皆さんは最近、新しい本や映画、ドラマとどのような出会い方をしていますか?
おそらく、AmazonやSNSなどでのレビューや口コミなどを参考にセレクトしている方が多いと思います。

そうやってある程度の内容を事前に精査することで「ハズレ」を引く確率を下げることができますから、その手法はエンタメの楽しみ方としてはとても効率的だと言えそうです。一方、そんな“便利さ”に一抹の寂しさを感じている人も少なくないようで……。

ツイッター上では現在、こんな投稿が多くの人の共感を呼んでいます。

中学生の頃、金が無いのでよく図書館で小説を借りていた。本棚にズラッと並ぶハードカバーから、直感だけを頼りに本を選ぶ。著者の来歴も本のジャンルもわからない。アマゾンレビューが何点なのかも知らない。そういった読書にのみ得られる幸せがあった。俺にはもう”つまらない本”を読む豊かさはない。
(@DividedSelf_94より引用)

  • ※画像はイメージです。

投稿したのは「人間ジェネリック(@DividedSelf_94)」さん。

中学生時代は小説を買うのではなく、よく図書館で借りて読んでいたという人間ジェネリックさん。当時は棚にズラリと並んだ本の森の中から、自分の直感のみに頼って読みたい本を選んでいたそうです。

当然、ネットでの評価などもわかりません。もしかしたら、面白くなかったり、自分の好みには合わない本である可能性も少なくありません。しかし、著者の来歴や本のジャンル、読んだ人の評価など、事前情報が何もない状態での読書だからこそ得られる幸せがあったと回顧しています。

しかし、現在はもう時間の余裕などもなくなったのか、そうした“つまらない本”を読む豊かさはなくなってしまったという人間ジェネリックさん。仕方がないこととは言え、やはり物寂しさのようなものは残ってしまうようです。

このツイートは多くの人の共感を集め、3.6万件のいいねを獲得(8月29日時点)。多くのコメントも寄せられました。

「『おもしろい』という確信を得てからしか読まなくなりましたね・・・。効率はいいけど少し寂しいですよね」

「めちゃくちゃわかります…。読書が好きだと言うと、塾や学校の先生からなんの本を読むのか尋ねられる。答えても、その本は知らないと首を振られる。そんな頃が一番豊かだったのかもしれない…。気づいたら著名な古典やベストセラーなどばかり読むようになってしまった。また自由に読書したいものだ」

「10年ぶりに図書館に行った私は、何を読めばいいかわからずスマホで検索しました。その時の違和感って、そういうことだったんですね」

「面白いものだけ、美味しいものだけを選べてしまうのは、豊かではないね。むだやつまらないものに出会うのも面白であり、冒険でもあるんだよね」

「本の表紙買い、レコードのジャケ買い、そういうの無いですよね。食べ物屋さんも『食べログ』とかで…。あの福袋みたいなワクワク感が無くなりましたよね」

「刺さる! 無駄こそが最高の贅沢な時間の使い方」

「『つまらない本』に出会うことを『豊かさ』と表現する、この方の感性とても好きです。昔は誰しも当然備わっていた『自分の価値観』というものが、ネットという物差しで一元化されてしまっている」

寄せられたコメントを見ると、やはりどことなく“効率史上主義”のようになってしまっている現在の社会に、寂しさや物足りなさを感じている人が多いこともうかがえます。

たまには意図的にオフライン化し、自分の直感でエンタメ作品に触れてみたら、何か面白い発見があるかもしれませんね♪