ファッションやインテリアをあらわす際に、「シックな色合い」や「シックなデザイン」など、「シック」という言葉を耳にする機会は多いと思います。

「シック」はフランス語の「chic」を片仮名表記にした言葉です。「シックハウス症候群」などで使われる、英単語の「sick」をもとにした「シック」とは異なる意味を持っています。

今回は、意外と意味を知らないで使っている人の多い「シック」についてご紹介します。

  • 「シック」の意味や使い方を解説します

    「シック」の意味や使い方を解説します

「シック」の意味とはフランス語で「粋」

「シック」はフランス語の単語「chic」を片仮名表記にした言葉です。

もともとの「chic」は「上品な」「あか抜けした」「当世風な(現代的な/今風な)」「粋(いき)な」「エレガントな」といった意味です。

日本で使う「シック」も、ほぼ同じ意味でとらえられています。ちなみに『広辞苑』では、「シック」を次のように説明しています。

シック【chic フランス】
粋(いき)なこと。しゃれたこと。シーク。
「――な装い」
(『広辞苑 第六版』P.1250より引用)

このように「シックな」という言い回しは、「粋な様」、「しゃれた様」を表す形容詞です。

「○○シック」の意味は英語の「sick(病気)」からきている

なお、ホームシックに代表される「○○シック」の「シック」は、英語の「sick」からきています。

英語の「sick」の意味は、「病気であること」です。

今風に言うと「〇〇ロス」のような意味になります。

  • 「シック」は粋であることや洒落ていることを意味します

    「シック」は粋であることや洒落ていることを意味します

「シックな色」とはモノトーン系や薄いブルー、パープル、グレー、ダークレッドなど

日本で使われることの多い「シックな」という表現には、「上品」「落ち着いた」という意味が含まれます。

そのため、「シックな色」と言うと、上品で落ち着いた印象を与える「モノトーン系」から、「薄いブルー」「パープル」「グレー」「ダークレッド」などの色を指しています。

もちろん、どの色を「上品」や「落ち着いた」と感じるかは人それぞれだと思いますが、「シックな色」がギラギラとした派手な色をあらわさないことは確かです。

「シック」はどんなときに使う言葉?

「シック」は、「粋なもの」「おしゃれなもの」「上品なもの」「落ち着いた雰囲気を持つもの」を形容する際に使われます。例えば、以下のような使い方です。

  1. 今秋は、シックな色でまとめるのがはやりだ。
  2. 店内は、シックな雰囲気のアンティーク家具が、大人の雰囲気を演出しています。
  3. シックなデザインのWebサイトだ。
  4. 大人のパーティースタイルは、シックな装いが基本です。

「1」は「今年の秋は、上品で落ち着いた色のファッションが流行している」、「2」は「店内には、上品な雰囲気の古い家具が、いい雰囲気を醸し出している」という意味になります。

「3」は「そのWebサイトが上品でおしゃれな印象を与えるデザインになっている」ということをあらわし、「4」は「大人がパーティーに出掛ける際には、年齢にふさわしい上品であか抜けたファッションをするのが基本です」ということになります。

  • ファッションにおける「シック」のイメージを解説します

    ファッションにおける「シック」のイメージを解説します

ファッション業界で使われる「シック」の意味

「シック」はファッション業界でも、よく使われています。

  • 大人シック
  • モダンシック
  • レトロシック
  • カジュアルシック

なんとなくわかるような、少しイメージしにくいようなと感じた人もいますよね。

それぞれ、こんなイメージの「シック」です。

大人シック

大人にふさわしい、上品で落ち着いた印象を与えるコーディネートのこと。

モノトーンを基調としたオフィスカジュアルにも使えるような服装や、セットアップのようなイメージ。

モダンシック(シックモダン)

モダンな印象を与えつつも、上品で落ち着いた雰囲気にまとめるコーディネートのこと。

ファッションスタイルで使われることも多いですが、部屋の内装イメージで「モダンシックなお部屋」「シックモダンなスタイル」のように使われることも多いです。

ホテルのラウンジのような、落ち着いた印象の部屋のイメージです。

レトロシック

古い感じを与えるレトロなアイテムを使いつつ、上品で落ち着いた雰囲気にまとめるコーディネート。

全身をレトロにそろえるのではなく「ワンポイントのアイテムだけレトロ」「服装全体の色合いがレトロ」のようにそろえます。

お部屋のコーディネートでは「アンティーク」まではいかないレトロ感を出したコーディネートに使われることが多いです。

カジュアルシック

カジュアルな装いの中に、上品で落ち着いた雰囲気も出そうというコーディネートのことです。

フォーマルな場できる服をカジュアル風に装ってみたり、カジュアルをフォーマル風にしたりして楽しみます。

「シック」の類語は? どう使い分ける?

「シック」の類語としては、「上品」「エレガント」「落ち着きある」「あか抜けた」「粋」「おしゃれ」などの言葉をあげることができます。

例えば「今秋はシックな色でまとめるのがはやりだ」を言い換えると

  • 今秋は上品な色でまとめるのがはやりだ。
  • 今秋はエレガントな色でまとめるのがはやりだ。
  • 今秋は落ち着きある色でまとめるのがはやりだ。
  • 今秋はあか抜けた色でまとめるのがはやりだ。
  • 今秋は粋な色でまとめるのがはやりだ。
  • 今秋はおしゃれな色でまとめるのがはやりだ。

などと言葉を置き換えてもニュアンスは伝わるでしょう。

また、下記の言葉も類語と考えることができます。

  • 乙な
  • かっこいい
  • 小粋
  • スタイリッシュ
  • 瀟洒(しょうしゃ)

どの言葉も俗っぽさがなく、あか抜けている様子を表す言葉です。

「シック」の対義語は「野暮ったい」

「シック」の対義語は「野暮ったい(やぼったい)」です。

野暮(やぼ)は、洗練されておらず、おしゃれでもない様子を表します。「ダサい」と言い換えてもいいでしょう。

まとめ

「シック」はフランス語の単語「chic」からきた言葉で、「上品な」「あか抜けした」「粋な」「エレガントな」「落ち着いた」という意味で使われています。

「シックな色合い」「シックな装い」などの表現が一般的ですが、ファッション業界では「○○シック」という、使い方もよくされています。

みなさんもこの機会に「シックなファッション」や、「シックなデザインの部屋」に親しんでみてはいかがでしょうか?