ウェディング大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)が2030年度に向けた長期経営方針を発表。グループにおける売上高の構成比は大部分をウェディング事業が占めているが(ウェディング事業90.7%、ホテル事業8.2%)、収益性の高いホテル事業を新たな事業の柱にしていくという。
新規ホテル出店を加速
「日本のホテル業界にイノベーションを起こすのが我々の使命」と野尻佳孝代表取締役会長。ホテル事業で2030年度までに26軒を新規出店、グループ全体で取扱高1,200~1,300億円、売上高700~850億円を目指す。
日本の主要都市を中心に、海外の都市部やリゾートエリアにも展開予定。通常のホテルだけでなく、レジデンスやサービスアパートメント、ゴルフ場やスキー場などの宿泊機能付きレジャー施設の運営も行っていくという。
出店はアセットライトを重視し、運営受託を基本とする。また、ファンドとパートナーシップを結び、国内外の土地建物を含む資産の取得所有や運営会社変更を伴う既存施設のM&Aをファンドが行い、施設の企画運営を同社が受託するというスキームで、積極的に店舗を増やす。「国内で同じスキームに挑戦されているのは星野リゾートさん。それ以外はなかなかいない」と野尻代表取締役会長。
「ブティックホテル」2ブランドを展開
「多様化する価値観やライフスタイルに合わせた高付加価値を提供できるのがラグジュアリーホテル」(野尻代表取締役会長)。同社では、ラグジュアリーホテルを大きく以下の4つのカテゴリーに分類し定義している。
- 「トラディショナル」(伝統や格式を求める。高価な調度品や堅い礼節を重んじる)
- 「ノーム」(コスパを重視し、当たり障りないコンサバティブな選択をする)
- 「エッジー」(トレンドに敏感で、フットワークが軽く、現在のトレンドの先端を掴みにいく)
- 「ディスラプティブ」(概念や通説、人の意見に囚われることなく、振り切った刺激や体験を求める)
野尻代表取締役会長によると、たとえば「トラディショナル」は「帝国ホテル」、「エッジー」はマリオット・インターナショナルの「W」「EDITION」などが該当するが、ほとんどのホテルは「ノーム」に分類され、「日本のホテル市場は多様化がまったく進んでいない」とのこと。
同社では、店舗ごとに異なるコンセプトと高いクリエイティビティをセールスポイントに持つ「ブティックホテル」として、「エッジー」カテゴリーのホテル「EVOL HOTEL」(仮称)、「ディスラプティブ」カテゴリーのホテル「TRUNK(HOTEL)」の2ブランドを展開していく。
このほど既存の「TRUNK(HOTEL)」(東京・渋谷/2017年開業)と「TRUNK (HOUSE)」(東京・神楽坂/2019年開業)に続く、今後開業予定の3軒の新規ホテルが発表された。
代々木公園を望む"アーバンリラックス"なホテル
「TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK」(東京都渋谷区富ヶ谷1丁目)は、東京・渋谷の中でも注目を集める「奥渋」に都心型リゾートとして2023年開業予定。
ホテルの最上階に位置するスイートルームやルーフトッププール&バーや全客室バルコニーから代々木公園を一望、旅行者と地域住民が集う新しい遊び場を目指す。客室数は25室~30室で、想定客室単価は4万8,000円~18万円。オールデーダイニングも備える。
"上質な渋谷のカオス"を堪能するホテル
「TRUNK(HOTEL)DOGENZAKA(仮称)」(東京都渋谷区道玄坂2丁目38番地)は、2027年3月頃開業予定。渋谷のメインストリートの大規模再開発「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」内に誕生する。渋谷駅直結の地上11階の独立したホテル。
エリア最大級のルーフトッププール&バーをはじめ、ルーフトップレストランやシアタールーム、スパ・ジムや多彩なジャンルのレストランなど豊富なエンターテインメントを備える。客室数は120室~130室で、想定客室単価は5万円〜30万円。
"神戸らしい景色を一望"できる高層階ホテル
「EVOL HOTEL KOBE(仮称)」(兵庫県神戸市中央区雲井通5丁目)は、神戸三宮駅前の大規模再開発「神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業」で誕生する駅直結の複合施設内に2027年度頃開業予定。
六甲山やポートアイランドなど神戸らしい景色を一望できる高さ約150mの高階層に位置し、最上階の幅30mのインフィニティプールをはじめ、眺望を楽しめるテラス付きレストラン、バー、スパ、ジムなどを備える。バンケット、チャペルも。客室数は60室〜70室で、想定客室単価は3万円〜20万円。