就職活動の自己PRのために、資格の勉強仕事を始めたい。あるいは、就職活動しなければならないけれど、どうしてもすぐに行動できない。
「変わりたい」「けど、現状をなかなか変えられない」。
そう思い、セミナーや講座、読書などに頼ってみたものの、そのときだけはモチベーションが上がっても、翌日にはすっかり忘れてしまい、どうしても毎日の習慣が変わらない。
いつしか、モチベーションが上がらないのは、周囲の環境や学歴のせいだと言いはじめてしまう。最近話題の親ガチャなども、こうしたトレンドから生まれているのかもしれません。
すぐ行動できる自分を手に入れる「コスパ最強の勉強法」
どんな変化にも、必ず負荷がかかります。その負荷を乗り越えないと、何も始まりません。このように、自分自身を変えようとしていて、9割の人が思うようにうまくいかない最大の理由は、そのエネルギーをセミナーや読書で100%得ようとしてしまっているということです。
しかし、それは脳科学的には大きな間違いです。例えば就職活動や資格の勉強への集中力が続かない、時間をかけた割に成果が上がらないといった場合、どうすればいいでしょうか。
『脳科学者が教える! コスパ最強勉強法』(宝島社)の著者上岡正明氏は、そうした悩みを抱えている若者に「コスパ最強のモチベーションアップ術」を取り入れることを勧めています。
本稿では、その一部を抜粋して紹介してもらいます。
2つの方法で脳のモチベーションを保ち続けよう
まず自分を変えるためのエネルギーは、「行動する習慣」から得るものです。皆さんも、旅行前日まではおっくうだけれど、電車に乗ったとたんに急にモチベーションが喚起されて旅行雑誌を見はじめたり、カメラの準備を、誰からもせがまれることなく、自分からしたことはありませんか。
あるいは、ガッツポーズという「行動」を取ると、自然とやる気がみなぎってくる。皆で円陣を組むと、なぜだか高揚感が出て熱くなる。これらは、全部あなたの「気分」によって生まれているもの。つまり、私たち人間の感情や気分などの心の状態を脳波が捉えて、身体に「動け!」と命令をくだしているわけです。
このような脳と心の状態を、ドイツの心理学者・クレベリンは「作業興奮」と名付けています。つまり、実は脳というのは、行動することでしか、本来のモチベーションをもたらしてくれません。船と一緒で、少しずつ曲がれば、いつかは全然違う場所にいけます。 行動する習慣の力で少しずつ舵を切っていくのです。
そのために、最初のステップとして、自分から「行動」をすること。そして、行動しはじめたら、それをしっかり持続させることが重要です。
コスパ最強の勉強法と、従来の方法との大きな違いはこの2つを、誰でもできるようにしたことです。そのために、まずは1つ目のステップとして、「1つのことにフォーカスする(焦点を合わせる)」することを心掛けましょう。
何かを成し遂げるためには、無駄な作業や、気が散るマルチタスクをできるだけ脳内から排除して、目標を達成することが大切。私はこの力を「フォーカス力」と呼んでいます。
そして、このフォーカス力を上げるために、「究極のゴール、中規模のゴール、小さなステップを決める」ことが大切です。そのあとで、目の前のステップにフォーカスして集中力を高めながら、小さな階段を1つずつ登るようにして、順番に、集中して作業を進めていくわけです。
こうすることで、目の前の作業に没入できて、かつ達成感も得やすくなります。結果、早くモチベーションが上がり、目的の成果が手に入りやすくなるわけです。
そして、2つ目が行動しながらインプットとアウトプットと改善の3つを同時に、高速で回していくことです。私はこれを、それぞれの頭文字を取って、「IOK(アイオーケイ)高速サイクル」と呼んでいます。
(1)インプットしたものはすぐにアウトプットする
(2)何度でも改善する
(3)改善したら再びアウトプットする
この3つを原則として、勉強や就職活動で、ライバルよりも早く、高い充実感を得ながら、高速でゴールへと近づいていくことができます。
このように、最先端の脳科学では、行動こそがモチベーションの源であることが分かってきています。
いっぽうで、なにかを始めるときに、モチベーションが上がらずに、どうしてもなかなか行動に移せないことがあるものです。そんなときに役立つのが「5秒ルール」です。
「5秒ルール」とは長年パニック障害に悩まされながら、起業家として成功した米国出身のメル・ロビンズ氏の考え出した手法です。この続きは、次回にご紹介しましょう!
著者プロフィール:上岡正明(かみおか・まさあき)
人気バラエティー番組の放送作家として活躍。その後、プロモーションのコンサルティング会社を経営する。経営のかたわらMBA修了、大学での客員講師を歴任。約8万人のチャンネル登録者を誇る人気ユーチューバーでもある。著書に『脳科学者が教える! コスパ最強勉強法』(宝島社)などがある。