今回演じる椿木宙は、“誰しもが想像しなかった角度からのコメントに周囲の人間が揺らされる”というキャラクター。自身も共感する点があるといい、「美術関連のものが結構好きで、そういう人たちの話を聞いていると『この人は何を考えているんだろう?』や『変わった角度から行動しているな』と思ったりするんです。僕も変なことを考えるのが結構好きで、誰もが興味を持たないだろうなというものに対してあえて興味を持ってみるということをしたりします」と明かす。

こうした美術分野への興味や、洋服作りを手がけるなど、好奇心旺盛なだけに、「それこそ『1カ月後に人類が滅亡します』というときに、役者だけをやっていて死にたくないというか、せっかくだから違うこともして生きていきたいと思うので、自分の好きなことを仕事じゃなくても何かしら行動できたらいいなというのは、結構考えます」と意欲。様々なジャンルに触れて感じ取ることで、「お芝居にも結構役立つかもしれないですし」と、肥やしになることを想像する。

一方で、役者の道においては「最初に出演した映画(『MOTHER マザー』)で長澤まさみさんとお芝居をさせていただいて、2人のシーンで『ここは泣けたらいいね』と話していたんですが、泣くのが苦手で(本番前の)テストではできなかったんです。それで、泣くのを我慢する芝居をすることにしたんですが、本番で長澤さんの芝居を見たら本気で泣いてしまって。ちょっと恥ずかしかったんですが、相手のお芝居を変えるというのがすごいことだと思ったんです。僕もそういうことができる役者になりたいという気持ちが、もっとお芝居をやりたいと思い始めたきっかけだったので、そんなシーンに出会えることが目標です」と力強く語った。

●奥平大兼
2003年生まれ、東京都出身。20年公開の映画『MOTHER マザー』にオーディションからメインキャストに抜てきされ、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。その後、『恋する母たち』(TBS)、『レンアイ漫画家』(フジテレビ)、『ネメシス』(日本テレビ)などのドラマに出演する。今年は『サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days』(日本テレビ)のほか、ドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』(同)、『早朝始発の殺風景』(WOWOW)の放送、映画『マイスモールランド』の公開が控える。

スタイリスト/小林祥子
ヘアメイク/荒井智美