「お金に強くなるマネーカウンセリング」をモットーに年間100人以上のクライアントのお金に関する悩みを解決しているマネープランナーズ。今回はFPの裏門春菜が、社会人3年目25歳女性の「年金の保険料はどのように決まるの?」という疑問にお答えします。

ご相談者

相談者:相澤さん(仮名)
    女性・25歳・会社員・年収400万円・社会人3年目

相談内容「年金の保険料はどのように決まる?」

相澤さんの相談内容は以下です。

社会人3年目です。仕事にも慣れてきたので、そろそもろ税金周りにも詳しくなっていきたいと思っています!

給与明細や源泉徴収は確認するものの、あまり内容は分かっていません…

「年金の保険料はどのように決まるのでしょうか? 具体的な納付方法まで解説してほしいです!」

ファイナンシャルプランナーからの回答

給与明細や源泉徴収に何が書いてあるのか、年金についてはどのような記載があるのかを説明する前に、まずは国民年金の概要や仕組みから理解していきましょう。

➤そもそも国民年金って?

国民年金は、国と日本年金機構が運営する公的年金制度です。日本に住んでいる、20歳以上60歳未満のすべての人は、すべて公的年金制度に加入して保険料を納めなければなりません。

受け取る年金額の2分の1(平成21年3月までは3分の1)は国が負担し、残りの2分の1(平成21年3月までは3分の2)は加入者全体が納めた保険料でまかなわれています。

国民年金には以下の3つがあります。

(1)老後のための老齢基礎年金
(2)突然の病気やけがで障害を負った場合の障害基礎年金
(3)配偶者が亡くなった場合に遺族の生活の支えとなる遺族基礎年金

➤年金制度は3階建て

日本の年金制度は3階建ての構成となっています。1階と2階は国民年金や厚生年金と呼ばれる「公的年金」で、国が管理・運営しています。3階部分は公的年金に上乗せできる「私的年金」といい、企業や個人が任意で加入することができます。

1階『国民年金』

1階部分にある「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入している年金です。年金の基礎部分であるため、「国民基礎年金」とも呼ばれます。個人事業主や自営業など「第1号被保険者」に該当する方は、基本的に国民年金のみに加入しています。

2階『厚生年金』

2階部分にある「厚生年金」は会社員や公務員などが加入している年金です。この層の人たちは「第2号被保険者」に区分され、1階部分の国民年金に自動的に加入しています。国民年金にしか加入していない人に比べ、厚生年金という2階部分にも加入しているため、受け取れる年金の額が多くなります。

また、支給される額は、加入していた期間だけでなく、現役時代にどれだけの収入を得ていたかによって決まりますので、加入中に年収が高かった人は、支給される年金額も多くなります。

なお、「第2号被保険者」に扶養されている人は「第3号被保険者」となります。これらの人たちは国民年金に加入しているということになり、年金保険料を負担せずに基礎年金を受け取ることができます。

3階『私的年金』

最後は3階部分にあたる「私的年金」です。「私的年金」は、確定拠出年金(DC)のような「企業が退職金制度として実施される年金」と、国民年金基金や個人型確定拠出年金(iDeCo)のように「任意加入できる年金」があります。

➤国民年金を支払う対象となる人は?

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方で、厚生年金保険に加入していない方は、すべて国民年金の第1号または第3号被保険者となり、保険料支払いの対象となります。

ただし、被保険者の経済状況などによっては減額や支払い免除の制度もあるので、支払いが難しい人はお近くの年金事務所等で相談してみましょう。

➤国民年金の保険料はいくら?

国民年金の保険料は所得に関係なく、すべての人が一定額となっています。

令和3年度(令和3年4月~令和4年3月まで)は1カ月あたり16,610円で、金額については毎年度見直しが行われます。

なお、納められた国民年金保険料全額は社会保険料控除対象となります。

➤厚生年金の保険料はいくら?

厚生年金保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます。

「標準報酬月額×保険料率」、「標準賞与額×保険料率」を事業主と被保険者で半分ずつ負担(労使折半)

国民年金と異なり、年収が上がると保険料も上がっていく仕組みとなっています。

➤保険料の納め方

国民年金の場合

国民年金に加入している人は保険料を自分で支払う必要があります。

納付方法は大きく分けて3つあります。詳しい手続き方法については日本年金機構のホームページを確認してみましょう。

(1)自主納付
日本年金機構から送られてくる「国民年金保険料納付案内書」で、ゆうちょ銀行・金融機関・コンビニエンスストアで納めます。
(2)口座振替やクレジット納付
ご指定の口座やクレジットカードから、毎月自動的に引き落とされます。
口座振替手続きは、年金手帳、預貯金通帳、届出印を持って、ゆうちょ銀行や金融機関の窓口へ。クレジット納付申込は市町村の年金事務所へ
(3)インターネットで納付
パソコンや携帯電話からインターネットを利用して納めます。
金融機関とインターネットバンキング契約が必要です。

また、国民年金の未納は将来の年金受給額や受給のタイミングに影響するため、忘れずに払っていくことが重要です。

厚生年金の場合

厚生年金の保険料は、加入者と事業主とが半分ずつ負担します。

事業主は毎月の給料または賞与から保険料を差し引いて翌月の末日までに納めることになっています。

また、厚生年金加入者は同時に国民年金保険料も給与から自動的に差し引かれることになっているケースがほとんどなので、未納の心配は少ないといえます。

参考元:日本年金機構HP

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

裏門春菜(うらもんはるな)
所属:株式会社マネープランナーズ
2級ファイナンシャルプランニング技能士