近畿日本鉄道は13日、青山町車庫にて12200系5編成を並べた撮影会「12200系車両オールスター撮影会」を実施した。この撮影会は近鉄が主催した募集型ツアーで、今月20日にラストランを迎える12200系の撮影会ということもあり、多くの鉄道ファンが参加した。

  • 近鉄の特急車両12200系5編成が青山町車庫で並んだ(大阪難波方)

12200系は12000系を改良した車両で、1969(昭和44)年にデビュー。8年間にわたり計168両が製造され、近鉄の特急車両の中でも最多両数を誇った。初期車両に軽飲食を提供できるスナックコーナーを設置したことから、「新スナックカー」の愛称でも親しまれた。スナックコーナーでは、当時珍しかった電子レンジを導入し、車内提供を実施した。

第21編成12221号車からはスナックコーナーをなくし、初期の車両も後にスナックコーナーを撤去して客室に改造した。性能面では国内最大級出力のモーターを搭載し、大阪線の33パーミル連続勾配でも100km/h以上の高速運転を実現した。

  • 近鉄特急の旧塗装は12200系が最後になった(近鉄名古屋方)

1985(昭和60)年からリニューアルを行い、車体前面の種別・標識灯上部にあった行先表示が貫通路にはめ込む字幕式に変更され、現在に至っている。1991(平成3)年から間接照明の導入など最新車両に合わせた改造が行われ、その一方で1998(平成10)年から廃車が始まった。

12200系は今年2月に定期運行を終了しており、11月20日にラストラン乗車ツアーが行われる予定。50年以上にわたって活躍した名車が正式に姿を消すことになる。

  • 定期運用では見られない「京都 大阪難波」や、定期特急列車が廃止となった「名古屋 湯の山温泉」の方向幕も

  • オレンジ色と紺色のカラーリングはかつて近鉄特急の象徴だった。名阪甲特急向けの方向幕「ノンストップ 大阪難波」も見られる

「12200系車両オールスター撮影会」では、オレンジ色と紺色の旧塗装をまとった12200系5編成(NS34・NS39・NS49・NS51・N53)が並んだ。うち4編成(NS34・NS39・NS49・NS51)は4両編成、残り1編成(N53)は2両編成だった。12200系以外の特急車両はすでに新塗装になっており、旧塗装に懐かしさを感じたのは筆者だけではないだろう。

定期運用では見られない方向幕も注目を集め、「名古屋 湯の山温泉」や「京都 大阪難波」、名阪甲特急向けに用意したと思われる「ノンストップ 大阪難波」など表示。1編成(NS49)に「あおぞら II」のヘッドマークも掲げられた。撮影会の途中、鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した「ひのとり」が12200系の横を通過する場面もあり、特急車両の新旧交代を印象づけた。

  • どこかレトロな雰囲気が漂う「湯の山温泉ゆき」の方向幕

  • 撮影会の途中、12200系の横を「ひのとり」が通過した

  • 当日は近鉄特急のグッズも販売された

12200系は11月20日がラストランとなり、貸切列車として大阪上本町~賢島間・近鉄名古屋~賢島間で運行される。なお、12200系の1編成について、観光特急「あをによし」に改造され、2022年4月29日にデビュー予定。車内外ともに大きく改造され、形式も変更する予定とのことだった。