「シナジー」や「シナジー効果」といった言葉を聞いたことがあっても、その意味まで正しく理解している人は少ないでしょう。「シナジー効果」は、特にビジネスシーンなどでよく使われる言葉です。
本記事では、「シナジー」や「シナジー効果」の意味はもちろんのこと、例文を使って正しい使い方や英語表現なども説明します。
「シナジー」という言葉の意味を正しく理解し、適切に使えるようにしましょう。
シナジーとは?
「シナジー」とは、1+1をして、3になるような、本来合わせたもの以上の効果(相乗効果)を生む共同作業や協力のことをいいます。
シナジーは、元々は生理学で使用される用語です。2つ以上の神経や筋肉、刺激や薬物などが協働して相乗効果を生むという意味がありましたが、現在ではその意味が転じて、ビジネスシーンでも使われるようになりました。
ビジネスシーンでは、企業同士が協力して、各企業だけで上げられる以上の利益を上げたときなどに、「シナジー」という言葉を使うことがあります。
共同作業や協力の結果、本来の効果よりも悪い効果しか得られなかった場合や、協力をした一方だけが得をする場合には、「シナジー」という言葉は使いません。間違えた使い方をしないように注意しましょう。
シナジー効果の意味とは
「シナジー効果」とは、一言で言い換えると相乗効果のことです。
複数で連携し協力することにより、単独で生み出せるもの以上の成果を得られる効果のことをいいます。
シナジー効果のメリット
「シナジー効果」には、主に4つのメリットがあります。
まず1つ目に「コストや時間の削減」です。企業ごとに決めてやっていたものを、他社と連携して共同で行うことで、無駄な経費や時間を削減できます。
2つ目に「得意先を拡大することができる」という点です。「シナジー効果」によって、協力関係にある企業の得意先も、自社の得意先としてクライアントにすることができます。そのため、同業で拡大したかった得意先をすでに獲得している企業と手を組めば、少ない労力で、得意先を拡大することができます。
3つ目に、「知識やノウハウの共有」ができる点です。お互いがすでに獲得している技術や知識、ノウハウなどを共有することで、新規の商品・サービスの開発をスムーズに進めることができます。
4つ目に、「競争力が強化される」という点です。上記で紹介したメリットを活かすことで、競争力を強化でき、競合他社より優位に立てるというメリットもあります。
シナジー効果の種類
「シナジー効果」には主に、「事業シナジー」「財務シナジー」「組織シナジー」の3つの種類があります。
1つ目の「事業シナジー」とは、事業を進めていく際に働く「シナジー効果」のことです。2つ以上の事業者が協働し進めていくことで得られる効果としては、主に「人材の獲得」「スケールメリット」「コストの削減」などの3つが挙げられます。
2つ目の「財務シナジー」とは、企業のお金や税金に対して働く「シナジー効果」のことをいいます。特に企業間のM&Aによって、この「財務シナジー」が見受けられ、「余剰資金活用」や「節税効果」といった効果を得ることができます。
3つ目の「組織シナジー」とは、個人同士が互いに協力しあい、1つの組織となって動くことで働くシナジーのことで、生産性が格段に向上します。
シナジー効果の対義語
「シナジー効果」の対義語は、「アナジー効果」です。「アナジー効果」とは、1+1=3になる「シナジー効果」とは裏腹に、1+1=1.5というように本来の力を掛け合わせたところ、本来の力以下のパワーに減ってしまうことをいいます。一言で表すと相互マイナス効果のことです。
シナジーの英語表現
「シナジー」と英語で言いたい場合や、「シナジーを生む」、「シナジー効果」を英語で表現したい場合には、どのように訳せばいいのでしょうか。
「シナジー」を英語でいうと
「シナジー」は英語で、「synergy」と書き、読み方は日本語と同じく「シナジー」です。英語でも、本来の意味は生物学用語としての意味である、(筋肉などの)共同作用ですが、広義としてビジネスなどで使う協同としても使われています。
・By forming a technical alliance with Company A, we were able to achieve significant synergies.
(A社と技術提携を結ぶことで、非常に大きなシナジー効果を生むことができた。)
・The strategy is to build up various synergies in order to maximize corporate value.
(戦略は、企業価値を最大化するためにさまざまなシナジー効果を構築することだ。)
・We will pursue synergies in terms of attracting new customers and aim to increase corporate value.
(新規顧客獲得と企業価値の向上の点において私たちはシナジー効果を追い求める。)
「シナジー効果を生む」を英語でいうと
日本語では、「シナジー効果を生む」という言い回しをよく用います。これを英語で表現する場合はどう表現するかも知っておきましょう。
英語で「シナジー効果を生む」と表現したい場合は、「generate synergy」や「created synergies」、「generate a synergistic effect」という表現が使えます。「synergistic effect」は、「相乗効果」という意味もありますが、直訳は「シナジー効果」です。
・Effective use of distribution channels will create synergies in sales.
(販売における流通経路の有効活用はシナジー効果を生むだろう。)
・Synergies will be generated through the development of the company's organization.
(シナジー効果は会社組織の発展を通して生み出されるだろう。)
・It is important to analyze what was the good point of creating the synergy effect.(シナジー効果を生むことのメリットは何かを分析することは重要である。)
シナジーの使い方
ここまで「シナジー」という言葉の意味について説明しましたが、ここからは例文を使って「シナジー」の使い方をご紹介していきます。
「シナジー効果」を使った例文
・企業のM&Aによって、シナジー効果が生まれました。
・彼の想像力と私の分析力が合わされば、すさまじいシナジー効果が生まれそうです。
・A社の技術とB社の技術が合わさることで、シナジー効果が生まれ、革新的な新製品が生産できるでしょう。
・デジタルとアナログのシナジー効果により、より多くの人に認知させることができます。
・シナジー効果を期待していたが、大したことはなかった。
シナジー効果は、「シナジー効果が生まれる」「シナジー効果を期待する」のように使います。「シナジー効果」といって相手に伝わりにくい場合は、「相乗効果」と言い換えてみましょう。
「シナジーを生む」を使った例文
・異色の経歴を持つ人をプロジェクトに入れば、シナジーが生まれるのではないでしょうか?
・コーラにメントスを加えると、シナジーが生まれ、中身の液体が勢いよく飛び出します。
・シナジーが生まれることを期待して、Aの会社にM&Aの話を持ちかけました。
・今回、シナジーを生んだ秘訣はなんだったのか、きちんと把握していますか?
・今回のセミナーでは、シナジーを生み出す方法をくわしく解説していきます。
「効果」をとって「シナジー」単体でも使うことができます。「シナジーを生む」という表現以外にも「シナジーを高める」「シナジーを生み出す」といった使い方が可能です。
「シナジー」を適切に使えるようにしましょう
「シナジー」とは2つ以上の組織やものが共働、協力した際に、本来それぞれが持っている力以上の結果が生まれることをいいます。一言でいうと、相乗効果のことです。
ビジネスシーンでは、「シナジー効果」「シナジー効果を生む」という言い回しがよく使われます。上記で紹介した例文を参考に、「シナジー」という言葉を適切に使用できるようにしましょう。