――この10年で一番変わった人、変わらない人を教えてください。

変わったのはエンケンさん(遠藤憲一)かな。最初は全然違う役柄だったし、物語の中で異動も多くて。あとは痩せたり太ったりしているところも(笑)。何も変わらないのは有紀ちゃん。淡々としていて本当に変わらない。私は同じ歳ですが、アップダウンが激しいしやりたいこともさまざまなので、未知子並みにぶれない有紀ちゃんが羨ましいくらいです。

――これまでのシリーズで特に印象に残っている撮影はありますか。

未知子が余命3カ月というストーリーを演じたとき(第5シリーズ)に、「本当にこれで終わるんだ」と号泣した思い出があります。私にとって主演を務める連続ドラマがシリーズ化していくのは初めての経験。常に新しいことをやりたいと言っていたけど、続けてきたことに後悔はなかったし、「まだやりたい」と思ってしまうほどでした。

「もう皆と会えなくなってしまう」と考えたとき、「連続ドラマ」という短い3カ月や4カ月の積み重ねでもそれほどの関係を築くことができるんだなと……第3シリーズくらいで終わっていたら気づけなかったことです。皆の「このドラマを良くしたい」「『ドクターX』はこうありたい」という思いが1つの大きなかたまりになって『ドクターX』が出来上がっているんだと改めて実感しました。

――今回の第7シリーズは、コロナ禍を反映させたストーリーになっていますが、率直な感想を教えてください。

今年になってもまだコロナ禍を描かなきゃいけないという世界の情勢を改めて感じさせられました。ただ、危険なことはコロナだけじゃないというひねりが入っているところに『ドクターX』ならではの魅力があると思います。

――コロナ禍でドラマを撮影する苦労はありましたか。

私はコロナ禍で連続ドラマの撮影をするのはほぼ初めて。コロナ禍じゃなかったらもっと自由に動けるのに、色々と気をつけなきゃいけないことがあるのはやはりストレスになります。これまでも映像作品が時代にあわせて、たばこを吸うのはどうだろうとか、血を見せ過ぎちゃいけなくなるとか、変化を求められるたびに寂しさを感じてきましたが、今回は命に関わることだから演出の方も大変ですよね。

――『ドクターX』をきっかけに医療従事者を目指すようになったという声も多くあると聞きます。このコロナ禍で、医療ドラマを届けることへのメッセージをお願いします。

知り合いと話をしていて「病気になったときこういう治療をした」という話を聞いたりすると「その症状だとその処置だよね」と理解できることがあるので、『ドクターX』を通して少しは医療現場にかかわっていたんだなと実感しています。

医療従事者の皆さんをどう労ることができるかというのは難しいですが、精一杯私たちの思いを伝えていきたい。コロナ以外の苦悩を描いたエピソードもあるので、今はコロナでニュースが埋め尽くされていますけど、それ以外でも苦しんでいる方々に手を差し伸べたり、そんな患者さんに対応しているお医者さんたちもたくさんいるんだと知って頂けるチャンスになればと思います。未知子としてはちょっと体が重くなっていますが(笑)、一生懸命ジムに通って未知子らしく頑張ります!

■米倉涼子
1975年8月1日生まれ、神奈川県出身。1993年モデルとしてデビュー。1999年に女優へ転身。近年は、『35歳の高校生』(日本テレビ系・13年)、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系・18年)などに出演。ミュージカルでも活躍しており、2008年に『CHICAGO』の日本版でミュージカルに初出演。2012年7月には『CHICAGO』でブロードウェイデビューを飾り、2017年、2019年と、3度ブロードウェイ主演を果たした。主演を務めるNetflixオリジナルシリーズ『新聞記者』の配信も控えている。
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スタイリング/栗田泰臣 ヘアメイク/佐藤郁江