パッと見はキレイでも実は毎日着用するスーツには、気づかないうちにたくさんの汚れが付着している。そこで近年、人気が高まっているのが自宅などで丸洗いすることで花粉、シミ、汗といった気になるニオイや汚れが解消できるウォッシャブルスーツだ。

今回は梅雨時やこれからの夏シーズンにありがたいAOKIの洗えるストレッチスーツを、実際に自宅の洗濯機やシャワーで洗ってみた。その様子をレポートするのはもちろん、AOKI担当者に洗う際のポイントなども聞いてきたので併せて紹介していこう。

  • AOKIの洗えるストレッチスーツの価格は42,900円から用意

■ビジネススーツなのに、洗えるワケ

洗えるストレッチスーツは、ドライクリーニングでは落ちにくい水溶性汚れや汗・ニオイなども、水洗いすればすっきりキレイになるという。多くの水溶性汚れが落ちるだけでなく、油溶性汚れにも一定の効果があり、自宅で洗えるメリットは大きい。

そもそも、なぜ洗うことができるのかというと、特殊縫製と入念なプレス加工で製品化しているからだという。生地の端に「ロック縫い」という縫い方をすることで、洗濯時のほつれを防止。また、パンツのウエスト・ポケット部分の継ぎ目は通常より1回多く縫うことで耐久性を強化している。

さらにジャケットとパンツの両方に特殊な薬剤を塗布し、入念なプレス加工をすると、洗濯後もパンツのプリーツを残しながら、シワになりにくくキレイなシルエットが維持されるという。

現在、商品の約8割が洗えるストレッチスーツになっているというAOKI。同社では「生地試験」と「製品試験」という2つの洗濯審査を実施し、厳しい品質基準を設けていることもポイントだ。

生地段階での縮み・毛羽立ち・色落ちなどの「生地試験」を行い、これに合格した生地で縫製したスーツを、洗濯性試験用の強力洗剤と強力洗濯機によって洗い・すすぎ・脱水を繰り返す「製品試験」を行う。家庭用洗濯機による連続15回洗いに相当するという厳しい品質基準に基づく試験なのだが、これらをクリアしたものが「洗えるストレッチスーツ」となって登場する。

■洗濯機で洗ってみた

洗えるストレッチスーツは、AOKI独自の立体縫製を施すことで肩やうでが動かしやすく、階段の昇り降り、長時間の着座でもストレスなく着用できるなど、軽い着心地にもこだわっているという。

中でもスタンダードな商品であり、今回実際に洗ってみるのが「LES MUES(レ・ミュー)」というAOKIのオリジナルブランドの商品だ。清潔に保ちやすいだけでなく、静電気防止や花粉ブロック、消臭といった機能も備え、シンプルな濃紺の無地スーツは着用シーズンを選ばない。就職活動などにもおすすめともいえる1着だ。

  • 素材は表地がポリエステル59%、ウール40%、複合繊維(ポリエステル)1%。胴裏と膝裏はポリエステル100%で、袖裏はキュプラ80%・複合繊維(ポリエステル)20%で構成されている

洗濯機で洗う場合、スラックスはボタン・前カン(ウエストの留め具)・ファスナーを閉じてプリーツを整え、二つ折りに。前ボタンはかけずに、袖と身頃をキレイに整えたジャケットの胸部分に置いて、左右の袖と身頃をたたんで洗濯ネットに入れる。

  • スラックスはボタン、前カン(ウエストの留め具)、ファスナーを閉じてプリーツを整え、二つ折りに。袖と身頃をキレイに整えたジャケットの胸部分に置いて、左右の袖と身頃をたたむ

  • さらにネットにいれやすい大きさにたたむ

なお洗濯ネットは、洗濯中の型崩れを防げるサイズが合ったもの、かつ繊維ごみやほこりが付くのを防ぐことができる"目の細かいネット"を選ぶと良いそうだ。

  • 洗濯中の型崩れを防げるサイズの合ったネットで、かつ繊維ごみやほこりが付くのを防ぐことが可能な目の細かいネットを選ぶと良いそうだ

その後、洗濯槽の壁に沿うように入れ、洗う際は「中性洗剤(エマール、アクロンなど)」を使用し、40℃以下の水温で、水流は「弱」「ドライ」「手洗いコース」「ソフト」で洗濯機にかける。

またAOKI担当者いわく脱水は最短時間(1分程度)で洗うのがポイント。乾燥の際に手しぼりや乾燥機の使用を避けることが注意点だそうだ。脱水後は、両手で軽くたたいてシワを伸ばし、日陰干しを行う。

  • 洗濯後にできたシワを伸ばすように、全体を手で軽く叩いて日陰干しする

■出張先でも便利なシャワー洗いもOK

また、出張先で汗やニオイが気になってもホテルなどのシャワーで簡単に洗うこともできる。シャワーで洗う際は、ジャケットとパンツを裏返しにしてハンガーにかけ、40℃程度の温水シャワーを全体にかけることで汗汚れやニオイを洗い流していく。

次にジャケット・パンツを表に返し、同様にシャワーをかけたら、風通しの良い場所で陰干しをするだけ。裏と表でそれぞれ2~3分を目安にシャワーをかけると良いようだ。1~2時間程度で水滴は滴らなくなり、一晩かけて自然乾燥させる。

  • 裏と表でそれぞれ2~3分を目安にシャワーをかけると

干すときはスラックスのウエスト部分を下にし、つり下げて干しておくことで、シワをよりキレイに伸ばしやすくなる。ジャケットハンガーは厚みのあるものを選ぶと型崩れを防いで、本来のシルエットをキープしやすい。

襟周りや肩の型崩れもなく、アイロンがけなしでもほとんどシワのないキレイな仕上がりとなった。

  • 干すときはスラックスのウエスト部分を下にし、吊り下げて干しておくことで、シワをよりキレイに伸ばしやすくなる

もしも気になるシワができてしまい、アイロンがけが必要な場合は必ず木綿素材のハンカチなどで当て布をするのがポイントだ。アイロンの温度は中温(140~160℃)、もしくは「毛」の目盛りに合わせ、スラックスは、元の折り目ラインに沿ってアイロンをするようにしてほしい。

  • 洗いあがりは目立つシワもなくキレイ。自宅はもちろん、出張先でも使いやすい

筆者の場合、換気扇を回したお風呂場で6〜7時間もハンガーにつるしておけば完全に乾いていた。シャワー洗いは水滴も飛び散って少し手間に感じるが、シワを気にしなくて済む。また、洗濯機だとシワになりやすいようだが、干す際に軽く手でたたいてシワを伸ばせば、気になる点はほぼ見られなかった。


満員電車の汗、飲み会のニオイ、食べこぼしの汚れなども気にせず、ガシガシ着用できる洗えるストレッチスーツ。1着は持っていて損はないだろう。