住宅ローンを借り換えても、必ずメリットを得られるとは限りません。借り換えるには、金融機関への手数料や登記費用などの諸費用がかかるためです。

では、どのようなケースで借り換えをするとメリットがあるのでしょうか。本記事では、シミュレーションを用いて、住宅ローンの借り換えでメリットが得られるケースをご紹介します。

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1.金利が低い住宅ローンに借り換えたとき

まずは、金利がより低い住宅ローンに借り換えたとき、返済負担をどれほど軽減できるのか見ていきましょう。現在の借入状況は、以下の通りです。

現在の借入
●借入額:3,500万円
●返済期間:35年
●返済方式:元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方法)
●金利タイプ:全期間固定金利
●金利:3.0%

上記の返済開始から13年が経過し、借入残高が約2,600万円となっているときに、以下の条件の住宅ローンに借り換えると想定します。

借り換え後の条件
●借入残高:2,600万円
●返済期間の残り:22年
●返済方式:元利均等方式
●金利:1.3%

シミュレーションの結果は、以下の通りです。

   毎月の返済額 総返済額
借り換え前 13万4,652円 約2,991万円
借り換え後 11万3,291円 約3,555万円
軽減額 ▲2万1,361円 ▲約564万円

借り換えにより、金利が1.7%下がったことで、毎月の返済額は約2.1万円、返済総額は約564万円軽減できました。借り換え時に70万円の諸費用がかかったとしても、約494万円の軽減効果が得られます。

2.金利の固定期間終了後に借り換えをするとき

固定期間選択型は、借入から5年や10年など一定期間の金利を固定する住宅ローンです。金利の固定期間が終了したあとは、再び金利を固定させない限り変動金利へと移行します

金利の固定期間が終了すると、金利が上昇して返済負担が増えることがあります。これは、金利に適用されている割引が減ってしまうためです。そこで固定期間が終了したあと、より低金利の住宅ローンへ借り換えるのも選択肢のひとつです。

ここでは、以下の条件で借り入れた住宅ローンについて、金利の固定期間が終了して借り換えをしたとき、返済負担がどのように変化するのかシミュレーションします。

現在の借入
●当初の借入額:3,500万円
●返済期間:35年
●返済方式:元利均等方式
●金利タイプ:固定期間選択型
●金利:返済当初10年は1.1%、返済11年目以降は1.8%(変動金利)

上記のケースについて、返済10年目までの返済額は毎月10万312円です。それが返済11年目以降は、月額10万8,930円となるだけでなく変動金利へと変わります。そこで固定期間の終了とともに、以下の変動金利型住宅ローンに借り換えるとしましょう。

借り換え後の条件
●借入残高:2,630万円
●返済期間の残り:25年
●返済方式:元利均等方式
●金利:0.475%

計算の結果は、以下の通りです。

   毎月の返済額 総返済額
借り換え前 10万8,930円 約2,790万円
借り換え後 9万2,992円 約3,268万円
軽減額 ▲1万5,938円 ▲約478万円

計算の結果、金利が固定期間が終了したあとも返済を続けるケースと比較して、毎月の返済額は1万5,938円、返済総額は約478万円の軽減となりました。借り換え時に70万円の諸費用がかかった場合、最終的な軽減額は約408万円となります。

メリットを確認したうえで借り換えをしよう

住宅ローンの借り換えを検討するときは、必ず返済シミュレーションを確認しましょう。借り換えのシミュレーションは、各金融機関のホームページにアクセスするとできます。また、ファイナンシャルプランナーをはじめとした専門家に試算してもらうのも方法です。

借り換えにメリットを感じないのであれば、現在の借入が最良の選択であると考えられます。住宅ローンを返済中の方は、一度借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。