韓国産業通商資源部(日本の経済産業省に相当)は9月28日、半導体産業エコシステム全般の競争力強化に向けた「半導体連帯・協力協議体」を発足させたことを明らかにした。

半導体の供給不足により半導体市場が混乱する中、韓国半導体企業同士が政府の指導の下で競争力強化に向け手を取り合うこととなった。

  • 半導体連帯・協力協議体

    半導体連帯・協力協議体のMOU(了解覚書)締結式の様子 (出所:韓国通商産業資源部Webサイト)

同協議体は、Samsung Electronics、SK Hynix、DB HiTekといった半導体メーカーのほか、素材・部品・装備(製造装置と設備)メーカー、ファブレス、ファウンドリ、パッケージングなどの韓国の半導体業界を代表する企業ならびに、半導体分野の学会、研究機関の代表など計30人で構成される。

同日開催された半導体連帯・協力協議体MOU(了解覚書)締結式には、主催者である韓国産業通商資源部長のほか、電子技術研究院長、Samsung Electronics社長、SK Hynix社長、DB HiTek副会長はじめ半導体関連企業トップが参加。業界全体で推進されてきたこれまでの連携協力の成果、今後の推進計画、「K-半導体戦略」(半導体総合強国をめざす韓国の国家戦略)の主要な課題と今後の政策推進方向などを議論したという。

韓国半導体工業会は成果を強調

発足式に併せて開催された会議では、韓国半導体工業会(KSIA)が、これまでの連携・協力活動の成果として、以下のようなことを挙げた。

  • 半導体ファンドによる2200億ウォン(約210億円)、計86件の投資を通じ中小・中堅企業の成長促進に貢献
  • 素材・部品・装備の性能評価支援事業を通じて事業化売上147億ウォン(約14億円)、投資526億ウォン(約50億円)、特許出願82件を達成
  • ファブレス-顧客企業間協力プラットフォームである融合アライアンスを通じて発掘された未来車3件、IoT4件など10件の技術開発課題が、次世代インテリジェント技術開発事業を通じて2020年より進行中

また、今後の計画としては、以下のような取り組みを掲げている。

  • ON Semi Koreaによる2500億ウォン(約235億円)規模の投資を通じたパワー半導体の生産拡大など車載半導体の供給基盤の拡充
  • システム半導体の顧客連携オンラインプラットフォームによるR&D成果の商用化支援
  • 素子企業と素材・部品・装備企業の協力によるカーボンニュートラルR&Dの推進
  • 環境安全協議体の新規構成によるベストプラクティスの共有および現場適応型コンサルティングなど半導体分野の連帯協力の強化

また、2021年5月に発表された「K-半導体戦略」については、税制・金融面での成果とともに、以下のような人財育成分野での成果を挙げている。

  • 契約学科(入学時点で就職先内定、学費支給)の増設として、2021年7月にKAIST(韓国科学技術院科。国立大学)がSamsungと契約して契約学科開設に合意
  • 2022年に契約学科の定員を131人増員
  • 半導体人材育成予算の拡大。153億ウォン(2021年)から491億ウォン(2022年、政府案)へ増額

このほか、K-半導体戦略と併せ、重要性が増しているセンサー産業についても、「K-センサー技術開発事業」により、2022年から7年間で総額1865億ウォン(約175億円)を投資し、センサー産業の競争力強化を積極的に支援していくことを計画しているともしている。