アトラス日本は6月15日、Atlas Biomedに所属するロス・カーヴァー・カーター氏が5月25日に執筆した「腸内フローラに影響を及ぼす人工甘味料はあなたの味方か敵か?」と題する考察レポートの抄訳を発表した。

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同レポートでは、人工甘味料が腸内フローラを変化させることにより、インスリン抵抗性や体重増加を助長している可能性を示唆する新たな研究結果について説明している。

まず、人工甘味料は、砂糖の何百倍もの甘さを持ちながらカロリーはごくわずか。最も広く使われている食品添加物であり、多くの清涼飲料水、歯磨き粉、ビタミン剤に含まれている。

一般的な人工甘味料で知られるのはアスパルテームやスクラロース、サッカリン。そのほとんどが厳格な試験の後、FDAなどの規制機関によって安全で耐容性があると判断されている。

一方で、歴史的な安全性評価の中で人間の健康における腸内フローラの重要性は軽視されてきている。人工甘味料は小腸で吸収されずに大腸まで移動し、その過程で腸内細菌と相互作用するため、腸内フローラを変化させることで身体に病的な変化をもたらす可能性も示唆されている。

最近になり、人工甘味料が腸内細菌叢の変化を介し、「耐糖能異常」を引き起こすリスクも注目されている。「耐糖能異常」とは一度に大量の糖分を摂取したときに身体がそれを代謝しきれなくなる状態のこと。糖尿病、心臓病といった問題のリスクをかえって増大させる可能性があることを示す証拠も見つかっている。

人工甘味料が大腸菌やフェカリス菌が持つ病気の原因となる特性を高める可能性も、とある研究で分かっているという。

2つの無作為化比較試験ではアスパルテーム、サッカリン、スクラロースを摂取しても、耐糖能や腸内フローラ構成に変化がないことが観察されているが、ある生体外の試験管内研究では、これらの人口甘味料が常在菌を病気を引き起こす病原菌に変えてしまう可能性があることも実証されている。

人口甘味料の代用品には、「ステビア」が期待されている。カロリーゼロの天然砂糖代替食品で、砂糖の300倍の甘みがあるという。

ステビアは実際にコカ・コーラ社の飲料にて取り入れられたものの、強い甘草臭と苦い後味が確認されている。現在、メーカーはステビアを大規模に発酵させ、葉に含まれる甘い酵素を分離し、苦味をなくすことを検討しているとのこと。