「ひな祭りって何をすればいい?」「ひな祭りにすることにはどのような意味がある?」など、ひな祭りのお祝いをしてもらった経験のない男性はもちろんのこと、子どもの頃に祝ってもらった女性でも、いざ自分がお祝いする側となるとこのような疑問を抱くことがあるかもしれません。

ひな祭りは女の子の成長と幸せを願う行事ですが、行事の本来の意味を知ればより一層、愛しいわが子にとって重要な行事であることが理解できるはずです。本記事では、ひな祭りのしきたりを由来などとともにご紹介します。ひな祭りの準備の参考にしてみてください。

  • ひな祭りに何をするのか知っておきましょう

    ひな祭りにすることや、ひな祭りってどのような行事なのかを紹介します

ひな祭りにすることは? 何をするかを解説

ひな祭りですることは

  • ひな人形を飾る
  • 行事食を用意する

の2つに大別できます。この2つについて詳しく見ていきましょう。

ひな人形を飾るときにすること

ひな祭りの一大イベントといえばひな人形を飾ることです。ひな人形を飾るときにすることをまとめました。

ひな人形を選ぶ

まずはひな人形を選ぶところから始めます。ひな人形には厄を引き受ける役割もあるため、一人につき1セットとする考え方もありました。しかし姉妹が多いと金銭的負担が大きいためひとつの家庭で1セットとしたり、かつては嫁入り道具であったことから母娘で代々受け継いだりする家庭も増えてきているようです。

現代では伝統的な七段飾りからコンパクトな飾りまで幅広い種類のひな人形があるので、ご家庭の状況に合わせて購入するといいでしょう。

ひな人形を飾るタイミング

一般的に、ひな人形は立春の時期に飾り始めるのがいいとされています。立春は節分の翌日なので、節分で厄払いをした後に飾る方が縁起がいいためでしょう。暦の上でも春になる最初の日なので、春を思わせるひな人形を飾り始めるのにふさわしいと言えます。

一方で、立春と同じ二十四節気のひとつ、雨水(うすい)の日に飾ると良縁に恵まれるとも言われています。雨水は立春の15日後なので、飾り始めるのに決して遅すぎることはありません。立春に飾れなかったら雨水に飾るといいでしょう。

ひな人形を飾るのに適していないのは、前日の3月2日です。前日に飾ることは「一夜飾り」と言われ、あわただしい様子から葬式を思わせるので縁起が悪いとされています。遅くともひな祭りの1週間前には飾り始めておきたいですね。

ひな人形をしまうときの注意点

ひな人形は「片付けるのが遅いとお嫁に行くのが遅れる」とよく言われます。これは「厄を引き受けたひな人形を長くそばに置いておくのはよくない」という考えに基づいていたり、きちんと片付ける習慣をつけるために言われるようになったりしたもので、迷信の一つです。実際には3月5日頃の啓蟄まで飾るのが一般的とされており、片付ける時期について明確な決まりはありません。

ただしひな人形をしまうときは、天候に十分注意しましょう。湿気を含んだ状態で片付けてしまうと、1年後に再び取り出すときにカビが生えているかもしれません。カラッと晴れた日に片付けるのがおすすめです。

流し雛やつるし雛

ひな人形にはさまざまな種類があります。一般的なのはひな壇を組み立てた七段飾りですが、近年では飾りやすいよう、お内裏様とお雛様だけのセットで販売していたり、陶器などのカビにくい素材でつくられたりしたものもあります。

ひな人形を川に流す「流し雛」は、ひな人形のルーツとも言われており、鳥取県鳥取市の「もちがせの流しびな」のように現代でも地域によっては風習が残っています。

近年注目されている「つるし雛」は、縁起のいい意味を持った動物などの人形を布でつくり、つるすタイプのひな人形です。吊るし雛が始まったのは、江戸時代と考えられています。当時の雛人形は、一般家庭には手が届きにくい高価な物でした。ただ、それでも健やかな子どもの成長を祈る親を中心にご近所さんも小さな人形を持ち寄ってつるし雛をつくったのが始まりとされています。

  • 愛らしいつるしびなは近年注目されています

    ひな祭りの行事食で用意すること

ひな祭りの行事食で用意すること

ひな祭りではひな人形を飾る以外に、行事食を用意することがあります。ひな祭りで用意すべき縁起物の行事食をご紹介しましょう。

ちらし寿司

ひな祭りの行事食の中でも、比較的ポピュラーなのがちらし寿司です。見た目が華やかなちらし寿司は春のひな祭りのイメージにぴったりですが、具材にはきちんと意味が込められています。

錦糸卵: 黄身と白身の色合いで金銀財宝を表現
れんこん: 穴が開いているので、「先の見通しがよくなる」という意味
海老: 腰が曲がっている=腰が曲がるほど長生きするという意味から長寿の象徴

ハマグリのお吸い物

ハマグリは対の殻同士でないとぴったりと合わないので、仲むつまじい夫婦の象徴として知られています。婚礼の縁起物としても使われますが、女の子が良縁に恵まれることを願って、ひな祭りでも行事食として用いられています。

ひし餅・ひなあられ

ひし餅は上から桃色、白色、草色の3色の餅が重ねられています。雪の下から植物の新芽が芽吹き、桃の花を咲かせる春の訪れを表現する縁起物です。また、桃色は「魔よけ」、白色は「純潔、清浄」、草色は「健やかな成長」をそれぞれ意味し、女の子の健やかな成長を願う意味が込められています。

ひなあられの起源は、ひな人形を外に持って行って遊ぶ風習にあると言われています。外で遊んでいるときにもひし餅を食べられるように、と工夫したものがひなあられです。関東では米粒状、関西では丸い粒状、と東西で形状も異なっています。

白酒・甘酒

ひな祭りには白酒・甘酒を飲む風習もあります。本来は桃の花を漬け込んだ「桃花酒(とうかしゅ)」を飲む風習がありましたが、江戸時代の頃に米と麹を用いた白酒が好まれるようになりました。

白酒は強い甘味が特徴ですが、アルコール度は5%でリキュールに分類されるため、実はひな祭りの主役である女の子は飲むことができません。そのため、女の子も楽しめるように甘酒を用意する風習が定着しつつあります。

  • ひな祭りの行事食、ちらし寿司には縁起物がつまっています

    ひな祭りにすることは女の子の健やかな成長と健康を願うこと

初節句ですること

女の子が生まれて最初のひな祭りは初節句と呼ばれます。ここでは、初節句にすべきことについて見ていきましょう。

親族で集まってお祝いをする

初節句は、親戚で集まってお祝いするのが一般的です。ひな人形を飾って、集まった親戚に祝い膳をふるまうことで盛大にお祝いし、女の子の厄を祓って健康を願います。

お寺や神社で祈祷してもらう

初節句には、お寺や神社で厄除け祈願してもらう風習があります。この風習は地域によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

  • ひな祭りはひな人形や祝い膳でお祝いします

    最初のひな祭りは初節句と言います

そもそもひな祭りとは

ひな祭りは女の子の成長や幸せを願う行事です。ここでは具体的にどのような行事でどのような由来があるのかについてまとめました。

女の子の健やかな成長と健康を願う行事

ひな祭りは毎年3月3日、女の子の健やかな成長と健康を願う行事です。ひな人形を飾ったり、ひなあられを食べたりしてお祝いします。女の子が生まれて初めて迎えるひな祭りは「初節句」といいます。

もともとは中国の五節句

ひな祭りの由来は古代中国の五節句です。季節の変わり目に行われる行事で、1・3・5・7・9月の奇数日にあります。端午の節句であるこどもの日や七夕の節句も五節句に含まれ、そのうち上巳の節句がひな祭りにあたります。

  • 人日:じんじつ(1月7日)
  • 上巳:じょうし(3月3日)
  • 端午:たんご(5月5日)
  • 七夕:しちせき(7月7日)
  • 重陽:ちょうよう(9月9日)

邪気や厄を祓う意味がある

五節句は中国の故事に由来し、邪気や厄を祓う風習があります。五節句は日本でもちょうど季節の変わり目で体調を崩しやすい人が多かったり、農業においても植え替えの時期だったりと、邪気や厄を祓ってその後の繁盛を願うのに適しているとされていました。

そのため、五節句は江戸時代の頃に儀式を行う日「式日」として制定され、宮廷の伝統行事として重視されました。五節句を式日とする制度は明治時代に廃止され、こどもの日のみが祝日として残りましたが、五節句の風習は今も人々の間に根づいています。

  • ひな祭りでは女の子の成長と健康を願います

    ひな祭りの由来は古代中国の五節句にあります

そもそも初節句とは

前述のように、女の子が生まれて最初のひな祭りは初節句と呼ばれます。

赤ちゃんが1歳の誕生日を迎えるまでの間には「お七夜」「お宮参り」「お食い初め」といったお祝い事があります。その中で初節句は初めて男女の違いが現れる行事と言えます。女の子の初節句はひな祭り、男の子の初節句は端午の節句であるこどもの日です。

初節句は無理のないタイミングで

初節句は女の子が生まれて最初のひな祭りとされていますが、生まれたタイミングによっては母親の体調が戻っていなかったり、出産直後で退院できていなかったりします。初節句を行う時期について厳密な決まりはないので、無理のないタイミングを選んでお祝いしてあげましょう。

ひな祭りにすることは女の子の健やかな成長と健康を願うこと

本記事ではひな祭りにすることと、注意点についてまとめました。ひな祭りは女の子の成長と健康を願う祝い事です。

ひな人形を飾る時期や当日の食事は、縁起のいい日取りやものを選ぶことが大切です。ひな祭りにすることを把握して、盛大にお祝いしましょう。