするようにしましょう。

最後に中古・新築のそれぞれのメリットについて紹介しますので、違った観点から確認してください。

中古マンションのメリット

中古マンションのメリットを考えた際、選択肢の幅が広いということが大きなメリットになります。

新築マンションと違い、購入前から既に物件が完工していて、内見も可能で間取りなどを確認した上で購入できるので、入居後に感じるギャップは少ないはずです。

この点、物件が完工する前に購入を決定することが多い新築マンションと比べると、優れたポイントといえます。

新築マンションのメリット

新築マンションのメリットとしては、何と言っても最初の入居者になれるということです。上述した通り、新築は1秒でも住むと価値が大幅に下落します。それは、それだけ新築という状態に高い価値があるということです。

マイホームは絶対に新築と考えている人にとっては、このメリットはとても大きいと考えられるでしょう。

まとめ

新築マンションを購入するのか中古マンションを購入するのかは、購入者の求める条件によって判断することが大切です。ただ、闇雲にイメージだけで判断するのではなく、今回の記事でご紹介したことを参考に、具体的な費用やライフプランを明確にした上で、判断するようにしましょう。自分自身で判断することが難しい人は、住まいとお金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーに相談してみてください。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ