会議や打ち合わせで、重箱の隅をつつくような質問をしてくる人がいます。

メインのテーマからずれていることや、まだそこまで考える段階ではないような詳細な部分をついてくるタイプです。こういう「重箱の隅系」の人、いますよね。

そこで本記事では、"伝わる技術"をテーマに書いた拙著『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(かんき出版)から「重箱の隅をつつく人への対応策」を解説します。

  • 会議中、「めんどくさい人」の対応に困ることはありますか?

感情的に反応するのはNG!

重箱の隅をつついてくる人の目的は何か?

会議の場であれば「何か言わないと自分の存在意義が示せないと思い、無理やり質問してくるケース」「あんたに対してマウントを取りたいと思い、わざと答えにくい質問をしてくるケース」などがあるでしょう。どんな目的であれ、面倒な人ということには変わりありません。

こういう人に対してやってはいけないのが「感情的に反応する」ことです。

心の中では怒っていたり、ふざけるなと思っていたりしても、対応は冷静にしたほうがいいケースが多いと思います。

理由は簡単。時間をムダにとられるし、ストレスがさらにたまるような展開になってしまうかもしれないからです。

ここで役に立つのが「伝わる原則」です。

例えば、重箱の隅をつつく人に対しては、相手の立場やあなたとの関係性もあると思いますが、もしある程度あなたがハッキリと相手に伝えても大丈夫な関係性ならば、こんな対応策はいかがでしょうか。

「その質問は今日の会議の議題から外れてしまうので、今後の検討材料にさせてください」
「私の話がまだ終わってないので、すみませんがあとにしてもらっていいでしょうか」

要は、話にできるだけ入らせないようにすることです。これは「ゴール設定」というポイントを意識した伝え方です。

重箱の隅をつつく人の話は、議論のテーマや目的からずれたようなケースがほとんどだと思います。

そこで相手とまずは「ゴールの確認」をしていきます。

相手を受け止めてゴールの確認を行う

ただ、この伝え方はズバッと相手に届くので、相手の感情を損ねるリスクがあります。

より相手に伝わりやすくするためにも(そして無駄に敵を増やさないためにも)、もう少し気を遣いながら回答する方法もあります。

大切なのは「相手を否定しないこと」。

これも「伝わる原則」のひとつです。そのためには、まずは受け止めて、相手の意見を聞く姿勢を持つことです。

重箱の隅をつつく人は本質からずれた枝葉末節のことを問い詰めてくるケースが多いので、受け止めた上で、「ゴールの確認」をするわけです。

例えば、会議ならこんな感じです。

「ご指摘ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりです。今日の会議の『メインの目的』が〇〇だったので、ディテールの部分はまだ詰められてないことがあります。ご指摘の箇所は、〇〇の部分の承認を会議でいただけたら、次に取りかかりたいと思います。貴重なご指摘ありがとうございます」

避けたいのは、議論が本質からずれてしまうこと。なので、ゴールを確認しつつ、相手の感情や立場を考えた答えをしてきます。

こういったシーンに限らず「伝わる原則」をインプットしておくと、面倒な人、苦手な人とのコミュニケーションに活用ができます。

例えば、「伝わる原則」のひとつに「親近感」があります。

親近感がなぜ大切かを考える上で分かりやすいのは、逆の「嫌悪感」をイメージしてもらうことです。嫌悪感のある人の言うことを想像してみてください。

その人が「たとえ正しいと思うこと」を言っていても、そのまま素直に受け止めるのではなくどこか否定できるところはないかを探したりすることはないでしょうか。嫌悪感は「伝わらない」を生むわけです。

この逆が親近感です。「親近感を感じる人の言葉」は、素直に入ってきやすいし、たとえ違うと思うことでも、理解をするように意識しやすくなるはずです。人とのコミュニケーションを円滑にするためにもぜひ「伝わる原則」をインプットしてください。

著者プロフィール:柿内尚文(かきうち・たかふみ)

編集者
1968年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。
株式会社アスコム取締役編集局長。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1,000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。著書に「考える技術」をテーマにした『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(ともにかんき出版)がある。