上白石は、2011年に「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、2012年にドラマ『分身』(WOWOW)で女優デビューを果たした。デビュー当時は小学生。女優業を仕事にしていく覚悟や責任感が生まれたのは3、4年前だという。

「それまではずっと迷ったりしていました。大学で学んでいることが楽しくて、自分はこのまま就職するべきなのか、それとも今の仕事を続けるべきか、揺らいでいた時期がありました」。

覚悟が決まるきっかけになったのが、主人公・亜希子(綾瀬はるか)の義娘・みゆきを演じたTBS系ドラマ『義母と娘のブルース』(2018)だった。

「自分が今まで得られてきたと思っていたものが全く通用せず、お芝居することの難しさを感じ、すごく悩んで苦しんで、この仕事をやるべきではないって思ったんです。でも、それだけやりがいもあることに気づき、険しい道かもしれないけど、お芝居をやっていきたいなって思いました」。

『義母と娘のブルース』の心温まる物語は大きな反響を呼び、2020年、そして今年の正月に、スペシャルドラマも放送された。上白石は「シリーズ化される作品も珍しいですし、自分の原点がこの作品な気がしているので、すごく大事に思っています」と、女優としての転機となった『ぎぼむす』に感謝している。

そんな上白石の原動力は「エンタメが大好き」との思い。「音楽も映画も演劇も、自分がお仕事で関わっているものがとにかく好きで、休みの日も何か1本作品を見たりするのが好きなので、好きという気持ちが原動力になっているかなと。自分の好きなものの延長に自分が立っていると思えることがすごくうれしいです」と語った。

思い描いている将来像を尋ねると、「あまり器用なタイプではありませんが、とにかくこれから出会う作品のことを一生懸命愛して、『あなたが演じてくれてよかった』って言われるような役者になれたら」と答えた。

今春スタートの『ちむどんどん』で念願の朝ドラ出演もつかんだ。

演じるのは、ヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)の妹・比嘉歌子。「朝ドラに出演するのはずっと夢でした。しかも歌子という役で、私の名前の一部である“歌”がついているというのも運命を感じているので、一生懸命、自分の役目を全うしたいです」と意気込む。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』への参加が発表された際に、「できることなら実際に出演したい。プロトンパックを私も構えてみたい(笑)」と、今後あるかもしれない続編への出演に意欲を見せていた。改めてその野望も尋ねると「高望みな感じになるとは思いますが……」と照れ笑いを浮かべ、「でも、日本語が好きなので日本でお芝居していきたいです」と話していた。

■上白石萌歌
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し芸能界デビュー。以降、テレビ、映画、舞台、「adieu」名義での音楽活動など幅広く活躍。『羊と鋼の森』(18年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。そのほかの主な出演作に、ゲスト声優を務めた『劇場版ポケットモンスター ココ』(20年)、主演映画『子供はわかってあげない』(21年)、ドラマ『義母と娘のブルース』シリーズ、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(19年)、『教場II』(21年)など。映画『KAPPEI カッペイ』が3月18日公開予定。2022年度前期NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、4月スタートの日本テレビ系ドラマ『金田一少年の事件簿』も控えている。