オフィスなどの蛍光灯の下では仕事がはかどり、電球色の電灯のリビングではリラックスできます。なぜこういうことが起きるかというと、色がわたしたちの感情に影響を及ぼすからです。
そして、「色が人間に影響を与えるだけでなく、個人の心理状態がその人の好む色にも表れる」と心理カウンセラーの中島輝さんは語ります。みなさんがどんな心理状態にあるのか、知りたくはないですか?
■色が行動や感情に及ぼす影響を研究する「色彩心理学」
特定の色を見ることで、気分が高まったり冷静になったりした経験はないでしょうか? それは、視覚でとらえた色が脳を刺激し、さらには自律神経やホルモンバランスにも作用して行動や感情に影響を与えたからです。そのような、色が人間に与える影響を研究する心理学が「色彩心理学」というものです。
この色彩心理学は、みなさんが意識していないなかでも多くの場面で活用されています。たとえば、看護師の制服はオフホワイトやオフピンクなど淡い色調のものばかりです。これは、そういった色調が患者の気持ちを落ち着かせることが色彩心理学によってわかっているからです。もし看護師が真っ赤や真っ黒な制服を着ていたら、ちょっと怖いですよね。患者は落ち着いて診療を受けることができないと思います。
また、色が人間の行動や感情に影響を与える一方で、逆に個人の心理状態がその人が好む色に表れるということもいえます。ドイツを代表する文豪であり、色彩論などについての自然科学者でもあったゲーテは、「色は自分の心を映すものである」という言葉を残しています。
ここで、ひとつ簡単なテストをしてみましょう。下にある4つの色のうち、あなたが気になる色を選んでみてください。
■赤を選んだ人は、ストレートなものいいに要注意
このテストで、あなたの心理状態がわかります。それは、いまの自分の心理状態がわかるだけでなく、自分が求めている状態を示している場合もあります。たとえば、赤を選んだ人は、行動的であり人生において情熱を求める「行動・情熱タイプ」と呼べる人ですが、いま現在において「行動・情熱タイプ」であることもあれば、「行動・情熱タイプ」になりたいと願っているというケースもあるわけです。
それでは、みなさんがどのようなタイプでどのような意識を持って生きていけばよりよい人生を歩むことができるのか、それぞれのタイプ別に解説します。
◆赤:行動的であり人生において情熱を求める「行動・情熱タイプ」
赤を選んだあなたには強い意志があり、パワフルで向上心があります。なにごとにもエネルギッシュに積極的に行動し、自ら自分の愛情を表現する傾向にある人です。また、プライベートだけでなく仕事に対しても強いよろこびを見出し、行動的によく働く人であり達成感を求めるタイプです。
でも一方で、自分が楽しめなかったり思いどおりにならないことがあったりしたときには、ヒステリックになったり焦ってしまったりすることもあるかもしれません。ただ、そのように気の短いところもありますが、飽きっぽい部分もあって怒りはすぐに消えてしまうタイプです。
不快感など、いいたいことを相手にストレートに伝え過ぎて勘違いされることがないように注意をしましょう。そうすれば、多くの人と交流する場でも物怖じせずに振る舞うことができるこのタイプの人は、周囲から頼りにされるリーダーとなることができるでしょう。
■黄色の人は、他人を助ける気持ちを忘れずに
◆黄:好奇心旺盛で自由な感情を重視する「探求・好奇心タイプ」
黄色を選んだあなたは、人生をパーティーであるかのように楽しく考えています。好奇心が旺盛なため、まわりのあらゆるものによろこびや楽しさを感じることができるからです。
楽天的でさまざまなことに対して自由な心を持っていますから、アーティストやミュージシャン、ダンサー、デザイナーなどクリエイティブな職種が適職のひとつといえるでしょう。また、分析力に優れている面もあり、プランナーやプログラマー、建築家、研究者などにも向いています。
しかし、好奇心の対象がくるくる変わるという特性も手伝って、特定の人間関係に長く深くかかわるようなことは避ける傾向もあり、そういう関係から逃げてしてしまいがちです。先にも挙げたように、せっかく多くの職種に向いた才能を持っているのですから、自分の人生を楽しむだけでなく、周囲の人々によろこびをもたらし、人々を助ける気持ちを忘れないようにしてほしいと思います。
■青を選んだ人は、自己評価を高めよう!
◆青:平和と献身を重んじる「友愛・愛情タイプ」
青を選んだあなたは慈愛に満ちており、人を支える性質を持っています。感受性が高いために、幸せなときも悲しいことがあったときもすぐに泣いてしまうということもあるでしょう。
このタイプの人は、他者に愛を与えて奉仕することを人生のテーマと考えます。そのため、教師やカウンセラー、看護師などに向いています。多くの人が、あなたに安らぎを求め、あらゆる相談をしてくるでしょう。もちろん、そうした特性が活きるのは仕事だけではありません。プライベートにおいても心の絆を中心として友人や家族とよい関係を築いていけるでしょう。
ただ、愛情を「与える」ことは得意である反面、愛情を「受け取る」ことが苦手という側面もあります。その要因は、自己評価が低いことでしょう。このタイプの人が知るべきことは、自分が周囲の人を愛するように、自分も周囲の人から愛されるべき魅力的な存在であるということ。そう認識することができれば、まさに愛に包まれた素晴らしい人生を歩んでいけるはずです。
■緑を選んだ人は、ワーカホリックにならないように
◆緑:協調性が強く調和を求める「協調・調和タイプ」
緑を選んだあなたはバランス感覚に優れています。右脳も左脳もバランスよく働くため、頭がよく感情と理性をしっかりコントロールすることができます。
また、バランスよく現実と理想を見ることもできるため、ものごとの問題点を素早く発見して解決法を見つけ、解決に向かって行動することもできるでしょう。そういう意味では鋭い観察力と実行力を持ち合わせているといえますから、ビジネスの世界でも大いに力を発揮できます。
ただ、ものごとを平等に公正に見る力があまりに強いために、組織のなかで納得のいかない理不尽な問題が起きたような場合には、その問題を起こした当事者とぶつかるようなこともあるかもしれません。
社会生活を営む人間にとって、公正さや協調が大切であることは間違いありませんが、それがとおらないことがあるのも現実です。仕事力に秀でたあなたなら、その現実を冷静に見つめ、正攻法とはちがった問題解決法を見つけることもできるはずです。また、仕事好きであるため、ワーカホリックにおちいらないように注意してほしいと思います。
構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ