「ダイエットに失敗した」という経験は多くの人にあるでしょう。ところが、あるダイエットプログラムのダイエット成功率はなんと96.6%にもなるといいます。

  • 3日取り組んだら1日休む。「3勤1休ダイエット」のすごい成功率 /ライフ・プロデュース代表・野上浩一郎

その「3勤1休ダイエット」の開発者であり、著書『3か月で自然に痩せていく仕組み 意志力ゼロで体が変わる! 3勤1休ダイエットプログラム』(ダイヤモンド社)が大ヒットしている株式会社ライフ・プロデュース代表の野上浩一郎さんが、3勤1休ダイエットの基本を解説してくれました。

■ダイエットの「イベント化」こそが最大の敵

ダイエットに多くの人が失敗する要因はなんだと思いますか? わたしは、ダイエットの「イベント化」こそが最大の要因だと考えています。

ダイエットをしようという場合、多くの人が糖質を一切とらないようにしてみたり、ほとんどやっていなかったハードな運動をはじめてみたりと、生活をこれまでと大きく変えようとします。それこそが、ダイエットのイベント化です。

でも、そんな生活をずっと続けられるかというと、ほとんどの人にとって無理なことでしょう。そのため、イベント化という極端な方法でダイエットをしようとした人たちは、ある日突然心が折れてしまって、元の太っていた頃の生活に戻ってしまう…。そうしてリバウンドし、ダイエットに失敗します。

これだけ情報があふれているいま、ダイエットをしたいという人たちの多くは、どんな食べ物や飲み物、あるいは生活がダイエットの敵なのかということはすでに知っています。でも、甘いものが好きな人が何カ月も甘いものを我慢したり、お酒好きな人が禁酒をしたりすることにはそもそも無理があるのです。

だからこそ、そういった非日常の特別なイベントではなく、ダイエットを「日常化」することが大切。わたしが提案している「3勤1休ダイエット」は、徐々に、でも確実に痩せていく仕組みをまさに日常に組み込んだ内容となっています。

つまり、これまでにやっていなかった特別なことを意志の力で無理やりやろうというものではありません。その結果、多くの人がこのダイエットプログラムを続けることができるために、わたしの運営するオンライン・ダイエットプログラムに参加した人のダイエット成功率は、なんと96.6%という高いものになっています。

■「3勤1休」なら、三日坊主とも無縁

そのルールは至ってシンプルです。3勤1休ダイエットの名のとおり、「3日取り組み(ON)、1日休む(OFF)を繰り返す」という基本ルールの他は、以下の3つのルールがあるだけです。

【3勤1休ダイエットのルール】
・基本ルール:3日取り組み(ON)、1日休む(OFF)を繰り返す
・ルール1:3日間(ON日)は、「食べる時間」を8時間以内にして「娯楽食」を避ける
・ルール2:1日(OFF日)は、1食好きなものを自由に食べてもよく、時間制限もなし
・ルール3:「食べたもの」と「体重」を、毎日手書きで記録する

順に解説していきましょう。

まずは「3日取り組み(ON)、1日休む(OFF)を繰り返す」という基本ルールについて。これこそが、ダイエットのイベント化ではなく日常化のための鍵となります。

甘いものを好きな人がずっと甘いものを我慢できるわけもありません。でも、三日坊主という言葉があるように、3日くらいだったら我慢できますよね? そうであるなら、3日だけ頑張ったあとの日に甘いものを食べられる日を設定してしまえばいいというわけです。そうすることで、三日坊主に終わることなくダイエットを日常として継続することができます。

極端なダイエットに比べると、効果が薄いように感じる人もいるかもしれません。でも、これまでなにもしていなかった人が、4日間のうち3日間の食生活を変えるのですから、その効果は絶大です。

ただ、仕事柄どうしても会食が多いという人もいるかと思います。そういう人の場合、1週間や1カ月など長期的に見てON日とOFF日の割合がだいたい3対1になっていれば問題ありません。ただし、OFF日が2日連続で入ると、それがきっかけで太りやすくなることもあるので、その点には注意してください。

■ダイエットにご法度の「娯楽食」

・ルール1:3日間(ON日)は、「食べる時間」を8時間以内にして「娯楽食」を避ける
なぜ「『食べる時間』を8時間以内にする」必要があるかというと、じつは、痩せられない人の共通点として「1日のうち、食べ物が胃のなかに入っている時間が長い」ということがあるからです。

ずっと胃のなかに食べ物があると、内臓が疲労して消化が悪くなるうえ、脂肪合成を高めて脂肪分解を抑制する働きを持つインスリンの過剰分泌を招いてしまい、そのために太りやすくなるのです。

そこで、1日のうちの食べる時間を8時間以内とし、16時間の「食べない時間」を確保しましょう。朝食の時間が朝の10時という人なら、その日の最後の食事を午後6時までに終えるという具合です。そうして最後の食事から10時間ほどたつと、肝臓に蓄えられた糖がなくなり、その代わりのエネルギーとして脂肪が分解されはじめます。

ただし、その8時間のあいだになんでも好きなものを食べてしまってはやはりダイエット効果は薄れます。「糖質が多い」「脂質が多い」「糖質と脂質のかけ合わせ」という特徴を持ち、わたしが「娯楽食」と呼ぶものはNGとして避けましょう。それ以外のものはなにを食べても構いません。わたしは娯楽食として30品を掲げていますが、ここではその一部を紹介します。

【NGの「娯楽食」の例】
◆糖質が多い
・ハンバーガー(とくにてりやき系)
・ケーキ(チーズケーキ、モンブランなど)
・甘いドリンク&甘いお酒(甘いジュースやカフェオレ、梅酒、カクテルなど)
◆脂質が多い
・加工肉(ベーコン、ソーセージなど)
・天ぷら
・とんかつ(とくにロース)
◆糖質と脂質のかけ合わせ
・ラーメン(とくにとんこつ系)
・カレーライス
・フライドポテト
・チョコレート

■体のために積極的に食べるべき「マゴワヤサシイコ」

ただ、「娯楽食を避ければなにを食べてもいい」というと、「逆になにを食べていいか迷う」という人もいるでしょう。そういう人には、わたしが「ベース食」と呼ぶ、ダイエット効果が高くて健康のために体が必要とするものをおすすめします。

ベース食は、簡単にいうと和食です。日本で古くから体にいいものとして親しまれている食材を示す「マゴワヤサシイコ」を中心に、発酵食を取り入れることで体は健康になっていきます。もちろん、茶碗1杯までなら白米も毎食とって構いません。

【体に必要な「マゴワヤサシイコ」】
マ=豆類(納豆、豆腐など)
ゴ=ゴマなどの種子類(ナッツ、くるみなど)
ワ=ワカメなどの海藻類(ひじき、昆布など)
ヤ=野菜類(緑黄色野菜を中心に)
サ=魚類(小魚、背青魚)
シ=シイタケなどのキノコ類
イ=イモ類
コ=米類(玄米、五穀米など)
+発酵食品(味噌汁、ぬか漬け、ヨーグルトなど)

■OFF日にはあえて好きなものを自由に食べるほうがいい

・ルール2:1日(OFF日)は、1食好きなものを自由に食べてもよく、時間制限もなし
ふたつ目のルールについて解説します。1食だけではありますが「好きなものを自由に食べていい」という日ですから、とくに解説することなどないように思うかもしれません。でも、むしろOFFの1日には「好きなものを自由に食べるべき」だとわたしはお伝えしています。

それには、体のメカニズムがかかわります。そのメカニズムとは、「ホメオスタシス(生体恒常性)」と呼ばれる、体が現在の状態を維持しようとする働きです。毎日好きなものを食べていた人が3勤1休ダイエットをはじめて食生活を変えると、体に入ってくる高糖質で高脂質の食べ物の量がこれまでと比べて大きく減ります。そのため、体は危機状態にあると判断し、現状維持のためになるべく脂肪をたくわえようとするのです。

そこで、あえて好きなものを自由に食べるOFF日を設定することで、体に対して「いまは危機状態なんかじゃないよ」と教えてあげるというわけです。

このことは、いわゆる「停滞期」の乗り越え方にも通じることです。ほとんどの食事が娯楽食だった人がこのダイエットをはじめると、やはり体は危機として感じます。それはホメオスタシスによるもの。そのため、なかには最初の2〜3週間ほどほとんど体重が落ちないという人もいます。

でも、OFF日に好きなものを食べることで体が危機状態ではないと認識すれば、3勤1休ダイエットをはじめて1カ月ほどすると体重が落ちるタイミングがやってきます。それも1週間ほどのあいだに1、2kgくらいすとんと落ちることも。そして、その後の1カ月のあいだ、順調なら体重の5%近く落ちる人もいます。

ところが、そのことがまた体に危機だと感じさせてしまうのです。これが、きちんと食事を調整しても運動をしても体重が落ちない停滞期が訪れる仕組みです。でも、OFF日に1食だけ好きなものを自由に食べることを続ければ、いずれ体が「危機状態にある」という勘違いから抜け出し、停滞期を乗り越えることができます。

それまでの期間が、平均するとだいたい3カ月です。ですから、3勤1休ダイエットをはじめてすぐには体重が落ちないという人も、停滞期にハマってしまったという人も、3カ月だけ頑張って継続してみてください。

■行動変容を促す「今日をやり直せるならどうするか?」という自問

・ルール3:「食べたもの」と「体重」を、毎日手書きで記録する
気づいた人も多いと思いますが、このルールは、いわゆる「レコーディングダイエット」の効果を狙ったものです。

食べたものと体重を記録して客観視することで、自分の食生活と体重の増減のあいだにある関係に気づき、生活や食事の内容を能動的に改善することにつながります。わたしのプログラムの参加者のなかには、「記録するのが面倒だから、間食をやめた」という人もいるほどです。

ただし、記録をするときには、「今日をやり直せるならどうするか?」ということも書き出してください。レコーディングダイエットは、「記録をするだけ」という手軽さがウケたものですが、マンネリ化してしまって行動変容につながらなくなればまったく意味がありません。

そこで、「今日をやり直せるならどうするか?」と自問するのです。たとえば、「ランチで定食のごはんを食べ過ぎてしまった…」という人なら、「定食のごはんを少なめで注文する」というふうに、明日から実行すべきToDoをしっかり認識できます。そうして、行動変容を促してくれるというわけです。

それから、記録をするときには「手書き」することもおすすめします。手書きをすることで、ただ食事の写真を撮影したりスマホなどデジタルデバイスで入力したりするよりも、実行すべきToDoなどがより強く潜在意識に刷り込まれるからです。

ここまで解説してきたように、この3勤1休ダイエットのルールはたったの3つ。運動をしなければならないルールもありません。手軽にはじめられて高い効果を得られるものですから、ダイエットをしたいという人にはぜひはじめてみてほしいと思います。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人