年末の風物詩であり、多くの人に親しまれている年越しそば。「実はいつ食べるべきなのかよくわかっていない」という人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、年越しそばを食べるタイミングに決まりがあるのかどうかを、食べる理由や由来とともにくわしく解説します。また、地域別の年越しそばの特徴についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

  • 年越しそばの由来とは?

    年越しそばの由来や食べる時間帯、地域別の特徴などについて解説する記事です

年越しそばはいつ食べる?

年越しそばは縁起物のため、どうせ食べるなら適切な時間帯に食べたいものです。年越しそばを食べるのに正しいタイミングはあるのでしょうか?

何時に食べるものという決まりはある?

年越しそばは、大晦日に夕飯として、また夕食のあとの夜食として食べる家庭が多いようです。「年越し」というだけあって、日付が変わる時間になるべく近いタイミングで食べ始めるケースが一般的なのでしょう。

しかし、実際には年越しそばを食べる時間帯にこれといった決まりはありません。日中の明るい時間帯に食べても問題はないので、自分や家族の都合のいい時間に食べましょう。

年内に食べるべきという説も

食べる時間帯に決まりはない年越しそばですが、「1年の厄災を断ち切る」という意味合いを含むため、「年内には食べ終わらないといけない」とする説はあります。

この説では年をまたぐと次の年の金運に恵まれない、縁起が悪いなどと考えられているそうなので、気になる人は除夜の鐘が鳴り終わるまでには食べたほうがいいでしょう。

年明けに食べる地域もある

一般的には年末に食べられる年越しそばですが、地域によっては年が明けてから食べる場合もあります。

例えば、福島県会津地方の一部の地域などは、年が明けてからそばを食べる習慣が残っている地域として知られています。家庭によって若干異なりますが、お正月の縁起のいい料理として年が明けてからそばを食べ、大晦日には代わりに福島の郷土料理を食べるというのがならわしです。

他にも新潟県の一部の地域では、小正月の前日である1月14日にそばを食べるといいます。

  • 年越しそばはいつ食べる?

    年越しそばを食べる時間帯にこれといった決まりはありません。地域や家庭によって異なります

年越しそばを食べる意味や由来は?

年越しそばの由来にはいくつかの説がありますが、基本的には江戸時代に始まった習慣と言われています。

当時の商家では、毎月30日に主人が奉公人にそばを振る舞う習慣があったそうです。それが一般の人々にも広がり大晦日にそばを食べるようになった、という説が代表的な由来の1つとして知られています。

なぜ年越しそばを食べるの?

古くから日本人の間で親しまれてきた年越しそばですが、年末にそばを食べることにはどのような意味が込められているのでしょうか。

年越しそばを食べる理由にも諸説ありますが、その多くは縁起や験(げん)を担いだというもの。手軽に作れて運気を上げられることから食べられるようになったようです。そばが細く長く伸びることから健康長寿や家運長命などを願って食べられた説や、そばの切れやすさが苦労や厄災を断ち切ると言われていたという説などが伝わっています。

また、そばの実は栄養価が高く、当時流行していた脚気(かっけ)という病気に効いたとされる説も。今でも年越しそばの習慣が残っているのは、健康を願う風習であったことが背景にあるようです。

  • 年越しそばの由来とは?

    年越しそばは、江戸時代にはじまった習慣と言われています

年越しそばを食べないとどうなる?

古くから縁起物として親しまれてきた年越しそばですが、必ず食べなければいけないというわけではありません。

年越しそばではなく年越しうどんを食べたり、おせちを大晦日から食べたりする地域もあります。決して無理して年越しそばを食べる必要はないので、地域の慣習や自分のライフスタイルに合わせるといいでしょう。

  • 年越しそばを食べないとどうなる?

    必ず年越しそばを食べなければいけないというわけではありません

【地域別】年越しそばの特徴

実は、年越しそばは地域によってその具材や味の特徴がかなり変わります。

ここからは地域別の年越しそばの特徴をくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

北海道の年越しそば

国産にしんの主な産地である北海道では、明治時代ごろからにしんを使った年越しそばが多く食べられています。

当時の地方紙であった「小樽新聞」でにしんの調理方法が紹介され、その後一般の人々に広まっていったそうです。

また、北海道のにしんは全国各地に運ばれていましたが、そのなかの1つである京都府でも「にしんそば」が名物となっており、今でもよく食べられています。

なお、にしんを使っているという点は共通しているものの、味付けは同じではありません。 北海道が濃い口醬油で味付けするのに対し、京都府は薄口醬油で味付け。京都府のにしんそばは淡い色の出汁が特徴です。

東北・北陸の年越しそば

東北で特色のある年越しそばとして有名なのは、岩手県の「わんこそば」。

400年も前から食べられ続けている郷土料理であり、「大晦日に年齢と同じ杯数のわんこそばを食べると長生きできる」という言い伝えもあります。

また、新潟県で食べられている「へぎそば」も特徴的な年越しそばの1つ。四角い「へぎ」と呼ばれる器に、「布海苔(ふのり)」という海藻をつなぎ粉に使った麺が盛られます。

他にも、北陸では大根おろしを使った福井県の「越前おろしそば」などが特徴的な年越しそばとして知られています。

中国・四国の年越しそば

中国地方では、島根県の「釜揚げそば」が特色を持った年越しそばといえるでしょう。

釜から茹で上げたそばをそのままゆで汁と一緒にお椀に入れ、独特の甘辛いつゆをかけて食べるのがこの地域のスタイルです。

また、うどんで有名な香川県では、「年越しそば」ではなく「年越しうどん」が食べられている地域も。

1本1本が太くて長いうどんには「太く長く生きる」という意味が込められており、年越しの縁起物として香川県民の間で親しまれています。

九州・沖縄の年越しそば

九州の福岡県福岡市博多区では、年越しそばのことを「運そば」とも言います。

鎌倉時代の商人・謝国明(しゃこくめい)が大晦日に、疫病や飢餓に苦しむ博多の人々にそばを振る舞ったことから、大晦日に食べるそばを運が開ける「運そば」と呼ぶようになりました。

また、沖縄県の年越しそばも「沖縄ならでは」というもの。沖縄では「そば」というと「沖縄そば」のことを指すのが一般的で、年越し時にも地域に根付いている「ソーキそば」や「沖縄そば」を食べるのが主流です。

ソーキ(スペアリブ)や紅しょうが、ねぎなどの具材がトッピングされたものが用意されます。

  • 【地域別】年越しそばの特徴

    年越しそばの味や具材は地域ごとに特色があります

年越しそばは好きなタイミングで食べよう

いくつかの説があるものの、江戸時代ごろにはすでに縁起物として食べられていたとされる年越しそば。現代では大晦日の夕飯か夜食に食べるのが一般的ですが、食る時間にこれといった決まりはないので、好きなタイミングで食べても問題ありません。

年明けに年越しそばを食べ、大晦日には年越しそば以外のものを食べるという地域もあるので、その土地ならではの風習に合わせるといいでしょう。

年越しそばの由来や地域ごとの特徴を知って、家族や友人と年越しそばを楽しんでみてはいかがでしょうか。