地域の人々を守る氏神(うじがみ)。今まで氏神について気にしたことがなかったり、引っ越して住所が変わったりした場合、ご自身の住んでいる地域の氏神を知らないという人も多いでしょう。
この記事では、自分の住んでいる地域の氏神の調べ方や氏神の基本的な知識、さらにお参りのマナーについてまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
氏神の調べ方
早速、実際に自分の住む場所の氏神について知りたいと思ったときのために、氏神の調べ方をご紹介します。
神社本庁、各都道府県の神社庁に聞く
日本全国の神社を管理・管轄している神社本庁という機関があります。神社本庁自体は東京にありますが、都道府県ごとに神社庁という支部も存在しています。
下記の一覧表は、神社本庁のホームページに掲載されている、各都道府県における神社庁の連絡先の引用です。
自分の住所がある都道府県の神社庁に問い合わせれば、住んでいる地域の氏神を教えてもらえるので、連絡してみるのが確実でしょう。
神社庁名 | 住所 |
---|---|
北海道神社庁 | 〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘474-35 |
青森県神社庁 | 〒038-0024 青森市浪館前田1-2-1 |
岩手県神社庁 | 〒020-0872 盛岡市八幡町13-2 |
宮城県神社庁 | 〒980-0014 仙台市青葉区本町1-9-8 |
秋田県神社庁 | 〒010-1427 秋田市仁井田新田2-15-26 |
山形県神社庁 | 〒990-0053 山形市薬師町2-8-75 |
福島県神社庁 | 〒963-8034 郡山市島1-10-20 |
茨城県神社庁 | 〒319-0397 水戸市三湯町1108-300 |
栃木県神社庁 | 〒320-0015 宇都宮市八幡台14-24 |
群馬県神社庁 | 〒370-0861 高崎市八千代町2-4-26 |
埼玉県神社庁 | 〒330-0803 さいたま市大宮区高鼻町1-447-1 |
千葉県神社庁 | 〒260-0001 千葉市中央区都町4-3-1 |
東京都神社庁 | 〒107-0051 港区元赤坂2-2-3 |
神奈川県神社庁 | 〒235-0019 横浜市磯子区磯子台20-1 |
新潟県神社庁 | 〒955-0042 三条市下坂井14-21 |
富山県神社庁 | 〒930-0088 富山市諏訪川原1-10-21 |
石川県神社庁 | 〒920-0811 金沢市小坂町西44 |
福井県神社庁 | 〒918-8014 福井市花堂中1-3-28 |
山梨県神社庁 | 〒400-0013 甲府市岩窪町572 |
長野県神社庁 | 〒380-0801 長野市箱清水1-6-1 |
岐阜県神社庁 | 〒500-8384 岐阜市藪田南3-8-24 |
静岡県神社庁 | 〒420-0821 静岡市葵区柚木250-2 |
愛知県神社庁 | 〒456-0031 名古屋市熱田区神宮1-1-1 |
三重県神社庁 | 〒514-0005 津市鳥居町210-2 |
滋賀県神社庁 | 〒520-0035 大津市小関町3-26 |
京都府神社庁 | 〒616-0022 京都市西京区嵐山朝月町68-8 |
大阪府神社庁 | 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4丁目渡辺6号 |
兵庫県神社庁 | 〒650-0015 神戸市中央区多聞通3-1-1 |
奈良県神社庁 | 〒634-0063 橿原市久米町934 |
和歌山県神社庁 | 〒641-0022 和歌山市和歌浦南3-4-10 |
鳥取県神社庁 | 〒680-0015 鳥取市上町87 |
島根県神社庁 | 〒699-0701 出雲市大社町杵築東286 |
岡山県神社庁 | 〒703-8272 岡山市中区奥市3-22 |
広島県神社庁 | 〒732-0057 広島市東区二葉の里2-1-1-2 |
山口県神社庁 | 〒753-0091 山口市天花1-1-3 |
徳島県神社庁 | 〒770-8007 徳島市新浜本町2-3-61 |
香川県神社庁 | 〒760-0005 髙松市宮脇町1-30-3 |
愛媛県神社庁 | 〒791-0301 東温市南方1954-2 |
高知県神社庁 | 〒780-0065 高知市塩田町19-33 |
福岡県神社庁 | 〒812-0055 福岡市東区東浜1-5-88 |
佐賀県神社庁 | 〒840-0843 佐賀市川原町8-27 |
長崎県神社庁 | 〒850-0006 長崎市上西山町19-3 |
熊本県神社庁 | 〒860-0005 熊本市中央区宮内3-1 |
大分県神社庁 | 〒870-0047 大分市中島西3-8-19 |
宮崎県神社庁 | 〒880-0053 宮崎市神宮2-4-2 |
鹿児島県神社庁 | 〒892-0841 鹿児島市照国町19-20 |
沖縄県神社庁 | 〒900-0031 那覇市若狭1-25-11波上宮内 |
(2022/10/28現在)
インターネットで検索する
前述した各都道府県の神社庁の中には、地図や町名などから氏神神社を検索できる、逆に各氏神神社に対し氏子区域を記載しているホームページを持つ神社庁があります。例えば石川県や和歌山県の神社庁が該当します。自分が住む都道府県の神社庁のホームページをチェックしてみましょう。
また氏子区域の郵便番号を使って氏神神社を検索できるサイトなどもあるので、活用してもいいでしょう。
地図で調べた、家の近所の神社に聞く
日本に住む人はどこかの氏子区域に属することになるので、家からさほど遠くない位置に神社があるはずです。地図で自宅周辺の神社を調べてみるといいでしょう。
ただし家から近い神社であっても、氏子区域に該当していなければ自分の氏神神社ではありません。特に近年では住宅地の開発によって新しい町が生まれたり、地名の改称があったり、市町村が合併したりなど、氏子区域は複雑化しています。また、神社や地域の歴史的経緯によって、複数の氏神神社の氏子であるケースもあるのです。そのため、最終的には見つけた神社に直接確認することをおすすめします。
近隣の住民に聞く
氏神はその土地に住む人の守り神なので、昔から住んでいる近隣の住民に聞いてみるという方法もあります。氏神は血縁・地縁に関わる神様なので、長くその土地に住んでいる人ほど氏神神社をよく知っている可能性が高いでしょう。仮に氏神の存在を認識していなくても、初詣やお宮参り、七五三などで行く決まった神社があるかもしれません。
もし町内会、自治会などがあれば、役員の人に聞いてみるのもいいですね。自治体は神社が行う例大祭などの行事に関わりが深い場合が多いので、有益な情報が得られるかもしれません。
さらに、個人商店の店主に聞くのも手です。特に何代か続いているお店なら、古くからの情報を知っているかもしれません。酒店や青果店であれば、神社にお供え物を配達している可能性もあります。お買い物がてら聞いてみるといいでしょう。
ただしいずれのケースも、近所とはいえ境界線により氏子区域が異なる可能性があるので、最終的には教えてもらった神社に確認を取ると確実です。
氏神を調べるのはどのようなとき?
さて自分の氏神を調べるのはどのようなときなのか、一例をご紹介します。
現在自分が住んでいる地域の氏神を知りたい
今まで氏神についてなじみがなかったという人は、初詣や普段のお参りのために、自分の住所の氏神神社を知りたい、と思うこともあるでしょう。
またわが子のお宮参りや七五三のタイミングで「せっかくならその土地にゆかりのある神様のご加護を授かりたい」と思う人も多いでしょう。
引っ越し先の氏神を知りたい
氏神は自分が現在住んでいる地域の神様のことなので、引っ越して住む場所が変わると氏神も変わります。引っ越した先でこれからお世話になる氏神を知りたいと思ったとき、氏神を調べる必要があるでしょう。
なお新しい家に入居する前に「家祓い(やはらい)」や「清祓い(きよはらい)」を行う場合は、引っ越し先の氏神神社に相談してみましょう。
会社の事務所を開設するので氏神を知りたい
会社の事務所を新しく開設するときには、その土地の氏神にお参りするのがいいとされています。
事業の成功と発展をきちんとお祈りするためにも、どの氏子区域に該当するかを知っておくといいでしょう。
こちらも引っ越しの際と同様に、氏神神社の神職に相談して「清祓い」をしてもらうといいでしょう。また会社に神棚を設置する際も、あわせてお祓い(おはらい)をしてもらうといいといわれています。
氏神とはそもそも何か
ここで、そもそも氏神についての基本的な知識を確認しておきましょう。氏神の意味や由来、神社の種類についてもまとめています。
氏神とは地域に住む人々を守る神様
氏神は「うじがみ」と読み、その地域に住む人々を守る神様とされています。その氏神をまつっているのが氏神神社です。本来は血縁で結ばれた同じ氏族が、自分たちの祖先にあたる神様や、自分たちと縁の深い神様を「氏神」としてまつっていたのがはじまりです。
近年ではその土地に生まれ育った人々の守り神である産土神(うぶすながみ)、国や王城などの場所を守る神様である鎮守神(ちんじゅがみ)との区別があいまいになっていき、総じて「その地域に住む人々を守る神様」として認識されるようになりました。
また引っ越しなどにより、「生まれた地域の氏神神社にお参りするのは物理的に難しい」という人も増えてきているため、そのときに住んでいる地域の神様を氏神とすることになっています。とはいえ出生地の氏神様にもお世話になった時期があるので、時々はお参りするなどし、感謝の気持ちを持ち続けられるといいでしょう。
氏神と氏子
同じ氏神をまつる人々のことを「氏子(うじこ)」といいます。氏神神社には「氏子区域(うじこくいき)」があり、その氏子区域に住む人が氏子となるので、日本に住んでいる以上は基本的にどこかの神社の氏子といえます。
氏神神社を含む神社の種類
天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつり、日本の国土・国民全体を守る伊勢神宮は別格の存在として、その他の神社は、氏神神社と崇敬神社(すうけいじんじゃ)の2つに大別できます。
氏神をまつる氏神神社は、住んでいる場所によって自動的に決まります。一方で、血縁や地縁とは関係なく、その人自身が自由に信仰する神社のことを「崇敬神社」といいます。なお、氏神神社と崇敬神社の両方にそれぞれお参りしても、問題はないとされています。
氏神にお参りするタイミングは、初詣や引っ越し後などがおすすめ
氏神様にお参りするタイミングに特に決まりはありません。一般的にはお宮参りや七五三などの行事で氏神様にお参りするのがいいでしょう。大人になってからは年に1度の初詣だけでもいいですし、もちろん毎日お参りしても問題はありません。
引っ越して住む場所が変わったら、新しい氏神様にごあいさつするといいでしょう。
氏神を調べたらあいさつに行こう! お参りのマナー
自分の氏神を調べたら、早速ごあいさつをしに行きましょう。氏神様への参拝方法は一般的な神社の参拝方法と同じです。厳密に「こうしないといけない」というわけではありませんが、参拝マナーを知っておくと、より気持ちよく参拝できるかもしれません。
鳥居に一礼してからくぐる
鳥居がある場合は、まず鳥居に一礼し、あいさつをしてから敷地に入ります。参拝後に帰るときは、鳥居をくぐったら向き直って一礼するといいでしょう。
手水舎で身を清める
神社の敷地内には手水舎(てみずや、ちょうずや)が設置されているので、お参りの前にしっかりと身を清めましょう。まず利き手にかかわらず右手で柄杓(ひしゃく)を持って水をすくい、左手をすすぎます。次に柄杓を左手に持ち替え右手をすすぎます。もう一度柄杓を右手に持ち替え、器のように丸めた左手に水を注いだら、それで口をゆすぎます。最後に柄杓を立てて、残った水で柄杓の持ち手を洗い流します。これらを1杯の水で済ませるのが美しい所作です。
参道の端を歩く
本殿に向かって敷地内を進むときは、参道の端を歩くようにしましょう。参道の真ん中は正中(せいちゅう)といって神様の通り道とされます。参道の端を歩くことは神様に敬意を払って道を譲ることになるのです。
参拝は「二礼二拍手一礼」
神社でお参りする際は「二礼二拍手一礼」が基本です。二回礼をして、二回手をたたいてからお祈りをしたら、最後に一礼します。
自分の住む地域の氏神様を調べてお参りしてみよう
氏神の調べ方についてご紹介しました。引っ越し先の氏神を知りたいという場合は、新天地で地域の人と交流するきっかけにもなるので、勇気を出して聞いてみるといいでしょう。
氏神は私たちを守ってくれる身近な神様です。自分の住む地域の氏神を調べたら、ぜひ気軽にお参りしてみましょうね。