アウディは超高性能4ドアクーペ電気自動車(EV)「e-tron GT」の日本仕様を公開した。サーキットで思い切りペダルを踏み込めば、気絶しそうになるくらいの強烈な加速力を発揮するという同モデルだが、ポルシェとテスラの超高性能EVとはどんな違いがあるのか。

  • アウディ「e-tron GT」

    アウディが2021年10月に日本で発売した「e-tron GT」

毎日乗っても飽きないクルマ?

「e-tron GT」は計2基のモーターを前後に搭載するアウディの4ドアクーペEV。日本でのグレード展開は2種類で「e-tron GT quattro」が1,399万円、「RS e-tron GT」が1,799万円となる。動力性能はe-tron GTが最高出力390kW(530PS)、最大トルク640Nm、RS e-tron GTが475kW(645PS)、830Nm。停止状態から100km/hへの加速に要する時間は、RS e-tron GTでわずか3.3秒だ。フル充電での走行可能距離は両グレードとも534km(WLTCモード)と十分な水準となっている。

  • アウディ「e-tron GT」

    ボディサイズは全長4,990mm、全幅1,965mm、全高1,415mm(RSは1,395mm)

2025年までに20車種以上のEVを発売予定のアウディは、クルマづくりにおけるサステナビリティにも気を配っている。例えばe-tron GTでは、ペットボトルのリサイクルマテリアルを用いたシート地を選べる「レザーフリーパッケージ」をオプションで用意。生産工程もカーボンニュートラルな方法を採用しているそうだ。

  • アウディ「e-tron GT」

    車両重量は「e-tron GT」が2,280kg、「RS e-tron GT」が2,320kg

e-tron GTの登場により、超高性能EVの選択肢は一段と充実の度合いが増した感じだが、テスラ「モデルS」およびポルシェ「タイカン」と比較して、アウディの良さはどのあたりにあるのだろうか。特にタイカンは、e-tron GTとプラットフォームを共有する兄弟車でもある。

もし3台で迷っている人がいるとしたら、どう声をかけるのか。アウディ ジャパン社長のマティアス・シェーパースさんに聞いてみた。東京出身のシェーパース社長は以前、アウディ ジャパン販売の社長を務めたこともある人物なので、営業マンがe-tron GTをどう勧めるかにも興味があったのだが、回答は以下の通りで予想と少し違っていた。

「(3台のうち、どれを選ぶかは)お客様によりますね。スポーツカーライクなクルマをお望みの方であれば足回りが硬めのセッティングになっているタイカンでしょうし、シンプルなクルマが好きで、より遠くに出かけたいという方ならテスラでしょう。e-tron GTのいいところは、毎日乗っても飽きず、また疲れないところです。それとデザインですね」

  • アウディ「e-tron GT」

    「e-tron GT」の日本発売を記念したパーティーに登壇したシェーパース社長。挨拶ではe-tron GTの魅力について、まずは「デザイン、デザイン、デザイン」と語っていた

思い切り踏めば「気絶しそうなくらい」(シェーパース社長)の加速力を発揮するe-tron GTだが、毎日の暮らしでは「気軽に、気持ちよく、日々妥協せず」(同)乗れるところが、このクルマの魅力だそうだ。アウディ ジャパン広報にも聞いてみたが、e-tron GTはガソリン車から乗り換えても違和感のない走りが魅力のクルマ、とのことだった。