つい先日、ショータイムを廃止したことが話題となった高知県の桂浜水族館。元々、「生き物に決して無理をさせない」ことをポリシーに掲げていた同館では、コロナ禍にショーを中止してみて、改めて体調に関わらず定時にショーをこなさなければならないことが、どれだけ生き物たちや飼育員たちの負担となっていたのかを悟ったと言います。

その代わり、現在は遊んだり運動したり、飼育員とイチャイチャしたりなど、生き物たちのありのままの姿を不定期で見ることができるそうです。

例えば、こんな風に……

なんて幸せそうなお顔。こちらは、カリフォルニアアシカのコエルちゃん(1歳・女の子)です。

ツイ主の桂浜水族館公式さん(@katurahama_aq)の担当者の方にお話を伺ったところ、コエルちゃんは、ミルクを飲んだあとなどは館内を大冒険したり、飼育員さんのあごをちゅっちゅちゅっちゅと吸ったり、膝枕で日なたぼっこをしているのだそう。この日も、大好きな飼育員さんの膝枕にご満悦の様子。時々ちらっと目を開けるものの、すぐにまた気持ちよさそうに寝ていたそうです。

実はちょうど1年前、コエルちゃんは難産の末、誕生しました。アシカの出産にかかる時間は30分~40分と言われている中、母親のエルは初産ということもあり、なんと7時間もかかってしまったのだとか。その結果、初めてのことに驚き、長時間のお産に疲弊したエルは、育児を放棄してしまったそうです。

母乳を一滴も飲まずに人工保育となったコエルちゃん。いつ死んでしまってもおかしくない状況が続きましたが、飼育員さんたちが必死で子育てに励んだかいあって、すくすくと成長。「死」を乗り越えた彼女に、飼育員さんたちは、逆境や苦難を「乗り”越える”」という意味を込めて『コエル』と名付けたそうです。

そんな飼育員さんたちの愛情をたっぷり受けて、先日ついに1歳のお誕生日を迎えたコエルちゃん。普段はどんな性格かと言うと、「自由奔放、天真爛漫、好奇心旺盛、人間(特に男の人)大好き」とのことです。言われてみれば、この寝姿にそのすべてがにじみ出ているように感じますね(笑)。

今回の投稿に多くのTwitter民が反応。「なんて幸せそうな顔するの」「とろけてまぅぅう〜」「アシカの姿をした 天使かもしれん」「天使の微笑みや……」「こっちまで幸せな気持ちになれます」「めっちゃ癒される!」といったコメントが続々と。

大きな反響が寄せられていることについて、率直な感想を伺ってみました。

「コエルが、生きて生まれてきてくれたこと、ここで一緒に生きてくれること、無事に1歳のお誕生日を迎えてくれたことに、まずはありがとうと言いたいです。死産になっていたかもしれない状況で『死』を乗り越え、いつ死んでしまってもおかしくない状況の中でもたくましく育ってくれました。飼育員もさることながら、お客さん、SNSを通して彼女と出会い、愛し、かつ見守ってくれる存在がたくさんいます。この投稿が話題になることで、コエルと出会い、彼女のことを知り、もっともっと多くの人に愛が広まれば嬉しいです。どんな苦難も乗り越えて、いつかそんなこともあったねとみんなで笑って話せるように。私たちは、温かくて優しくて柔らかくて愛おしい、そんな日々を願っています」


コエルちゃんの今後の成長ぶりが楽しみなのはもちろんのこと、生き物ファーストの桂浜水族館が見せてくれる新しい水族館のカタチにも、注目していきたいですね!