マイホームの維持費のなかで特に高額になりやすいのが、建物や設備の修繕費です。

マンションの場合、入居者から支払われた修繕積立金をもとに、外壁や屋根など共用部分の修繕が実施されます。しかし戸建て住宅では、外壁や屋根などの修繕費用を賄えるだけの資金を、入居者自身が準備しなければなりません。

今回は、戸建て住宅において修繕が必要になる箇所や修繕費について解説します。

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■戸建て住宅の修繕費用とタイミング

新築の戸建て住宅は、入居してすぐに修繕が必要になるケースはまれでしょう。しかし外壁や屋根、水回り設備などは、経年劣化によって交換しなければならない時期が必ずやってきます。

ここで、新築・戸建て物件に30年以上住んでいるマイナビニュース男女会員175人を対象にした、アンケート調査の結果をご紹介します。

修繕費用が合計でいくらかかったかという質問に対して「100万円~300万円未満」と回答した人の割合が43.9%ともっとも多い結果となりました。一方で5.8%の方が、500万円以上の修繕費用がかかったと回答しています。

では、戸建て住宅を所有すると、どの箇所の修繕が必要になるのでしょうか。戸建て住宅の代表的な修繕箇所をみていきましょう。

▼建物部分の修繕

住宅に長く住み続けるためには、屋根や外壁、床下などの建物部分を定期的にメンテナンスすることが大切です。国土交通省の資料によると、屋根材や外壁材は、25~40年程度の周期で交換が必要であるとされています。

建物部分の修繕費用は、高額になりやすいです。例えば、屋根材を撤去して新しいものに替える「葺き替え」をする場合、屋根の種類にもよりますが、100万~200万円ほどの費用がかかる可能性があります。また、塗装工事だけでも、30万~70万円程度の費用がかかるといわれています。

外壁の修繕費用は、ひび割れの補修程度であれば、数万円前後で済むでしょう。しかし、外壁塗装であれば、数十万~100万円前後の費用がかかることがあります。

▼設備・内装の修繕

台所やバスルーム、洗面化粧台、給排水、給湯設備なども経年劣化していくため、定期的な修繕・交換が必要です。また、床のフローリングやクロス、壁紙などの内装についても、必要に応じて補修や貼り替えをします。

国土交通省の資料によると、設備や内部仕上材(床フローリング・壁クロスなど)は、15~25年ほどの周期で交換が必要になるとされています。

設備や内装の修繕費用は、場所によって大きく異なります。浴室リフォームの場合、すでにある浴室をユニットバス(システムバス)にする場合の費用は、資材のグレードなどによりますが50万~150万円ほどです。また、トイレについては、便器交換と内装工事で15万~30万円程度の費用がかかります。

  • 基礎・躯体以外の部位の期待耐用年数(交換等の周期)の目安※国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」より引用

■修繕費用を計画的に積み立てよう

自宅の修繕費用は、小規模なものであれば数万~数十万円程度でおさまる可能性があります。しかし新築から30年程度が経過し、大規模なリフォーム工事をする場合、合計で数百万円の費用がかかることもあるため、資金を計画的に準備することが大切です。例えば、毎月2万円を積み立てると、20年で480万円、30年で720万円の修繕費用を準備できます。

とはいえ、住宅ローンの返済や税金・保険料の支払いとあわせて、修繕費を積み立てることが困難であると感じている人も多いのではないでしょうか。

マイナビニュースのアンケートでは「住宅の修繕費を積み立てていますか?」という質問に「はい」と回答した人の割合は、18.9%でした。残りの81.1%は、修繕費を積み立てていないことになります。また修繕費の積立額は、2万円が33.3%ともっとも多く、次いで1万円(27.2%)、5万円(18.2%)という結果でした。

将来の修繕に向けた資金の積立が、まったくできていない方もいらっしゃるでしょう。

しかし、適切に修繕・メンテナンスをすることで、木造住宅であっても50年や60年、70年など長期間にわたって住み続けられます。毎月の収支を見直したうえで、修繕資金の積立を少しずつ始めてはいかがでしょうか。