今の子どもたちは「玩具」と聞くとゲームなどをイメージするかもしれません。が、筆者のような昭和世代には、アナログな玩具が思い出されます。先日、ツイッターで偶然見かけた投稿も、そうした昭和感を持ったものでした。

両親が旅行に行ったお土産にもらったコレ、真ん中の途切れてる部分どうやって渡るんだろうと思ったら…
(@cmamu184)より引用

しまむー@ペドロサ推し@cmamu184さんがツイートで紹介したのは、航空自衛隊に所属する曲技飛行隊「ブルーインパルス」の玩具。

  • 画像提供:しまむー@ペドロサ推し@cmamu184さん

ぱっと見、レールの上を走る車の玩具と似た構造のようですが。あれ、これレールが途中で途切れていますね。

これはどういう仕組み? しまむーさんが実際に動かしている動画もツイートしているので、見てみると……。

想像の斜め上だった あと見た目とは裏腹にBGMがDanger Zoneで吹いた(笑)
(@cmamu184)より引用

なんと、ブルーインパルスの機体がレールから「飛び立つ」仕組みとなっているのです!

この一連の投稿には、「ほーーんwwwこれは斜め上行ってるwww実際にw」「ちゃんと飛んでるのがエライ♪」「着陸姿勢がちゃんとしていてビックリ」「ギミックがカッコいい!」「どうやってジャンプするんだろう?」など、その仕組みに驚きの声が寄せられていました。

また、「何かを欲しいと久しぶりに思った」「ほーーーーーーーーーーーーー。理屈は何となくわかるけど、実際見ると、感心するしかないなwwwww」「この玩具、よくできてるなぁ」「えww」など感嘆する読者も多数います。

さらには、「しかも壁側の翼が折りたたみ式だし、おそらく磁石w個で姿勢制御していて、着陸角度がリアル 遊園地のコーヒーカップみたいに子円盤が別で回転しているかも」「裏で、磁石付きの円盤が回ってるのでしょうねぇ」「電源つけるとボードの中の磁石が観覧車みたいに縦回転してるんでしょうか」など、その仕組みを推測する人や、「こんな感じのオモチャ、40年以上前に見たような気がするぞ。磁石の仕掛けに感心した記憶が」と自身の体験を紹介する声もありました。

ギャップ萌えを楽しむ

しまむーさんに、この玩具を入手した経緯を聞いてみました。

――旅行のお土産だそうですが。

しまむーさん: それが、改めて神奈川に住む両親に確認したところ、旅行というより観光でした。飛行機を見に成田空港へ行き、そこで買ってきたそうです。

――そうなんですね。ただ、お土産だと一般的には食べ物が多い気がします。ご両親はなぜ玩具を選んだのでしょう。

しまむーさん: 私は妻と2歳の娘、3人で東京に暮らしています。そこで、離れて暮らす孫娘のために元々は買ったようですが、実際は僕と妻が楽しんでいます。

――では娘さんはあんまり興味がないとか? 2歳だとまだ早いのかも。

しまむーさん: どうでしょうねー。本人が気に入っているのかは微妙かもしれません(笑)。でも、スイッチを入れてと、たまにねだってきますよ。

「動くところを初めて見た時はめちゃくちゃ感動しました」と言うしまむーさん、この玩具の魅力は? と尋ねたところ、「一見ファンシーでかわいい見た目とは裏腹に、映画トップガンの主題歌『Danger Zone(デンジャー・ゾーン)』が流れるギャップをアピールしたいです(笑)」と推してくれました。

60年にわたって玩具を作り続ける

実は筆者もこのツイートを見た時に感じたのは、玩具の見た目とBGMのギャップでした。また、独特なブルーインパルスの「飛び立つ」動きにも驚きがありました。

商品名と画像を検索したところ、葛飾区に本社のある丸彰さんが製造メーカーのようです。いきなり問い合わせて大丈夫かなー、と思いつつ連絡したところ、「大丈夫ですよ!」と温かい言葉。好意に甘えて、幾つか質問してみました。

ちなみに同社は昭和32年創業より、「飛行機、電車等乗り物に特化した商品作りをしております」という玩具メーカー。

60年にわたって、「昔ながらのゼンマイを動力にしたもの、歯車を多数組み合わせた面白い動きをする玩具。モーター、センサー等を使った面白い動きをするものなど"ユニーク"である玩具作りを目標に日々、研究を繰り返しています」と歴史を積み重ねてきたみたいです。

  • 画像提供:丸彰

問い合わせたら、開発者本人だった

こういう「職人気質」な企業文化、よくないですか? しかも窓口対応してくれた増田幸央さん、本製品の開発者なのです。これは僥倖。

――この製品の発売時期をお教えください。

増田さん: 発売は2017年8月です。

――意外? と最近ですね。ところで、「お客様より弊社商品の動きをみて"なんで?" "どうして?"と言われることが弊社のスタミナになるんです」という企業理念をお持ちです。この理念ができた理由を教えてください。

増田さん: 玩具は店頭で商品を動かして販売するのが基本です。ですから、お客様が一目瞭然で驚き、楽しみ、夢を与える事を理念としております。

――なるほど、たしかに「見る」という行動が次につながりますよね。ちなみに、ブルーインパルスの「飛び立つ動き」が独特で、仕組みも非常に面白いです。このアイデアはどのように生まれたのでしょう。

増田さん: 弊社は飛行機の製品が多く、飛行機が離陸する動作ができたら面白いという発想から生まれました。飛行機が離陸して上がっている時、(壁側)は翼がたたまれているのが特徴で、レールに戻ると両翼が開くように設計しました。

――細かい部分まで作り込みされているのですね。あと、かわいい印象の玩具なのに、映画『Top Gun(トップガン)』のBGMによるギャップも印象に残ります。なぜこの曲を選んだのですか。

増田さん: 開発者の私がトム・クルーズと同じ歳で、あの作品が大好きな映画だからです(笑)。

――トム・クルーズと同年齢からの、作品推しムーブとは! これは予想の斜め上をいく理由です。ちなみにツイッターを見た読者から、「夢がある」「楽しい」などコメントが寄せられているようです。

増田さん: 嬉しい限りですね。これからも新しい発想でいろいろな物を開発したいと思っております。

『トップガン』の続編も、間もなく日本でも公開。増田さんも劇場へ足を運ぶのでしょうか。これからも、楽しい玩具を作り出してください。