慶応義塾大学経済学部大久保敏弘研究室とNIRA総合研究開発機構はこのほど、「第5回テレワークに関する就業者実態調査(速報)」の結果を発表した。調査期間は2021年9月4~22日、調査対象は全国の就業者(継続回答の場合は失業者も含む)、有効回答は1万644人(継続回答8,455人)。
テレワークで仕事の効率が変化する要因は?
2021年9月1週時点のテレワークの利用率は17%。1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4~5月は25%に上昇したものの、解除後の6月には17%に低下し、その後は「頭打ち状態」が続いている。
テレワーク時、通常勤務に比べて時間当たりの仕事の効率はどのように変化したと思うか聞くと(通常勤務時=100)、「70~100」が計67%を占め、「100」は40%、「110~130」は計10%となった。また、テレワークを利用していない人では、「100」と答えた人は58%だった。
仕事の効率が低下する要因については、1位「リモートではできない仕事が多い」(23%)、2位は同率で「コミュニケーション方法が、メール、チャット、ビデオ会議などになり、コミュニケーションがとりにくくなった」・「テレワークにより、同僚・部下とのコミュニケーションが不足しがちになった」(各18%)となった。
一方、上昇する要因については、1位は同率で「テレワークにより、通勤や業務上の異動が減り、疲労しにくくなった」・「リモートでできる仕事が多い」(各22%)。以下、3位「自宅では、静かな部屋で、仕事により集中できる(17%)、4位「仕事の進め方について裁量が多い」(15%)と続き、会議の効率化やコミュニケーションに関する項目の回答割合は低かった。同調査では、「テレワークによるコミュニケーションの変化は、仕事の効率性を低下させる方向には強く働き、上昇させる方向にはほとんど働いていないことが示唆される」と分析している。