JR西日本は、ローカル線の利用状況が取り巻く環境の変化とともに大きく減少していることを受け、地域の人々と各線区の実態や課題を共有することでより具体的な議論をしていくため、線区の経営状況に関する情報開示を行った。
JR西日本では、会社発足から35年間、地域の人々の協力を得ながら輸送改善や観光誘発といった利用促進策を進めてきた。一方、この間に沿線人口の減少・少子高齢化、道路整備や道路を中心としたまちづくりの進展など、ローカル線を取り巻く環境は大きく変化している。
そうした中で、鉄道は自動車と比べてきめ細かな移動ニーズに対応できないこともあり、線区によっては地域に貢献できておらず、厳しい利用状況になっているという。
今回情報開示した輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区については、大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていないと考えており、CO2排出の面でも現状の利用実態では必ずしも鉄道の優位性を発揮できていない状況にあると説明する。
情報開示の対象となった線区は、小浜線敦賀~東舞鶴間、越美北線越前花堂~九頭竜湖間、大糸線南小谷~糸魚川間、山陰本線城崎温泉~鳥取間・出雲市~小串間・長門市~仙崎間、関西本線亀山~加茂間、紀勢本線新宮~白浜間、加古川線西脇市~谷川間、姫新線播磨新宮~新見間、播但線和田山~寺前間、芸備線備中神代~~下深川間、福塩線府中~塩町間、因美線東津山~智頭間、木次線宍道~備後落合間、岩徳線岩国~櫛ヶ浜間、山口線宮野~津和野間・津和野~益田間、小野田線小野田~居能間など、美祢線厚狭~長門市間。
これらの線区の中でも、芸備線東城~備後落合間において、線区営業係数(2018-2020係数)が「26,906」となった。その他、木次線出雲横田~備後落合間の線区営業係数が「8,119」、芸備線備後落合~備後庄原間の線区営業係数が「5,260」、芸備線備中神代~東城間の線区営業係数が「3,994」となっている。
JR西日本は地域の人々と課題を共有することで、「地域公共交通計画」の策定等の機会に積極的に参画し、地域のまちづくりや線区の特性・移動ニーズを踏まえ、鉄道の上下分離など含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行いたいと考えているとのこと。