情報化社会と健康ブームが相まって、世の中には「こうすれば楽に痩せられる」「これは健康にいい」といった情報があふれています。

  • あなたのダイエット、間違っています。痩せそうで痩せないNG習慣 /ライフ・プロデュース代表・野上浩一郎

ところが、「なかにはあまり意味がないものや、逆効果になっているものもある」と指摘するのは、著書『3か月で自然に痩せていく仕組み 意志力ゼロで体が変わる! 3勤1休ダイエットプログラム』(ダイヤモンド社)が大ヒットしている株式会社ライフ・プロデュース代表の野上浩一郎さん。勘違いして継続してしまっている人も多い、「痩せそうで痩せないNG習慣」を教えてもらいました。

■「ドライフルーツ入りグラノーラ」は「不健康食品」

ドライフルーツ入りグラノーラは、食物繊維が豊富で栄養価も高いために朝食として人気です。また、女性に不足しがちな鉄分やビタミン、ミネラルも摂取できるというメリットもあります。そのため、近年は米やパンではなくグラノーラを朝食にしているという人も増えています。

ところが、ドライフルーツ入りグラノーラは、じつのところダイエットには不向きです。その理由は、以下の3つ。

【ドライフルーツ入りグラノーラがダイエットに不向きなわけ】
1.たくさんの砂糖や小麦粉が使用されているため、糖質が多い
2.ドライフルーツにも多くの糖質が含まれている
3.高カロリーで脂肪として蓄積しやすい

糖質を大量に摂取すると太るということはいうまでもありません。また、一般的なドライフルーツには生のフルーツのように酵素が含まれていないことも問題です。酵素は脂肪を燃焼させる働きを持っているため、それがないドライフルーツは太りやすいのです。

さらに、意外にカロリーも高く、一般的な商品の場合、1食(50g)あたり219kcalで、200mlの牛乳をかけると356kcalになります。

それでももしグラノーラを食べたいというのなら、「糖質オフのものを選ぶ」「ドライフルーツ入りではなく、生のフルーツをトッピングする」「牛乳の代わりに無調整豆乳をかける」といった工夫をしましょう。

■「市販のスムージーや甘いコーヒー」は糖質のかたまり!

スムージーもグラノーラと同じように、「ヘルシー」というイメージを持っている人も多いでしょう。でも、手づくりではない「市販のスムージー」は避けるべきです。というのも、大量の砂糖が加えられているからです。しかも、メーカーが多くの消費者を獲得するために美味しさを追求しているため、ついつい飲み過ぎてしまうこともあります。

野菜やフルーツだけでつくる本来のスムージーというものは、人によっては決して甘いとか美味しいと感じるものではありません。

そういう意味では、飲むときに「ダイエットや健康のため」という意識は持っていないかもしれませんが、缶コーヒーなど甘いコーヒーやカフェオレもご法度です。それらには角砂糖にして5〜6個分もの砂糖が入っていることも珍しくありません。

休憩中の気持ちのリセットなどにどうしてもコーヒーを飲みたいというのなら、ブラックコーヒーの他、表面にミルクの泡が乗っているだけのカプチーノにしましょう。

ちなみに、わたしの患者さんのなかには、ここまで挙げたすべてのものを食事にとり入れていた人がいました。その人は、「食生活に気をつけているのに、どうしても痩せられない」と相談してきたのですが、その食事内容を聞いてびっくりです…(苦笑)。

たしかに食事の量自体は多くありません。ところが、朝食はプロテインバーと市販のスムージー。昼は社食ですから問題ありませんでしたが、昼食後には必ず甘いカフェオレを飲んでいました。そして、夕食はサラダとドライフルーツ入りグラノーラ。健康意識が高いように見えて、毎日のすべての食事でわざわざ太りやすいものを口にしていたというわけです。

なお、その患者さんが朝食にしていたプロテインバーも危険です。もちろん商品にもよりますが、チョコ味だったりドライフルーツ入りだったりするものは、かなりの高カロリーです。たしかにタンパク質は摂取できますが、痩せるためには避けたほうが無難です。

■「ヨガやストレッチ」にはダイエット効果はほとんどない

痩せたいという女性に目立つのが、ヨガやストレッチをはじめるということ。でも、残念ながらヨガやストレッチにはダイエット効果はあまり期待できません。

そもそも痩せるとは、脂肪が燃えて減ることです。「岩盤浴やホットヨガをすると痩せる」という人もいますが、これらで減るのは脂肪ではなく、汗として流れ出る水分に過ぎません。たしかにその分だけ瞬間的に体重は落ちるかもしれませんが、脂肪は燃えていませんから、実質的には一切痩せていないのです。

それでも、「ヨガやストレッチのインストラクターはみんな痩せている」という人もいるかもしれませんが、それは、単にインストラクターのみなさんの美意識が高く、ヨガやストレッチ以外の部分で脂肪を蓄積させない生活をしているということでしょう。

脂肪を燃やすには、歩く、走る、泳ぐといった有酸素運動が欠かせません。なぜなら、有酸素運動に使われるエネルギー源こそ、脂肪と糖だからです。

ただし、ふたつの注意点があります。それは、「糖を多く消費すると強い空腹感や眠気に襲われる」、それから「激しい運動はストレスとなり、ダイエットの挫折のきっかけになる」ということ。そのためわたしは、ハードではないのに脂肪燃焼効果が高い「早歩き」をおすすめします。ヨガやストレッチより、よほどダイエット効果が高いものです。

■水太りを気にして「水分を控える」のはNG

「水太り」なんて言葉がありますが、はっきりいってしまうと基本的に水で太ることはありません。それどころか、水分が不足すると、血流が悪くなって老廃物を体にため込みやすくなるために代謝が悪くなり、体重が落ちにくくなるのです。

一方、水を飲むことにはダイエット効果の他、「美肌効果」「むくみの解消」というメリットも期待できます。

人間の体の60%は水でできています。先の話の逆になりますが、水を飲んで体の大部分を構成している水を入れ替えることで、体の老廃物が排出されて代謝が活発になる。そのために痩せやすくなるというメカニズムがあるのです。500mlの水を飲むことのエネルギー消費を調べたところ、水を飲んでから10分以内にエネルギー消費が30%増え、その効果が1時間以上続いたという研究結果もあります。

また、そうして代謝が活発になれば、体の細胞がどんどん生まれ変わり、肌もつややかになります。それから、水分をしっかり摂取することで血液やリンパ液の巡りが改善され、むくみも解消しやすくなります。

ただ、注意してほしいのは、「お茶は避けるべき」ということ。利尿作用があるカフェインが含まれるために、逆に水分不足になることもあるからです。

いずれにせよ、ダイエットでは「間違った努力をしない」ことが大切です。ほとんどダイエット効果がない、それどころか逆効果の「痩せそうで痩せない習慣」をいくら全力で継続したとしても、その努力が報われることはありません。それよりも、「本当に痩せる習慣」をほどほどの頑張りで継続したほうが、よほどダイエット効果があります。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人