雪が降らない地域の方には見慣れない光景ですが、雪国の方は「あるある!」と思う一枚の写真が話題になりました。

投稿者は地理好き女子による地理的活動を行う「地理女net」代表の森順子さん(@yabejun5)です。

札幌のこの時期ならではの雪の断面を地層っぽくしてみた。(@yabejun5より引用)

  • (@yabejun5より引用)

札幌市白石区で撮影したというこの写真、一見地層のようですが、よく見ると「除雪して重なった雪」。「2週間前」「10日前」「1週間前」……と森さんによって時期が書き込まれています。こんなに積もるし、残るんですね。

この投稿に、「雪国あるある」「そうそう、これが普通。こんな感じで「地層」みたいになってるんです」「下部層の雪はどんどん圧縮されてガリガリの氷に……。春先はこれがなかなか融けなくて手強い」と雪が多い地域の方からは共感の声が続々。

「北海道民ですが見れば見るほど『ミルフィーユ」か『ミルクレープ』、ケーキの断面に見えてくる……」「チャーシュー?」「我が家の小学生の息子は『ベーコン』と呼んでいます」「これこれ! 昨日は車運転しながら、ほうじ茶パフェ連想してた」と様々な食べ物を想起する方もいたようです。

雪が多い地域で、今だけしか見られないこの地層のような状況、どのように生まれたのでしょうか? 投稿者の森さんにお話を伺いました。

投稿者に聞いてみた

――まるで地層のような「雪の断面」、札幌市内ではよく見かけるものでしょうか?

はい、札幌市内では除雪で雪が道路脇に寄せられたあと、排雪時にロータリ車が削ってこのような雪の断面が現れます。私は出身が千葉県なので、札幌に住み始めた頃は「雪がこんなに層になるんだ!」とビックリしました。

――層ごとの色の違いや厚さの違いはどのようにして生じるのでしょうか?

雪は溶けるため期日はあくまで推測なのですが、色の違いは除雪と積雪によるものです。「茶色や灰色の部分」は車の泥はねや通行で汚れた後に除雪されたもの、「白い部分」は主に積雪によるもので、汚れずきれいなままのためです。 厚さの違いについては、積雪よりも除雪の量の方が多いから、というのが大きい理由ではないかと思います。茶色い部分の方が厚いのは、撮影したのが大きい通りというのもあるかもしれません。他の場所では白い部分が多い場所もありました。

今年は特に雪が多いので、白い部分が例年より厚い気がします。

――雪が降る地域では見慣れた雪の断面ですが「地層みたい」と思うと、積もった時の状況や除雪のタイミングが読み取れそうで面白いですね。なお森さんは地理にまつわる活動もされているそうですが、どんな活動をされているのでしょうか。

普段は企業・自治体の研修講師や、大学で地理やキャリア教育の講師をしています。大学で学んだ地理が、防災や農業・気候などニュースが読み解ける大事な科目であると実感し、小学生向けの地理のイベントを企画したり、街歩きイベントの講師などを務めたりしていますね。最近ではコロナ禍でも自宅でその土地のことを楽しんでもらおうと、VR(バーチャルリアリティ)を活用した地理教材の開発も行っています。


「今年は49年ぶりに高校で地理が必修化になる記念の年でもあります。今回皆さんが興味を持ってくださったように、SNSなども通じてさまざまな観点から地理を楽しんでもらえるよう情報発信していきます」と森さん。地理や地学を知ることで、普段見慣れた景色がちょっと変わって見えるかもしれません。