■とにかく仕事に没頭した20代

――今改めて20代を振り返ってみて、いかがですか?

20歳から26歳くらいまでは、それこそマグロとかカツオみたいというか、動いてないと死んじゃう状態でしたね。「とにかく休みたくない」「仕事してたい」と常に思っていたので、6年間オフ希望を一回も出したことがなくて、連休も取ったことがなかったですし、“自分から「休みたい」と言ったら負け”くらいに思っていました。

若さゆえの尖りもちょっとあったのかな(笑)? 今は、休みは休みで楽しめばいいと思うし、むしろ休みを有意義に過ごせていたら、プライベートの思い出もできたのかなって。私は仕事しかしてなかったから、プライベートで遊びに行った記憶が全くなくて、ちょっとやり過ぎてたかも(笑)。

周りと比べても競争心が強かったし、そういう意味では、その時期が一番焦ってたのかもしれません。でも、26歳くらいからは、ちゃんと周りも見ながら、仕事はもちろん頑張るけど、休みになったら「じゃあ何しようかな?」と考えられるようになりました。時間の使い方が上手くなって、今のほうが仕事も楽しくできています。

■ドロリッチCM出演が転機に

――岸さんが言う“尖っていた時代”は、アイドルの方々がグラビア表紙を席巻していた時期と重なりますよね? グラビアアイドルにとって、冬の時代とも言える頃だと思うのですが、岸さんはそのなかでも順調に活躍されていた印象です。

まさにデビュー当時が、グラビアアイドルが表紙を飾るのが難しいと言われていた時期だったんで、あの時は大変でしたね。でも私は多分、タイミングとか運がすごく良くて、デビューしてから結構早いタイミングで、グリコ・ドロリッチのCMに出演させていただいて。

――ドロリッチのCMは当時すごく注目を集めました。

自分で言うのもなんなんですけど、結構バズったんですよ(笑)! それがすごくラッキーなタイミングで、確か、あの時はまだ上京する前。大阪から東京に通っていた頃だったんですけど、ドロリッチのCMをきっかけに、雑誌表紙が30誌くらい一気に決まったんです。

運も良かったと思います。私、元々ロングヘアやったんですけど、デビューする時に、当時のマネージャーさんから髪を切るように言われて。女子としては、ロングからボブって結構勇気がいるんですよ。「もう嫌や〜」「なんでこんなんせなあかんの〜」って、泣きながら美容院に行きました(笑)。

ホンマに嫌やったし、「マネージャーさんがボブ好きなだけや」と思っていたんですけど、ボブでデビューして、ドロリッチのCMが決まって。私の持論なんですけど、当時売れているグラビアアイドルの方って、ほとんどロングやったんです。なので、ボブが珍しかったこともあって、インパクトもあったのかなと。