久光製薬は12月11日、佐賀県鳥栖市で「久光製薬 鳥栖市民講座」を開催。東京2020オリンピックのソフトボールで金メダルを獲得した上野由岐子さんらがゲスト出演し、「仲間と目指した頂点」をテーマにトークイベントを盛り上げた。

  • 第26回「久光製薬 鳥栖市民講座」が開催 写真提供:久光製薬

恒例イベントが2年ぶりの開催

本講座は、東京2020大会でオフィシャルパートナー(外用鎮痛消炎剤)を務めた久光製薬の主催による毎年恒例の催し。昨年は新型コロナウイルスの影響で開催を断念したが、今年は来場者数を半分に減らし、感染症対策に万全を期して実施された。

  • 地域に親しまれている恒例のイベントとして、今年も鳥栖市民文化会館で開催

会場となった鳥栖市民文化会館には、一般参加者581人が来場。入場料として集められた58万1,000円の全額は、日本赤十字社を通じて、令和3年8月の大雨災害による被災者の支援に充てられるという。

なお今回は佐賀県内の中学校・高校から、ソフトボール部の生徒たち110人も特別招待された。

  • 入場料の全額は「令和3年8月の大雨災害」による被災者支援に充てられる

  • 佐賀県内の中高生110人も招待された

また、来場者特典として、東京2020大会の公式ライセンス商品(久光製薬オリジナルバージョンのミライトワ、ソメイティのピンバッチや、クールジェルシート、リフレッシュボディーシートなど)が配られたほか、サロンパス、のびのびサロンシップFなどの試供品も提供されている。

  • 東京2020大会の公式ライセンス商品などが提供された

鳥栖市民文化会館のロビーにはフォトスポットとして、ソフトボールの上野由岐子選手のほか、バレーボールの久光スプリングスに所属する石井優希選手、長岡望悠選手、井上愛里沙選手のほぼ等身大パネルが登場。

アスリートの身体の大きさに驚きつつ、笑顔で一緒に写真に収まる来場者の姿が見られた。

  • 人気アスリートと一緒に写真撮影できるフォトスポットが好評

上野由岐子選手が東京2020大会を振り返る

開演に先がけ、寄付金目録が日本赤十字社(佐賀県支部)に贈呈された。令和元年から3年続けて大雨被害が出ている九州地方。日本赤十字社の担当者は「久光製薬様には義援金のほか、リフレッシュボディーシートなども提供していただき、被災者の方、ボランティアの方にとても喜ばれています」と感謝の言葉を口にした。

  • 開演前、寄付金目録が日本赤十字社へ手渡された

このあと上野由岐子選手が登壇し、いよいよトークイベントがスタート。3部構成の第1部では、上野選手がMCと対談した。オリンピックのソフトボール競技は、日本が金メダルを獲得した2008年の北京大会を最後に、正式種目から外れていた。

東京2020大会は13年ぶりのソフトボール復活、しかも日本開催となりプレッシャーは相当大きかったと上野選手。

「周りからも『金メダルしかない』という期待を感じるなか、無事に結果を残すことができてホッとした、というのが今の正直な気持ちです」と笑顔を見せた。そして、カバンの中に入れても存在感があるほど重い、という金メダルを客席に向けて披露し、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

小学生のときからエースピッチャーで、中学、高校と「練習した分だけ上手くなる」「だから楽しくて仕方ない」という学生生活を送っていた上野選手。しかし、高校2年生の体育の授業で腰を骨折する全治3ケ月の大怪我をし、それまで「自分が試合で抑えれば良い」という強気一辺倒だった気持ちは「仲間がいるから試合ができる」「みんなと一緒に勝ちたい」に変化していったそうだ。そのうえで、「大事なことに気付かされた、とても良い経験だった」と当時を振り返った。

アメリカとの決勝戦

第2部では、ともに佐賀女子校の出身で、上野選手のチームメイトとして日本の金メダル獲得に貢献した藤田倭(ふじた・やまと)選手、内藤実穂(ないとう・みのり)選手が登壇。3人で東京2020大会を総括した。

  • MCの質問に答える、上野選手、藤田選手、内藤選手 写真提供:久光製薬

アメリカとの決勝戦について上野選手は「自分たちの、思い通りの展開になった。早いイニングで先制点を取り、そのあとに追加点。バッテリーも相手打線をゼロで抑えた。最高の戦い方になりました」と冷静に分析する。

藤田選手は「予選の最終試合で投げたときに手応えがあって。この感じなら負けない、という自信になりました。1人ひとりのコンディションも良かった。このメンバーで13年を一緒に耐え忍んできたんです。その思いをすべてぶつける気持ちでグランドに立ちました」と明かす。また内藤選手は、「個人的には緊張することなく、平常心で臨めました。勝ちたい、勝つんだ、という強い執念で仲間を信じて戦い抜きました」と当時の思いを披露した。

最後に、上野選手は「東京2020大会で、たくさんの子どもたちがソフトボールに興味を持ってくれました。その熱を冷まさないよう、今後も活動していかなくては。また、私たちが選手として経験したことを、これからの若い世代に伝えていくことも大事だと感じています」と話した。

ただ次のパリ大会(2024年)では、ソフトボールが再びオリンピックの正式種目から外れてしまった。その話題に触れると「正式種目にカムバックするため、まずは世界のソフトボール人口を増やしたい。そこで日本リーグから盛り上げていきます。2022年春には、女子ソフトボールの新リーグ『JD.LEAGUE』が開幕し、海外からも有名選手が来ます。日本から世界に魅力を発信して、オリンピック復帰を果たせれば」と力をこめて締めくくった。

第3部では『ソフトボールクリニック』と題した、金メダリスト3人による公開レッスンが実現。武雄中学校(武雄市)、佐賀女子高等学校(佐賀市)の生徒4人が登壇して、ピッチング、バッティングのフォームを指導してもらうと、「日本を代表する偉大な先輩に、分かりやすく教えていただけた」「教わったことをチームに持ち帰り、みんなに伝えます。チームを引っ張る存在になれるよう、これからも練習を続けていきます」と感激していた。