ヴァイオリニストの葉加瀬太郎が、テレビ朝日系スペシャルドラマ『津田梅子 ~お札になった留学生~』(3月5日21:00~)の劇伴音楽を手掛けることが分かった。
日本初の女子留学生としてアメリカに渡り、ガールズパワーで女子教育の道を切り拓いた津田梅子(幼名・梅)の青春を描く大型スペシャルドラマ。結婚や仕事について悩む等身大の姿にもスポットを当てた「誰も知らない津田梅子」を広瀬すずが演じる。
葉加瀬がドラマの劇伴音楽を手がけるのは、2010年放送のNHK連続テレビ小説『てっぱん』以来約12年ぶり。本作で演出を担当する藤田明二監督作品との相性や、鹿鳴館をはじめとした文明開化の時代を大スケールで表現してほしいという制作陣の思いがきっかけで実現した。
さらに、その縁あって娘・高田向日葵(ひまり)さんが本編にエキストラ出演することも決定した。葉加瀬から鹿鳴館シーンでの演奏者のエキストラを募集していると聞き、「ぜひ参加してみたい!」と立候補。撮影当日は束髪に黒のバッスルドレスという当時の流行スタイルに身を包み、葉加瀬から借り受けたバイオリンを手に演奏者役を堂々と演じた。
藤田監督からのオーダーにもすぐに反応し、表現に反映する勘のよさを発揮していた向日葵さん。長時間の収録だったが疲れた様子は一切見せず、最後は「とても楽しかったです。ありがとうございました!」と笑顔であいさつ。後日行われた葉加瀬によるメインテーマのレコーディング現場も訪問し、演奏に聞き入る姿も見られた。
■葉加瀬太郎 コメント
――本作の音楽を手がけられましたが、楽曲に込めた思いを教えてください。
音楽を手がけるにあたり、まず頭の中に描いたのは、主人公の梅たちにとって、この留学は“大冒険”だったであろうということです。アメリカという未知の国に向かう……その希望と不安が、メロディーで表現できたらと考えました。大冒険とはいっても、僕の中で大事にしたのが“少女”というキーワード。梅をはじめとする女子留学生たちが勇気をふりしぼって海を渡るというイメージがあったので、だからこそ柔らかくもあり、力強くもあり、という音楽にしようと考えました。特にメインテーマは自分でも大好きなメロディーを作ることができたので、春のコンサートでさっそく演奏できたらいいなと考えています。
――長女・向日葵さんが本作に出演されましたが、そのいきさつを教えてください。
僕が直接、勧めたわけではないのですが、鹿鳴館の舞踏会シーンでバイオリンを弾くエキストラを探していると聞き、娘にそんな話をしたところ、参加させていただくことになりました。娘は、現在はほとんど弾いていませんが、小さい頃しっかりバイオリンのレッスンをしていたので楽器は弾けるんです。僕が思うに、彼女が手を挙げたのはおそらく素敵なドレスが着たかったからではないかな(笑)。撮影当日は、僕が大切にしているバイオリンを持っていきました。何本か候補を出して、「この中のバイオリンだったらいいよ」と言ったらそのうちの1本を選んで、「じゃあこれ借りる!」って言ってサッと持っていかれちゃいました(笑)。いちおう「大事にしてね」とは言いましたけど……(笑)。その日は現場から「今、着替えが終わったよ」などと何枚も何枚も写真が送られてきたぐらいなので撮影はとても楽しんでいたようです。本当に貴重な経験をさせていただきました。