闇夜に浮かぶ工場の写真というのは、どこかミステリアスで迫力があり、その存在感に圧倒されますが、現在ツイッターでは、また一味違った工場の写真が多くのユーザーの関心を集めています。

四日市コンビナートを8年撮り続けてきて1番のお気に入りがコレ
(@ta2funkより引用)

  • (@ta2funkより引用)

ツイ主はフォトグラファーの「Tatsuki Ito(@ta2funk)」さん。

写真に写っているのは三重県四日市市にあるコスモ石油四日市製油所のプラントで、撮影は明け方に行われました。

雲間から黄金に輝く空と、モクモクと水蒸気が出る煙突。その周りを無数の鳥が飛んでいる様子は、どこか怪しくも美しく迫力満点。見る者を強烈に惹きつける魅力に溢れています。

この見事な風景写真に多くのツイッター民が魅入られたようで、ツイートは2.5万件のリツイート、17.1万件のいいねを獲得(10月31日時点)し、コメントも多数寄せられました。

「ヒッチコックの鳥を思い出しました。夕焼けですし、何か恐怖すら感じますが素敵な写真ですね! 」

「押井守の映画に出てきそうですね! 背景とか大量の鳥、構図的にイノセンスみたい!! 」

「迫力がすごいのと、鳥の臨場感が素敵ですね!! 」

「私の地元はいつから魔界になったのだろう…」

「とても神秘的でかっこいいですね! 」

「鳥ブレなく収めてるのほんと凄いです! 」

「なぞの世界の終末感あって絶望的に好き。鳥がいい味だしてる」

「生き物の力強さ、工場の力強さなのかよくわかりませんが、力強い!!! 」

「この一瞬ってホント写真じゃなかなか撮れない。奇跡の一枚って、瞬きしてる間に過ぎていってるんだろうなー」

「いいですね!煙のモクモク感も金色の空も無数の鳥もカッコイイ! 」

「美しく、なぜか切なさを感じる良い写真だと思います」

「バイオハザードの映画みたい! 」

「終末感がいいですね」

「世紀末感もあるし、新たな世界の夜明けっていう印象もある。」

「うあ鳥肌たったw こういう写真大好き」

「映画のオープニングみたいです。」

「バッドマンでも居るのかと思った」

撮影者さんに聞いてみた

確かに「終末感」や「世紀末」も感じつつ、「新たな世界の夜明け」も予期させるような力強さに溢れた写真ですが、こんな凄まじい写真はどのようにして激写されたのでしょう。

今回は撮影されたTatsuki Itoさんご本人にお話をお聞きしました。

ーーこれを撮影されたときの状況やエピソードなどを改めて教えてください。

この日は四日市ドーム前で、いつも通り夜景と夜明けの撮影をしていました。日が昇り、機材を片付けていたところ、遠くの空に大きな動く黒い塊を発見しました。それがこちらに近づいたときに「鳥の群れだ」と認識できました。

慌ててカメラを取り出し、夜景用の設定から鳥用の設定に切り替えました。咄嗟に構図を考えてあのような位置でカメラを構え、偶然にも思った以上の良い位置に鳥の群れが通過しました。
画面外にもたくさんいましたので500羽以上の群れで圧巻でした。本当に偶然撮れた写真です。

ーー1番のお気に入りとのことですが、どんなところが気に入っていますか?

朝焼けの空と立体感のある水蒸気、そして余白を埋め尽くす鳥達がお気に入りです。

ーー今回のツイートが大きな反響を生んでいますが、率直なご感想などはございますか?

実は、以前にも何度かこの写真を投稿しています。今回の大きな反響に不思議な気持ちと、四日市の美しさを知ってもらうきっかけとなり嬉しく思います。


鳥の群れに気づいてからカメラを取り出し、咄嗟に撮った写真とのことですが、その一瞬を逃さず、このような素晴らしい構図で収めるとはさすがプロ。

Tatsuki Itoさんは、2020年に行われた「全国工場夜景フォトコンテスト」に、同じコスモ石油四日市製油所のプラントで撮った写真を出展し、見事に「最優秀賞」を獲ったそう。
その写真がこちら。

  • (@ta2funkより引用)

Tatsuki Itoさんによると、今はこのプラントの一部が解体されて、このような姿での撮影はもう出来ないそうで、「完全体で最高なタイミングで撮れて良かったと今になり強く思います!」と語っておられました。

Tatsuki Itoさんは他にも素晴らしい風景写真などをたくさん撮られているので、今回の写真にグッと来た方は、ぜひインスタグラムなども覗いてみてくださいね。