帝国データバンクは5月26日、「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」の結果を発表した。調査は4月15日~30日、全国2万4,854社を対象に行われ、1万1,267社から有効回答を得た。
2022年4月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると回答した企業は45.9%と5割に迫り、新型コロナの感染拡大前に近い水準まで上昇。なお、人手が「適正」と感じている割合は44.5%、「過剰」は9.6%と、いずれも低下した。
業種別においても、上位10業種それぞれで前年同月より上昇。なかでも「情報サービス」が64.6%で最も高く、続く「メンテナンス・警備・検査」(60.1%)は6割を上回り、「建設」も59.4%と長く高水準が続く結果に。
また、2年前の2020年4月には1回目の緊急事態宣言によって大きな打撃を受けた「飲食店」「旅館・ホテル」は、その時点の人手不足割合は大きく減少したものの、直近では「飲食店」は51業種中で6番目、「旅館・ホテル」は9番目に高く、再び多くの企業が人手不足を感じている傾向が見てとれた。
一方、非正社員の人手不足割合は27.3%と、こちらも前年同月から大幅に上昇。企業からは、「外国人が入国できないため人手不足状態となり、建設業の施工が延期されているため影響を受けている」(鉄鋼卸売)、「新型コロナウイルスの影響で求職者が全体的に減っており、顧客からの派遣ニーズは強い」(労働者派遣)などの声が。なお、人手が「適正」とした割合は64.5%、「過剰」は8.2%だった。
業種別にみると、「飲食店」(77.3%)が唯一の7割台で深刻な人手不足に。次いで、「旅館・ホテル」も56.1%と高く、コロナ禍によって人手不足が緩和された「飲食店」「旅館ホテル」が再び上位に。企業からは「県民割の適用により、旅行客が増加している」(旅館)、「決して楽観できる状況ではないが、まん延防止等重点措置が解除され昨年よりは良い」(旅館)といった声が聞かれた。
また、正社員と同様に「人材派遣・紹介」(53.6%)や「メンテナンス・警備・検査」(43.9%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(42.9%)も徐々に人手不足感が上昇している。